(余白) 『浄夜』 くるくるとかき混ぜる。 いつもは澄んだ色の紅茶が、中に溶けたチョコレートの色で半透明に。 ゆっくり一口ずつ、それを口にする。 思い返す。 私がした、と言うのはおこがましくも思える。 実際に行動したのは彼や彼女であり、成し遂げたのもそうだ。
2017-02-06 03:49:33関わった事を「助けた」と位置付けるのは難しい事だと知る。 この偽証が「そうではない」と思えたのなら、腹の奥底にこびりついた黒いものを削ぎ落とす事が出来るのかもしれない。 そう思えたのなら、彼に近付けた実感を持てるのかもしれない。 ティーカップの中、赤茶色の水面に息を吹きかける。
2017-02-06 03:50:56それをまた一口含んで飲み干した。 どうか、貴方のようなひとに。 私もなれますように。 鼻を掠めた湯気が、僅かに、甘い香りを漂わせた。
2017-02-06 03:51:13【パ/戦闘/調査点6】就寝中のキミを襲う黒ずくめの暗殺者の集団! SP+5、2人以上の支援を得られればHP-7、でなければHP-11。支援した者はHP-6、調査点+6。 appli-maker.jp/analytic_apps/… (本日分は適用されないのがちょっと惜しい。)
2017-02-06 13:58:25(余白) 『夜に溺れよ』 チョコ入りの紅茶を飲んだ夜。寝入りは浅く、小さな物音で目が覚めた。 こんな夜更けに訪ねてくる……否、許可なく扉を開けて入ってくる輩に心当たりはない。 取り急ぎクローゼットからロングコートを引き出して、窓を開け、傘を開く。 躊躇いなくそこから飛ぶ。
2017-02-06 21:02:10追っ手が止むとは考えにくい。 人様に迷惑が掛からず、身を潜める場所が少なそうな所に見当をつける。 出来るだけ速く、周囲の気配を探りながら走る。 ……咄嗟に逃げてきたけれど、恨まれるような事はしなかった筈で。 どうにも腑に落ちない気持ちではあった。
2017-02-06 21:02:32追い詰められたふりをして、殊勝を装って尋ねてみる。 両手を小さくあげつつ、対峙する、暗殺者のお一人に向けて。 「……理由もわからずに殺されるというのは、やり切れなさも残ります。差し支えなければ、こういった事態になっている理由を、さいごにお聞かせ願えませんか?」 鼻で笑った。
2017-02-06 23:21:25「お前でなければならない理由はない。少し騒ぎになりさえすれば良い」 左様ですかと答えてから、気付かれないように少しずつ手を下ろす。 「それでは……お役には立てず、残念です」 心にもない事をさらりと口にした。 くるりと指先で円を描き、両手を広げて、手の中の林檎を握るような素振り。
2017-02-06 23:22:22眼前の彼の頭を水の幕が覆い、忽ち中に水が満ちる。 暴れる呼気が幾つもの泡を作ろうと水球は壊れない。 隠れていた人影が、物影が、殺気が、一斉に蠢き立つ。 一つ強い風が吹いた刹那に傘を開く。トンと爪先で地面を蹴る。 浮遊感、というよりも風にさらわれる感覚で、ロマンチックには程遠い。
2017-02-06 23:24:03無象に蠢く黒い集まりを、ぐるりと囲む。 (満たせ。) 喉を締められる苦しさと這い登ってくる飢餓の気配を、頭の片隅で捉えた。 大きな水球の中をもがく四肢と、無数に立ち上る泡、泡、泡。 ……沈め、とは望まない。気を失う頃には解放しよう。 それで再び襲ってこられても困るけれど。
2017-02-06 23:25:42「怨恨ならば相応に受け取りますが……理由のない生贄になるつもりはありません。そう、お伝えください」 すれ違いにそれだけ言付けた。 家に帰ってからの事を考えると、多少気が滅入る。修繕費が足りると良いのだけれど。
2017-02-06 23:26:08