2017 空想の街 花と海の目覚め #狐の糸散らし 二日目

Twitterの創作企画『空想の街』(@humptyhumtpy)に参加した二日目のまとめ。構ってくださった方々ありがとうございました。
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お売りした傘はお相手様へ届いたようです

はなまめ @gp_c_

「はるさんおはようございますー!起きてー!」冬場のボイラー室は居心地がいい、また寝ていたか。 #空想の街 #浜の錦湯 欠伸を噛み殺しながら室から出ると、中庭でうしおが昨日の傘を椅子に刺し庭の花に水をやっている。#狐の糸散らし どちらの水やりかわかんないなと寝ぼけ頭で波留は思った。

2017-02-05 11:02:36

昼 街中で 花の目覚めの終わりを眺める

都田爽 @S_mycd

花の目覚めは瞬くほどでもう終わってしまうらしい。はらはらと街の中に花びらが舞っている。どれもこれも美しいまま。傘にするに良さそうな風景だと傘売りは思った。 #空想の街 #狐の糸散らし

2017-02-05 14:51:56
都田爽 @S_mycd

昨日原料屋から貰った"虹の化石"がある。七色の花が降る傘はどんなに華やかだろう。今日の空のような薄く鮮やかな青の地が合いそうだ。 #空想の街 #狐の糸散らし

2017-02-05 14:52:37
都田爽 @S_mycd

考えながら、また雨宿の胸は痛む。この美しい景色をあの人に見せたいと思ってしまう。決して叶わぬ事と己で知っておきながら。そしてまた、あの一等綺麗な景色が瞬きの度に瞼に映る。目の前の美しい景色は、それきり彩度を落としてしまう。 #空想の街 #狐の糸散らし

2017-02-05 14:54:02
都田爽 @S_mycd

はぁ、と溜め息がこぼれる。それが白く霞むほどに冬の寒さはまだ厳しい。頭を振り振り、男は再び歩き出した。海が目覚めるというその時までまだ時間がある。この不可思議で楽しい街を今は見て回るべきだろう。 #空想の街 #狐の糸散らし

2017-02-05 14:54:47

夕方 街中から海へ

都田爽 @S_mycd

男は今日も街中をふらりふらりと歩いていた。歩きながら、住み着くのに良さそうな空き家を探していた。暇がある故役場にも足を運んだ。まだこれというものは見つけていないが、二、三目星は付いていた。 #空想の街 #狐の糸散らし

2017-02-05 16:55:07
都田爽 @S_mycd

日も落ちかけて随分と寒くなってきた。「寒いのう…」呟く声も白く色づくほどである。寒い寒いと言いながら、男は相変わらずの作務衣姿であった。「あと四半刻ほどかの」時計を見上げればもうそんな時間である。「さて、海は東であったな」 #空想の街 #狐の糸散らし カラリコロリ、歩いてゆく。

2017-02-05 16:59:54

黄昏時 海呼鳴

都田爽 @S_mycd

男は眼前をぼんやりと見つめた。「寒いのう…」冬の海は見ているだけで寒々しい。けれど、この後に起こるという現象に、男は内心密かに浮き立っていた。珍しく面白そうな、その土地特有のものを見るのは旅の醍醐味である。 #空想の街 #狐の糸散らし

2017-02-05 17:27:40
都田爽 @S_mycd

バリバリバリと空が破けたかというような音がし、すっかり暗くなっていた東の海を閃光がパッと照らした。「からかみなり……」男は呆けたように呟いていた。晴れ空に雷。眼下では海が色とりどりに煌めいている。 #空想の街 #狐の糸散らし

2017-02-05 17:41:47
都田爽 @S_mycd

びゅう、と吹いた風に身をすくめ、そこで男は己を取り戻した。改めて色とりどりの海面を見遣る。美しかった。「ふうむ…。色降りの傘も作ってみるかの」昼には花降りに、と考えた"虹の化石"はこれにも使えそうだった。大事に使わねばすぐに無くなってしまうだろう。 #空想の街 #狐の糸散らし

2017-02-05 17:48:07
都田爽 @S_mycd

水面に触れれば旅路の安全が、というアナウンスを聞いて、男は一歩踏み出したが、足を揃えてそれきり立ち止まった。しばらく―それがどの程度の長さなのかは判然としないが―旅には出ないだろうと思っていた。それに何より、 #空想の街 #狐の糸散らし 「寒いのう…」

2017-02-05 17:54:28

夕から夜へ 一文字さんと

不可村 @nowhere_7

さて、色売りと別れた一文字はまだ海のそばにいた。 氷を触れば旅の守りになるらしい。今更どの面をさげて神頼みのような真似を、とも思うが、もう何でもしたほうがいいのかもしれない。――誰にも何の保証もできないからだ。 ふと、浜から来る狐耳に視線が吸い寄せられた。 #空想の街 #赤風車

2017-02-05 18:44:41
都田爽 @S_mycd

男がふらりふらりと歩いていると、海辺に何やら弁慶が立っている。いや、人がいた。しゃがみ込む青年の手は海に伸ばされていた、が、顔が不意にこちらを向く。 @nowhere_7 #空想の街 #赤風車 気の向くままに、男は話しかけた。「こんばんは。今夜はいやに寒いのう」 #狐の糸散らし

2017-02-05 18:50:58
不可村 @nowhere_7

相手は矢張り旅の商人なのだろうか。次は耳よりも背負われた荷が気になり、一文字は言葉を返す。 「ああ――海辺はよく冷える。空気が澄むのは寒い証だな。…お主、旅の者か」大方氷に触れてきたのだろう、見当をつけて話を振ってみる。 @Sou_ouzi #空想の街 #狐の糸散らし #赤風車

2017-02-05 19:00:45
都田爽 @S_mycd

「うむ。ふらふらと旅をしておるじじいよ。暫くはこの街に厄介になるつもりだがの」そう答え、首を捻って問い返した。「そういうお前さんも、旅をするのかい?」海に触れるのは安全祈願なのだろう? 弁慶に目を向けながら男は訊いた。 @nowhere_7 #空想の街 #赤風車 #狐の糸散らし

2017-02-05 19:08:39
不可村 @nowhere_7

「腰も曲がっておらぬのに翁を自称するとはね」口調はこの際置くとしても、顔体の若々しい相手へそう返す。 「ご覧の通りだ。なに、今後街の外に出ることもあるだろうと見越して海へ来たのだよ。――お主、良ければ風車を買っていかぬか」 @Sou_ouzi #空想の街 #狐の糸散らし #赤風車

2017-02-05 19:15:56
都田爽 @S_mycd

「ほほ、これでも長く生きておるでな」男の細い目が弧線になった。「ふむ、成る程な。冬の旅は骨が折れるからの、安全祈願も良かろうて」 @nowhere_7 #空想の街 #赤風車 #狐の糸散らし 暗がりで見えにくかった弁慶の品はそれか。「風車とな。それは良い、見せとくれ」

2017-02-05 19:22:16
不可村 @nowhere_7

返答に一文字は手を挙げて、眉に唾をつけるふりをして見せた。 道化はそこまで。相手の見やすいように近寄って弁慶を回し、お勧めを示す。「この街に留まるならば #帰路灯 色がよかろう。灯りが風車の中を移動する。帰路の守りだ」 @Sou_ouzi #空想の街 #狐の糸散らし #赤風車

2017-02-05 19:28:42
都田爽 @S_mycd

くく、と男は相手の仕草に笑いを零した。存外笑いのツボに入ったらしく、暫く堪えているようで全く出来ないまま肩を震わせていた。だが話は聞く。「おや、…これは、優しい色じゃのう。…うむ、気に入った、それをおくれ。いくらかね?」 @nowhere_7 #空想の街 #赤風車 #狐の糸散らし

2017-02-05 19:42:26
不可村 @nowhere_7

「きろあかり、と言う色だ。どこで商売をしてもお主の家路を示すだろうよ」この大きさなら5クルークだな、と説明しつつ少し大きめのそれを抜き、和服の相手へ持ち手を向ける。 「俺の風車は音が鳴るのだよ。偶に吹いてやってくれ給え」 @Sou_ouzi #空想の街 #狐の糸散らし #赤風車

2017-02-05 19:54:18