『荒野の七人』から『マグニフィセント・セブン』にかけての、ガンベルトの変遷

西部劇に出てくるガンベルトの歴史と、『荒野の七人』『マグニフィセント・セブン』で使われたガンベルト(ガンリグ)。
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

ある程度年齢のいった人は、腰回りが気になりだすものです。 私は小学生くらいから気になってましたよ。ウエストもウエスタンも。今日はガンベルトの話。

2017-02-02 18:01:06
蔵臼 金助 @klaus_kinske

新旧二つの“7人”を貼りましたが、お気付きですか? 腰回り。 pic.twitter.com/CT6YJYBuu3

2017-02-02 18:02:59
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ハインケル @lugerp08martz

@klaus_kinske ガンベルトがちゃんとオールドタイプになってる(新)

2017-02-02 18:03:54
蔵臼 金助 @klaus_kinske

ハットでもブーツでも衣装でも銃でもなく、『荒野の七人』と『マグニフィセント・セブン』において、最大の相違点(衣装・小道具面において)は、実はガンベルトにあります。

2017-02-02 18:05:34
蔵臼 金助 @klaus_kinske

優秀なガンマンがいらっしゃいました。『マグニフィセント・セブン』の七人は、通称“オールド・タイプ”と呼ばれるガンベルトを使用しているのです。 pic.twitter.com/3b5ldwlFxg

2017-02-02 18:09:45
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

日本では“ガンベルト”と言う呼び方が定着していますが、“ガンリグ(Gun Rig)”“ガンレザー(Gunleather)”が正しい呼称になります。

2017-02-02 18:17:04
蔵臼 金助 @klaus_kinske

“ホルスター”でも通じますが、どちらかと言えば、ベルト部分ではなく、銃を収めるケース部分のみを指すことが多いです。

2017-02-02 18:20:30
蔵臼 金助 @klaus_kinske

最も古い西部劇スターの一人、ウィリアム・S・ハート(1864-1946)です。サイレント時代に活躍していました。当然、使用するガンベルトはオールド・タイプです。 と言うか、彼が活躍していた頃はそれがリアリズムではなく、実際に西部開拓時代の空気が残っていたのです。 pic.twitter.com/Q1zLDzI193

2017-02-02 18:33:00
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

1950年代から60年代にかけて、ハリウッドでは空前の西部劇ブームが起きました。劇映画やテレビシリーズでスクリーンとブラウン管をカウボーイ達が埋め尽くしたのです。 pic.twitter.com/P2pX8uqGxq

2017-02-02 18:47:40
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

ハリウッドで早撃ちガンマンがインフレ状態になり、ガンベルトの需要も生まれました。その需要を満たしたのが、アルボ・オヤラとアルフォンス・ピネダです。 pic.twitter.com/DtlxiXU4Hg

2017-02-02 18:50:57
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

銃をより速く抜き、堅牢性を持たせるために“メタル・ライニング”と言う、鉄板を皮の間に挟む工法、ハンマーに引っかけて銃の脱落を防止する工夫など、映画向き、あくまで見栄えと早撃ち重視のデザインが発達しました。 pic.twitter.com/8HED8D2o4H

2017-02-02 18:56:10
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

改めて『荒野の七人』を観てみましょう。皆が、メキシカン・ループと言われるホルスターがベルトを直接挟むオールド・タイプのガンベルトではなく、アルボ・オヤラかアルフォンス・タイプのハリウッド式ガンベルトを着用しています。 pic.twitter.com/sprmNeBkxm

2017-02-02 19:03:53
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

あれ? 一人だけ、ループ・ホルスターを使っている人がいますね。

2017-02-02 19:04:54
蔵臼 金助 @klaus_kinske

凝り性のスティーブ・マックィーンだけが、“ガンファイター・ステッチ”と呼ばれる、独特の刺繍を施したガンベルトを使っています。 この模様、見覚えがありますね。 pic.twitter.com/gUTzkSyWrs

2017-02-02 19:07:00
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

“ドル3部作”でイーストウッドが使ったガンベルトと同じです。デザインしたのは、アンディ・アンダーソン。アルボ・オヤラやアルフォンスとはまた異なるモダンなデザインで、多くのハリウッドスターの人気を獲得しました。 pic.twitter.com/WXD80qmkVp

2017-02-02 19:16:04
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

ハリウッドで考案された早撃ち専用のガンベルトは、当然リアリズムではありません。長時間馬に乗ることが出来ず(太ももにホルスターをくくりつける革紐なんて、もっての他です)、あくまでスクリーン専用。 pic.twitter.com/cEhpCot2J2

2017-02-02 19:27:20
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

流れを変えたのが『ロンサム・ダブ』(1989)です。 このTVシリーズは、西部劇におけるリアリズムを一変させました。正しい衣装、ハット、正確な銃器描写、そして、長時間馬に乗っても平気なだぶだぶのズボンとオールド・タイプのガンベルト。 pic.twitter.com/6JdJ4qz1bf

2017-02-02 19:38:44
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

この作品の登場以降、アルボ・オヤラ・スタイルのガンベルトも、70年代辺り迄カウボーイたちが被っていたハットも、いきなり古びたものとなってしまったのです。 pic.twitter.com/YiJWy8ZeK3

2017-02-02 19:41:09
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

それで、改めて『マグニフィセント・セブン』の面々の腰回りを観てみましょう。 基本はオールド・タイプのループ・ホルスターを踏襲していながら、極めてデリケートなタッチでモダンに、スタイリッシュにデザインを再構築されているのが判ります。ハットも同様。 pic.twitter.com/madjbhylBO

2017-02-02 19:47:27
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蔵臼 金助 @klaus_kinske

『マグニフィセント・セブン』は、その物語の骨子とテーマ同様、小道具や衣装、銃器に関しても、過去へのオマージュとリスペクトを込め、21世紀にフィッティングさせた上でのスタイリッシュさを追求した作品なのではないかと思います。 pic.twitter.com/evt2zX8agp

2017-02-02 19:52:12
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