風見SS与太話2 -季節を分ける大戦争-

脳内妄想艦これSS 独自設定注意 ※この話は節分の日に勢いだけで書いた、とりわけ意味不明の度合いが強い妄想話なので要注意
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白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

1. SE-TSU-BOOM...それは、季節の変わり目、立春を前にして艦娘達によって執り行われるセレモニー… 神話の語られる時代は過ぎ去り、架空の鬼ではなく人類の目の前に立ちはだかる真の『鬼』である深海棲艦から受ける厄の気を払う一年の中でも重要なイベントである。

2017-02-03 20:00:29
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

2.「今年も、その時が来てしまったか」 本土より南下した位置に存在する人工の小さな島。中部海域への入り口に当たる座標に存在しながら不思議と深海棲艦達を寄せ付けない事から『聖域』と称されるその島。 とはいえ、一切の資源や自然は存在せずただだだっ広い鉄板の地面が広がるばかりの場所だ。

2017-02-03 20:03:22
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

3.「本当に何にも無い場所なのね…」 五十鈴が首を左から右へぐーっと巡らせて呆れた顔を見せる。 『聖域』という大層な名前を冠するものの、実態はこのように殺風景な場所なのである。 「…だが、それはこれから行われる儀式にとっては大いに都合が良い事なんだ。寧ろそうでなくてはー」

2017-02-03 20:05:57
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

4.『鳶』の面々の横で風見が深刻な顔で呟き、付け加える。 「…死人が幾ら出ても足りん」 ウィイイイイイイン!!!! 突然、設置されたスピーカーから島全域に広がる大音量のサイレンが発せられる。これこそがSE-TSU-BOOMの開始の合図! 「豆は持ったな?行け!」 風見の合図!

2017-02-03 20:09:09
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

5. 呼吸を整え駆け出す四人!更に視界の遥か先で動き出す多くの人影! それはこの儀式に参加する熟練の艦娘達と提督であり、同時に監獄島の艦娘達にとっては競い合う相手だ! 「今回は提督も頑張って下さいね」 微笑む扶桑の横で、ロングコートに身を包んだ風見が頷く。 「ああ…今年こそは…」

2017-02-03 20:12:18
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

6.「一番の成績を収め、優勝賞品の物資を…!島の食生活に…潤いをッ!」 コートに仕込んだ愛銃4丁を一撫でし、風見もフィールドへ駆け出した!

2017-02-03 20:15:23
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

7. 各艦娘達が走り出すと同時に、それまで何も無かった空間に大量の…数えられる数ではない、とにかく大量の存在が突如として湧き始める! 「これがターゲットってワケか!」 その存在は、見た目は一般的に『綺麗』と称される滑らかな尾とヒレを持つ、小型の淡水魚であった。だが、一点が異常だ。

2017-02-03 20:17:40
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

8.「人面魚…!?」 本来その魚の目と口のある部分には、どこかで見たことがあるような髭を生やした男性の顔が文字通り生えているのである! 「ふっはっはっはっは」 突如として聞こえる高笑い! 声につられてスピーカーの上を見やると、長い銀の髪の男性…女性?…が、腰掛けている。

2017-02-03 20:19:13
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

9.「今年もたっぷりと人類厄である世界の断片を用意させて頂いた」 拡声器も通していないのに、その人物の声は脳内に響くかのようにはっきりと聞こえてくる。綾波が周りを見てみれば、島にいる誰しもが同様にその声を聴いているようだった。 「お前達に降りかかる『かもしれない』未来悪…の具現」

2017-02-03 20:19:22
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10.「さぁ、この小さな『世界』に住む主人公達よ、今年も存分に祓いたまえ清めたまえ!この幻想を楽しんでくれたまえよ!」 その人物は言いたいことを言い終えると、ふわりとバック宙を行い、そのまま空中で掻き消えてしまった。 「誰、アイツ?」 「よくわからないけど毎年挨拶する人」

2017-02-03 20:21:19
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

11. ドドドドッ…ドガアッ!! 銃撃音に綾波がハッと我に返ると、後から駆け出した風見が改造ショットガン『アッド』から派手に散弾ならぬ『散豆』を打ち出し、髭男魚の一団を打ち抜いた直後であった。 「ぼさっとするな!儀式は既に開始されている!」 状況の飲み込めない『鳶』に克!

2017-02-03 20:23:51
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

12. 風見の豆を受けた髭男魚は「ア…アァ…」と後日参加者から『何とも言えない罪悪感を感じた』と称される声を発して、まとめて金のモザイクに包まれるようにして消えていく。 「これによって人類厄が少しばかり払われる」 SE-TSU-BOOMは厄を払うためのスコア制艦隊バトル…

2017-02-03 20:24:02
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

13.髭男魚には炒った豆以外の攻撃は通用しない。だが、豆の使用方法自体に制限は無く、毎年炒り豆の飛び交うパーリトゥードバトルが繰り広げられるのだ。 「一匹でも多く奴の用意した厄の塊を無に帰せ!他のどの艦隊よりも多くだ!さもなくば牛肉を食うなど夢のまた夢だぞ!!」 「りょ、了解!」

2017-02-03 20:26:43
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

14. 響き渡る銃撃音、砲音、カラテシャウト。鉄の孤島の上は一瞬にして豆の交錯する戦地と化し、髭男魚はまばゆいばかりの光の塊となって天に召されていく。だが、消しても消してもその総量は全く減らず、さながらハチドリの大群の中に飛び行ったかのような状態で一心不乱に打つ、殴る、斬る!

2017-02-03 20:26:56
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

島の端、戦争から離れた場所には小学校の運動会でよく見る形式の集会テントが張られ、怪しげなカウント機械の周りで各鎮守府の付き添い人らがお茶を飲んでくつろぐ。 「ヴァヴァさん、毎年思うのですが、あのお魚さんは何なのですか?」 先程挨拶を行った人物に茶をすすめながら、鳳翔が尋ねる。

2017-02-03 20:29:20
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

15.「あれも一つの『世界』の在り方…あれら一つ一つは見た目こそああだが、今いるこの世界が辿ることになるかもしれない…そうだな、『悪い可能性』を秘めたルートの塊なのだ。分かりにくければ『雑念』という言葉を当てておくのが良いだろう」 鳳翔の手から緑茶を受け取り、ヴァヴァが語る。

2017-02-03 20:29:36
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

16.「それにしてもあの顔は…うんむ」 カシャカシャカシャと高速で回転を続ける無数のカウンターをぼんやりと眺めてペンを回しながら、スケッチブックを片手にした女性の提督がヴァヴァの語りを聞いて呟く。 「どっかで見たことがある気がするんだけどねぇー」

2017-02-03 20:31:24
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17.「…あの、あのお魚さん達には、モデル…とか、居たりするのでしょうか」 おずおずと聞いてきたのは今回の救護担当の重巡洋艦、羽黒だ。 「それは私も気になってる。あれはその、知り合いに似ている気が…」 羽黒の提督に当たるであろう茶髪の青年も微妙な表情で質問を投げた。

2017-02-03 20:31:53
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18.「うん?モデルなど、居ない」 「(言い切った…)」 顔を引きつらせる面々の前でヴァヴァは得意げに続ける。 「厄の形を選ぶときは慎重だ。これ即ち最も儀式に適した形であり、かつ既存概念に遠い形を選んでいるのだ…つまり、下手に存在する形を使えば、現実の概念にダメージが及ぶからな」

2017-02-03 20:36:25
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19.「んじゃー仮にモデルが居たらどうなるんですー?」 また別の艦隊の付き添いであるピンクのツインテールの駆逐艦が、所持したキーボードを打ち込む手は止めないまま、ヴァヴァに更に問うた。 「そりゃあもう、豆で消される度に『自分』という『概念』にダメージを受ける」 「概念にダメージ」

2017-02-03 20:36:37
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

20.「アバーッ!!!」 聖域から遥か遠く!本土鹿屋鎮守府の「てーとくのお・へ・や♡」と書かれたドアの向こう側から、絶叫が聞こえてくる! 「グワーッ!!!」 再度絶叫!だが、その日駆けつける者は無し!何故なら鎮守府の艦娘達は皆セレモニーのために聖域に赴いているからだ!

2017-02-03 20:40:21
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

21.「このっ!このっ!!…提督!中々スコアが伸びません!」 豆を連装砲に装填し直しながら、浜風が風見に向かって叫ぶ。 「狼狽えるな、ペースを守れ!周りを見て気持ちを引きずられるな!」 「そうは言われましても…」 言い淀む浜風の背後から、「イヤーッ!!」と豪快なカラテシャウト!

2017-02-03 20:42:57
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

22.「わわわっ!」 五十鈴が慌てて頭を下げると、彼女の頭上を巨大な『手』に見える何かが高速で通り過ぎ、髭男魚をまとめて一刀両断! 「アーッ!」「アバーッ!」 鹿屋の提督の概念的上腕二頭筋神経には重篤なダメージ! 「やはり貴方達はまだまだ甘いですね」 聞こえるはジゴクめいた声!

2017-02-03 20:45:46
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

23.「死神!」 ゆらりと髭魚男を掻き分けて現れたのは、鹿屋の死神、吹雪! 目から緑の閃光を迸らせ、左手には豆入りの枡、右手は枡から取った豆を握り込んでいるようだ。 「なにを…」 言い返そうとする五十鈴に構わず、吹雪はキッと左方の魚群を睨むと、チョップの要領で右手で鋭く薙ぐ!

2017-02-03 20:47:53
白樺活性炭濾過物 @bookmark_vodka

24.「イヤーッ!!」 右手からは高速で豆が撒かれ、撒かれた豆はチョップと調和してさながら巨大な菩薩の手のような形を作り、先程同様に魚群を一瞬で沈めていく! 「アーッ!」「アァーッ!」 鹿屋の提督の概念的くるぶしの神経に重篤なダメージ! 「ぐ…ぬ…」 五十鈴は怯み口籠る。

2017-02-03 20:47:58