黒木先生のモナドに関する話

あとでちゃんと読むためにまとめておく
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黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 例:モナドは随伴函手から得られるのでした。FX=X×AとUY=Y^AからモナドTX=(X×A)^A=(A→X×A)が得られます。ここでB^A=(A→B)はAからBへの写像全体の集合。こういうものも実用的なのですが、出所は随伴函手の最も簡単な例のひとつである「カーリー化」。

2017-02-08 02:34:06
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 数学をある程度やると「自然な写像」の概念に馴染みます。自然な写像は特別に定義しなくてもいつでもそこにあるような気分になって来ます。そういう直観があれば様々な構成の詳細を見ることなく、色々理解できるようになります。そういう発想がないと圏論がらみの話はつらくなる一方だと思う。

2017-02-08 02:48:42
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 まとめ ・モナドTに対してTXはXに新たな要素や演算を追加して作られる自由T代数であった。 ・モナドTによってXに様々なモノの追加して色々なことをできる。 ・モナド演算μ_X:TTX→TXはXに重複して追加されたモノをひとつにまとめる写像である。

2017-02-08 02:58:36
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 MaybeモナドTX=X⊔{⊥}の話の続き。Maybe X、NothingをそれぞれTX、⊥と書いた。TTX=X⊔{⊥}⊔{⊥'}と書き、以下x∈Xとする。モナド構造はη:X→TX, η(x)=x、μ:TTX→TX, μ(x)=x, μ(⊥)=μ(⊥')=⊥。続く

2017-02-08 10:54:39
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 続き。集合Aと写像α:TA→Aの組がT代数であるとは、η:A→TAとα:TA→Aの合成がid_Aに等しいことと、TTA→TA→A型の写像の合成α◦μ、α◦Tαが等しいこと。以下a∈Aとする。前者はα(a)=aを意味し、後者は常に成立。続く

2017-02-08 11:06:51
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 続き。集合AのT代数構造(=Maybe代数構造)α:TA→Aは集合Aの要素α(⊥)=:⊥_Aを任意に指定することしかしていない。要するにMaybe代数はpointed set(点付き集合、いち要素が指定されている集合)のことである。続く

2017-02-08 11:10:13
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 続き。T代数α:TA→Aとβ:TB→Bのあいだの射f:A→Bの定義は、写像f:A→BでTAからBへの写像としてf◦α=β◦Tfが成立することである。これはf(α(⊥))=β(⊥)を意味する。要するにT代数(=Maybe代数)のあいだの射は点付き集合の射と一致する。続く

2017-02-08 11:14:03
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 続き。要するに、集合の圏上のMaybeモナドが定めるMaybe代数の圏は点付き集合の圏に一致するということ。数学畑の人であってもMaybeモナドとか言われると「なにそれ?」と思う場合が大部分だろうが、点付き集合の圏であれば「ああ、それ知ってます」と感じると思う。

2017-02-08 11:16:53
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 点付き集合の圏の世界では、すべての集合Aに特別な要素⊥=Nothingが指定されていて、集合間の函数は⊥=Nothingを保つものしか考えない。函数の値が⊥=Nothingになることを「計算が失敗した」と解釈すると、函数の合成で何かを計算するときにどこかで失敗すると~続く

2017-02-08 11:27:58
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 続き~最終的な答えも⊥=Nothingになり、「途中の計算が失敗すると計算の全体も失敗する」と解釈できるようになる。たったこれだけの話なのだが、こういう話をコンピューター上でどのように実装するかに最初に詳しく触れてしまうと、超絶シンプルな話であることが見え難くなると思う。

2017-02-08 11:30:49
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 続き。関連数学用語解説 【Aによって生成されたB】これは「Aを含む最小のB」という意味。 例:整数全体の加法群をZと書くとき、「9と15で生成されたZの部分群」は「9と15を含むZの最小の部分群」という意味で3の倍数全体のなす加法群になる。

2017-02-08 22:02:10
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 関連用語解説続き 代数系の名前○○に関する【自由○○】(自由モノイド、自由群、など)における「自由」(free)は必要最小限の関係式以外の関係式が「ない」という意味。 例えば要素aから生成される自由群は無限巡回群{a^k|k∈Z}になる。続く

2017-02-08 22:11:03
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 続き。0でない整数nについてa^n=1という関係式が成立している場合には必要最小限ではない関係式が成立していることになるので自由群でなくなる。

2017-02-08 22:13:00
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 例:要素x,yから生成された自由な「体K上の可換環」は多項式環K[x,y]に同型になる。y^2=x^3のような必要最小限ではない関係式が成立していると自由ではなくなる。 余計な関係に束縛されると自由でなくなるのはリアルな生活でもそうだろう。

2017-02-08 22:18:17
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 リンクメモ arxiv.org/abs/math/04072… State monads and their algebras F. Metayer 集合の圏でのStateモナドTX=(X×S)^SのEM代数の圏は集合の圏と同値ということらしい(Sは空でないと仮定)。

2017-02-09 21:21:39
黒木玄 Gen Kuroki @genkuroki

#数楽 続き。集合XについてX^Sは自然にT上の代数になる。集合の圏におけるStateモナドT上の(Eilenberg-Moore)代数の圏をSets^Tと書くとき、( )^S:Sets→Sets^Tが圏同値を与えるということらしい。

2017-02-09 21:24:20
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