塚原くん探索　その二【片倉君合流編】

笠木正文 @kasagi_soldier

@azarashi_hei @kuroco_ori 　下流に行くにつれ険しさはなくなるがその代わり探すべき範囲も広がっていく 「さすがに沢周辺の捜索は厳しいか...これ以上下流ならば発見されているだろうし...先生、片倉。戻りながらもう一度来たところを探しましょうか？」

くよこしゃくじょ @kuroco_ori

@kasagi_soldier @azarashi_hei 「わかった！」声をかけて踵を返す。 さすがにめぼしい収穫はなしか...。残念であると同時に、すこし安堵する。できれば塚原の遺体はきれいな状態であってほしい。そんな願望があることに気づく。 「ムシがよすぎるかな..」

片倉たち @azarashi_hei

@kuroco_ori @kasagi_soldier ３人だけでの捜索で探せる範囲は少ない。できることなら人海戦術を使いたい。…しかし誰が信じてくれるだろうか、前世の仲間を探しているだなんて。 気持ちばかりが先走る。

笠木正文 @kasagi_soldier

@azarashi_hei @kuroco_ori 　3人で来た道を戻り再度探索するが塚原は見つからなかった。 「今日もだめか...環境も悪すぎる...気を落とさずやっていきましょう」言葉とは裏腹に険しい表情 「そろそろ罠の様子を見に行きますか？」

くよこしゃくじょ @kuroco_ori

@kasagi_soldier @azarashi_hei 合流。それぞれの表情が険しい。笠木の提案に「そうだな」と返す。 片倉はさぞかし悔しいだろうが、地道な作業は焦らぬことだ。 幸い沢の罠で５匹のウグイの釣果があった。 問題は小動物のほうだ。罠をたどりながらキャンプに戻る。

片倉たち @azarashi_hei

@kuroco_ori @kasagi_soldier 自分が一人加わったところで何の進展もなかった。 ｢そうっすね…｣ 悔しさが思わず表情に出る。 あと俺が貢献できるのは…うまい飯を作ることだ。シメは米だ、なんといおうと米なのだ。

笠木正文 @kasagi_soldier

@azarashi_hei @kuroco_ori 　「落ち込むな。俺らも2週間探して見つけられていないんだ」片倉を励ましながら歩く 魚が5匹も取れたことに喜びを感じ、動物用の罠への期待も高まる。 「すごいですね。まさかほんとに取れるとは」

くよこしゃくじょ @kuroco_ori

@kasagi_soldier @azarashi_hei 1本目、成果なし。2本目、成果なし。３本目、、結局動物罠は全て不発に終わった。 「す、すまん...肉を食べさせてやりたかったが....」 がっくり肩を落とすも、やはり狩猟は甘くない、と実感。しかし逆に燃える気持ちも感じた

片倉たち @azarashi_hei

@kuroco_ori @kasagi_soldier 励まされながら、次は飯にやる気を燃やす。 肩を落としている黒湖先生。｢現地調達の新鮮な魚があれば充分ですよ、魚と野菜で美味しい鍋作りますから！｣

笠木正文 @kasagi_soldier

@azarashi_hei @kuroco_ori 　　「そう簡単にはいきませんね...」 「お、片倉が鍋作ってくれるのか？ありがたい。どちらにせよ危ないからここら辺からは離れよう。あっちにの開けた場所があったな。あそこがいいだろう」

くよこしゃくじょ @kuroco_ori

@kasagi_soldier @azarashi_hei 「片倉鍋、たのしみだな」素直に楽しみだ。笠木とは捜索時間をなるべく多くとっていたので食に対してのタスクを注げなかった。地道な作業は疲弊する。こうやって誰かが来てくれること、たまには生き物を食べることのありがたさを知る。

片倉たち @azarashi_hei

@kuroco_ori @kasagi_soldier この人たちは"食えればいい"と思っている節がある。旨いものを食べたときの回復力は半端なものではない。 探し物や罠仕掛けで体力も腹も減っている。たくさん食べてもらうぞ。

笠木正文 @kasagi_soldier

@azarashi_hei @kuroco_ori 　「それじゃあ片倉が作ってる間に俺は周りの様子を見てくるかな。見える範囲でうろうろしてるので、何かあったら大声を出します」 そんなわけで笠木は周りの様子見ながらまたいろいろ考え始めるのでお二人のパートどうぞ！

くよこしゃくじょ @kuroco_ori

@kasagi_soldier @azarashi_hei 「笠木、よろしく頼む。あまり遅くなるなよ」 驚いた。片倉の手際の良さ。学生時代のやんちゃ印象が強く、調理に取り組む真剣な顔つきに感動してしまう。 ぼおっとしているわけにはいかない。 「片倉、手伝う。何すればいい？」

片倉たち @azarashi_hei

@kuroco_ori @kasagi_soldier 笠木先生はまだ歩き回るらしい。腹減らないのかな…。自分はさっきから腹の虫がうるさい。早く調理に取りかかろう。 黒湖先生が手伝ってくれるようだ。 ｢じゃあ俺魚さばくんで、その間火加減見てもらえますか？｣

笠木正文 @kasagi_soldier

@azarashi_hei @kuroco_ori 　危険なものや場所がないか周囲を見て回る。普段自分が暮らしている人の手の入った場所とは違う自然そのままの森は危険なところしかない、としか言いようがない。 全員怪我なく帰られればいいのだが。不安になる。

くよこしゃくじょ @kuroco_ori

@kasagi_soldier @azarashi_hei 「ん。わかった」三人分の具材を煮込む鍋はなかなかあたたまってくれないが、あっという間に吹きこぼれる。こうなるとガスがやられてしまうので耳をすませて様子を伺う。 片倉の手さばきを時々覗き見ては、元生徒の成長を喜ぶ。

片倉たち @azarashi_hei

@kuroco_ori @kasagi_soldier 先生が鍋を見てくれているうちに手早く魚をさばく。綺麗な水だったからきっと美味しいウグイだろう。5尾も入れたら結構な量になるだろうが、大の男3人なら食える。 ｢せんせ、そろそろ魚いれますよ｣

笠木正文 @kasagi_soldier

@azarashi_hei @kuroco_ori 　一通り見終わったがどうも2人の場所に戻る気にはなれない。まだ、2人といるのはすこし気まずい。 もうしばらく離れていよう。

くよこしゃくじょ @kuroco_ori

@kasagi_soldier @azarashi_hei 「おう。蓋開けるぞ」大量の湯気が立つ。うぐいは片倉の手によって立派な食物になっていた。 そういえば、狩猟について学ぶようになったのは、片倉が行動を共にした杉本一派の話を聞いてからだったな。 ふと縁を感じて笑みが浮かぶ。

片倉たち @azarashi_hei

@kuroco_ori @kasagi_soldier 持ってきていた具材で味付けをする。根菜と魚に火が通れば完成だ。笠木先生をそろそろ呼んだほうがいいだろうか。 黒湖先生の顔に笑みが浮かんだ。 ｢どうされました？｣ 鍋が楽しみなのだろうか。

笠木正文 @kasagi_soldier

@azarashi_hei @kuroco_ori 　うだうだしてても仕方がないとは思うがどうしたって足は2人のほうに進まない。１人ずつならいいのだが2人そろうとやはり前世を思い出す。この自然のままの森もいけない。明治を思い出す。ため息をつく。

くよこしゃくじょ @kuroco_ori

@kasagi_soldier @azarashi_hei 「笠木おそいな」 片倉の作ってくれた鍋がもう食べごろだ。このまま煮続けても、火を止めても、おいしい今は取り戻せない。 片倉の親切。ウグイの命。無駄にはさせない。 「笠木！！！」 山に向かって叫ぶ 「ご飯ですよ！！！！」

片倉たち @azarashi_hei

@kuroco_ori @kasagi_soldier ｢ﾌﾞｯﾊッ！｣ 先生の叫びに思わず吹き出す。真面目な顔で何を言うかと思ったら…俺も言おう。｢笠木せんせー！ご飯ですよー！｣ 腹が減った。早く食べたい。

笠木正文 @kasagi_soldier

@azarashi_hei @kuroco_ori 　あいつらは何を言ってるんだ！？かあちゃんか！！ 「すぐいく！！」大声で返事をして2人のもとに戻る。鍋がすでにできており美味しそうな匂いが漂っていた。 「お待たせしました。すみません」