白い男の話

李氏 @BLUEPANOPTICON

「その瞬間、背中に思いっきり寒気が走って」

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「思わず振り返ると、目の前に店長が立ってて、顔があの白い男と同じになってて」

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「それで俺また気絶しちゃってさ。目覚めると真夜中のコンビニな訳。時計見ると深夜二時回ってて、あまりの出来事に四回もゲロ吐いちゃったよ」「もう訳分かんねぇって、怒ってんのか怖がってんのか分からないような気持ちで家まで帰って。バスも電車もなかったから当然徒歩で」

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「二度とコンビニなんていかねぇって心に誓ったね。接客バイトもやらない。でもまぁ稼ぎ口は必要だからって、しばらくしてから隣町の食品工場で働き始めたのね」

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「しばらくはそこで上手くやってたんだけど、また仕事場に現れるようになったんだよ、あの白い男が」

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「心の中で例のお経を唱えながら無視してたんだけど、全然消えてくれなくて、終いには工場で事故を起こして危うく死にかけて。ほら見ろよ」友人の手には薬指がなかった。

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「んで工場の仕事も辞めさせられて、近所にもそいつが現れるようになって、家の中にはよく分かんない灰色の人影がうようよいて」

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「誰も信じてくれなくて。クスリでもやってんじゃないかって言われて。そうだよなぁ分かんないよなぁ。飼い犬がまっぷたつに割れて中から首のない赤ん坊が出てくるなんて」

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「ああかゆいなぁ。かゆい」友人は帽子を脱いで頭を搔き出した。禿げ上がった頭頂部は異様に白くなっていて、その上には赤い吹き出物がいっぱい、いっぱいあって。

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「もうおしまいなんだって分かるだろ。分かってくれよ」友人の白目が濁り始めた

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先輩は逃げるように立ち去り会計を済ませた。一瞬彼の方を見ると二つの目が真っ黒な穴のようになっていて、口は巨大な三日月の裂け目のようで。

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それ以来彼には会ってないそうで。

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「まぁこんなに怖い思いをした人はなかなかいないよなぁ」と先輩は自慢げに語っていて。

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「すごいとしか言いようがないですね」そう言う先輩の首筋に赤い吹き出物が大量にできていたのは本人には言えなくて。

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その後彼から結婚したと言う知らせが入ってきて

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どう返せばいいのか考えあぐねているうちに気付けば音信不通になっていて。

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あの日先輩の後ろでずっとこっちを見てた女の子は一体誰だったのかなって。

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おわりです

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アンダーワールドのこのジャケに不穏な感じがしますね pic.twitter.com/7tyjCnSGmU

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自分の怪談話でトイレに行けなくなるの可愛くないですか