不知火に落ち度はない特別編　-アウターヘブンIF-（本編）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そしてこんがりと焼かれてるところからして、こいつはローストという仕様に間違いなさそうだ。 視線を移すと、他には同じように頭の出てるコンソメスープらしき物体と、フランスパンが見える。 あと、すりつぶした感じのペーストが置いてあるが、これパンに付けろと？ #不知火に落ち度はない

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あとは同じく頭の出てる、ボディがエビフライみたくなってる奴が一匹。 さらにはデザートらしく、ジャムっぽいものに埋もれた奴が一匹。 どこを見てもお魚さんに似て非なる何かがこんにちはしておいでだ。 #不知火に落ち度はない

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「ジャベ子。お前が作ったの？」 「そうでしてよ？ あたくしが腕に寄りをかけて作ったものですわボス」 スマイルキラキラ。すまんなジャベ子。 「ごめんなお前ら。今海に帰してやるから」 「なにをなさるんですのー！！！？」 皿持って窓開けたら即ホールド。 #不知火に落ち度はない

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「せめて一口！ 一口食べて感想をくださいなボス！！」 「深海棲艦は喰っちゃダメだっつの！？」 そう。こいつらは小型の深海棲艦ユニット。 ジスイズ食べられませんの例である。 「おいしいんですのよー！！？」 「そういう問題じゃねっつの！！？」 #不知火に落ち度はない

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「珍味お好きでしょうボス！？ お酒お好きでしょうボス！？」 「度を超した珍味は無理ですボス！ これ喰えるのお前ぐらいだからー！」 そんなわけで、俺の朝飯テロ回避のターンが始まってしまったのであった。 朝の四時からこれとか、俺の日常辛すぎるんですけど。 #不知火に落ち度はない

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ではジャベ子のご紹介。（画像は改のもの） J級駆逐艦8番艦にして、ジャベリン級になると１番艦の子です。 わりと格好いい武装持ちな上、結構重ための設定持ちのお嬢様です。 そこは遠慮無く貰って行きます。 #落ちぬい pic.twitter.com/Q79Nnux47N

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安心して下さい、はいてますよ（中破絵） 艤装の色が黒くなってるのとかは、その重たい設定がかかわります。 後に出ますのでご確認を。 #落ちぬい pic.twitter.com/LtZpZGjC3Y

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証拠はこちらです。 ごらんください、このドヤ顔とともにある水着スキン。 持ってるやつとはみ出てる奴。 #落ちぬい pic.twitter.com/8N4fGhLDQY

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「つーわけなんですよ、俺朝からまさかのクッキングオブヘルみたいなの喰らったわけです、博士」 「あっはっはー。ボスもさすがにあれは喰えないかー」 そうして朝七時。 3時間の格闘の末に無事、ダライアス飯を回避した俺は研究セクターの技術主任と会話していた。 #不知火に落ち度はない

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白衣の下は大胆カットの短パンノースリーブのキャンペーンガールみたいな服装。 ピンク髪にレッドフレーム眼鏡の眼鏡。 そんなどこのアニメキャラ？みたいなこの人物が主任。 アウターヘブンの艤装開発修理全般を彼女が支えてるつーと、ジョークに聞こえるだろう。 #不知火に落ち度はない

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「で、夕張博士。正味んとこ、ジャベ子のあれはどうなんで？」 「うーん。あの子が食べる分には問題ないでしょ。半分はとっくにあっち側に居る子なんだし」 さらっと何の気なしに言うが、実際は重たい話である。 そう──ジャベリンは人体実験の結果、変質している。 #不知火に落ち度はない

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マンチェスター計画という計画があった。 イギリスにおける艤装開発計画であり、その対象者が先ほどのジャベリンである。 その内容とは深海棲艦を研究し、より連中を効率よく撃破できる艦娘を建造するというもので。 その上っ面だけならはどこにでもある話に見えた。 #不知火に落ち度はない

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ただ、違うのは、そのアプローチの仕方である。 英国では連中の『因子』を解析し、艦娘に植え付けるという形式を取っていのだ。 当然これは非合法で有り、他国には絶対に言えない内容である。 その因子により、ジャベリンは変質し他にはない性能を獲得した。 #不知火に落ち度はない

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短時間における肉体の修復機能に、神経伝達の変更による深海棲艦同士の『会話』の傍受。 さらには索敵性能の向上に、身体機能の上昇などなど。 対毒性能なども、そこには含まれている。 そして対価はジャベリンの精神汚染と、寿命の大幅削減であった。 #不知火に落ち度はない

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当然のことながら計画は大失敗に終わった。 改造終了後のジャベリンは即座に暴走、味方に襲いかかり負傷者を出した。 研究は永久凍結とされ、ジャベリンは『いなかった』ことにされた。 俺んとこにいるジャベ子は、英国ではもうとっくに死んでることになってる。 #不知火に落ち度はない

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「んな簡単に言われても」 「あたしはできることやったし、切り替えスイッチは正常に動作してる。寿命までは平和に生きられるって」 そして、ある事情からそんなジャベ子を拾ってきたのが俺で、それを再度改造したのがこの夕張博士なのである。 #不知火に落ち度はない

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「いや、博士の腕は信頼してますってばさ。ただ、影響度は──」 「データシートでも出す？ ボス──『兵頭少佐』にはわからんでしょ、あたしの艤装システムはさ」 「ま、そりゃ夕張博士のは特注中の特注ですんでね」 そう。この博士のシステムは俺に理解出来ない。 #不知火に落ち度はない

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寧ろ、国内を当たっても理解出来る奴が居ない、というのが正しいのか。 なにせこの夕張博士こそ、ブラックボックスまみれの龍田や天龍の艤装を創った張本人なのである。 艤装開発における、最異端の技術者なのだ、彼女は。 #不知火に落ち度はない

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俺が国を抜けてすぐコンタクトを取ったのがこの夕張博士で有り、彼女はあっさりと俺のチームに加わってくれた。 理由は単純で──彼女はすでに国にとって用済みだったからなんだそうな。 この夕張博士の設計は基本的に量産が不可能なテクノロジーの塊だからである。 #不知火に落ち度はない

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既に第四世代、そして第五世代に続く量産の技術形体と違ったものを設計する彼女はもう用済み。 だが、放逐すると、オーバースペックの艤装を創れちまう。 国は理由を付けて、そんな夕張博士を飼い殺しにすることにしていた。 ほとんど軟禁と言ってもいい状態で。 #不知火に落ち度はない

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そして彼女は技術屋で有り、それを不満としていたため、俺達が『誘拐』という形でスカウト。 その後、俺達の艤装の面倒を見て貰っていた、ってのが真相なのである。 と、まあ、そんときは国もひでえことしやがるって思ってたわけなんだが。 #不知火に落ち度はない

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

そこから1年ぐらいで、この博士を軟禁しないといけない、と思った国は正しかったと知ったわけである。 この夕張博士、技術屋というか研究者としては、相当なイカレっぷりを発揮しておいであり、マッドサイエンティストという言葉が一番当てはまるタイプなのだ。 #不知火に落ち度はない