びーきゅう

はち公。 @funkastic_8er

0 私の つまらない人生を 【肯定】してくれたのも そこに 【意味】を与えてくれたのも 身体の真ん中から 突き上げるみたいな 【熱情】を教えてくれたのも 全部 全部、先生でした────── #びーきゅう pic.twitter.com/EYCIfyXRoJ

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1 私の人生は 酷くつまらない 【脇役の中の脇役】な人生だ 例えば 〈〇〇ごっこしよう！〉 幼い頃 誰しもが経験する アニメキャラのごっこ遊び 〈じゃあ私、赤！〉 〈私は青！〉 〈え！じゃあ黄色！〉 人気のカラーは あっという間に 他の子のものになって #びーきゅう

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2 〈愛音ちゃんは？何にする？〉 私の選択肢は僅かで ほんとは主役の 赤のキャラをしたいけど そんな勇気なくて 頭のいい青 元気な黄色も柄じゃなくて かと言って ラストに仲間になる 重要なキャラの紫に 手を上げる自信もなくて #びーきゅう

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3 なんとなく存在感の弱い 「じゃあ･･･緑！」 を選ぶ ────そんな感じ 友達の輪の中で 目立たず ひっそりと それが何となく 自分のポジションで 私の人生なんか たぶんずっとそんなもんなんだと そう･･･思っていた #びーきゅう

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4 そんな脇役人生は 年を追うごと進化して 【嫌われない為には 目立たないようにする】 そんな悟りを開いていた ･･･だって 女同士ってちょっと怖くて 〈〇〇はいいよねぇー！彼氏いてー〉 〈かわいいの羨ましー！〉 ある子を羨んで 褒めていたと思えば #びーきゅう

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5 その子がいなくなった途端 〈･･･調子に乗ってるよねぇ〉 〈まじ、ほんとに 自分が可愛いと思ってんのかな？ うけるんですけどw〉 あっという間に 豹変する そんな友達を何度も見てきた ･･･そんな風に 言われるのが怖くて ひたすら 目立たないように #びーきゅう

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6 〈愛音もそう思わない？〉 何かを聞かれれば 主張も否定もせず 「そうだねw」 って答えた 〈どれが好き？〉 何かを選ばなければいけないときは 「〇〇ちゃんと同じやつ！」 誰かに同調して 個性を消した そうしてれば 誰にも 何も言われないから #びーきゅう

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7 そんな つまらない人生を続けて 気づいたら 高校3年生になっていた 〈愛音ー！またよろしくね〉 何人かの友達が揃って （今年はこのメンバーの中で 目立たず生きるのか） なんて覚悟をした そうやってまた なんにもない1年を 過ごすと思ってたんだけど #びーきゅう

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8 高校3年生は いきなり現実を突きつけてきた 【進路希望表】 『いいかー 今後の進路指導の参考にするから ちゃんと書けよー』 新学期がスタートして早々 突きつけられた白い紙に 何となく 鳥肌が立った #びーきゅう

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9 そりゃ、中学から高校になる時も 進路ってあったけど あの頃はとにかく 学力レベルで色んな高校に 割り振られる感じで 【私】の希望なんか ほとんど意味なかったんだけど （進路希望･･･？私の？） いざ、自分で選べと言われると ひどく 怖かった #びーきゅう

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10 だけど 周りの子達はスラスラと何か書いてて （とりあえず 適当に大学書くのかな？） 私も･･･と思ったんだけど （適当に･･･？） その事にすごく抵抗を感じた （私の進路を 自分で適当に書くの？） それは とことん自分を 否定するような気がして #びーきゅう

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11 そこに【適当】を書いたら 私の人生 これからもずっと つまらなくなるような気がして （そんなの･･･書けないよ） 書くのを躊躇っていたら 『はい、じゃあ回収ー』 「え」 あっという間に時間切れ 「あ」 白紙のそれは 流れに乗って回収された #びーきゅう

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12 （どうしよう･･･やってしまった） 新学期早々 変わったことをして 目立ちたくなんかないのに 〈ねぇ、何書いた？〉 〈んー、とりあえず地元の大学！〉 こんな事なら私も･･･ とりあえずでよかった （私のバカ！！） 迷った自分が 恨めしくなる #びーきゅう

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13 ･･･で、案の定 『高橋ー、この後職員室来てー』 お呼び出しをくらう 〈え、愛音？なんかしたの？〉 好奇心旺盛な友達が 聞き出そうとしてくる 「なんだろ･･･わかんないやw」 私はぎこちなく笑って その場から逃げ出した #びーきゅう

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14 （･･･やだなぁ） 先を行く 担任の先生の後を 少し離れてついていく 『さてと･･･』 職員室について イスに座ったその人の 斜め後ろに大人しく立った 『どないしたん？ お前だけ白紙やったで？』 （この感じ･･･嫌だな） うまく 答えられない #びーきゅう

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15 『とりあえず 適当に書いてよかったんにw』 ･･･ですよね 先生が見てもそう思うよね 私みたいな 地味なつまらない生徒 適当に書いてくれれば それで･･･ 『それとも･･･ 適当に 書くのが嫌やった？』 ──────え･･･？ #びーきゅう

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16 驚いて 思わず顔を上げる その反応に 『お、その反応は図星かw』 先生は笑っていて 『そっか。高橋は真面目なんやな』 そう言いながら 白紙の希望表に何かをメモした 私は ただただ不思議で 「なんで･･･分かったんですか？」 って聞いてみる #びーきゅう

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17 すると先生は にやっと笑って 『それはなぁ。 俺も昔、同じ事したからw』 って 『進路なんか急に聞かれても 訳分からんよなw でも･･･なんか適当に書いたら そのまま勝手に進んでしまいそうで 怖くなるんよw』 私は興奮気味に 大きく首を縦に振った #びーきゅう

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18 すると先生は 『了解。高橋の進路はまだ真っ白』 白紙の希望表に 今度は花丸を付けて 『ええ事や 可能性は無限大！』 それを私に返した 『一緒にゆっくり見つけよな お前の大事な進路』 その台詞 ひとつひとつが ちょうどいい温度で 心に染みていく #びーきゅう

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19 悩んでも 迷っても 怖がってもいいんだ （白紙でも･･･ 花丸 くれるんだ） 初めて 自分を【肯定】してもらえた そんな気がした その 先生の名前は 【大倉忠義】 数学担当で 担任で 先生と過ごす1年間が こうして 始まった #びーきゅう pic.twitter.com/0j9yp9HNf6

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20 大倉先生は ちょっと変わった先生だった ･･･スパッスパッ （あ、来た） スリッパをけだるそうに 音を立てて歩く感じで 近づいてるのが分かる 『ふぁ･･･授業始めんでー』 教室に 欠伸をしながら入ってくるのは ごく日常で （いつも少し眠そうw） #びーきゅう

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21 受験生の担任のくせに 『あんまりなぁ 勉強ばっかせんでええよー？ 息抜きもちゃんとせぇやー 気ぃ狂うでw』 って平気で言うし 休み時間は男子と なんのゲームが面白いとか なんの音楽がいいとか （まるで、先生も生徒みたいw） そんな人だった #びーきゅう

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22 ある日のこと 旅行好きのおばあちゃんが私に お土産でくれた 真っ赤なサンゴのネックレス それを学校に付けていって バレないように シャツの下に隠したんだけど ────ドン！ 「きゃ･･･」 『わ、すまん！』 休み時間 先生とぶつかった拍子に #びーきゅう

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23 『あれ･･･高橋、それ』 隠してたネックレスが 表に飛び出してきてて 「あ･･･っ」 咄嗟に隠したものの 先生にはバレてて （どうしよう･･･没収かな） こんな事なら つけてこなければよかった って泣きそうになった 次の瞬間･･･ #びーきゅう

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24 『校則違反 やけど似合ってる』 先生は笑うだけで 『綺麗な赤やな』 そう言って その場を離れようとした 「え･･･いいんですか？」 思わず聞いたら 『他の先生には 見つからんようにせーよw』 そう言って 頭をポンポン ･･･ってしてくれた #びーきゅう