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kasagi_soldier
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@kuroco_ori @kasagi_soldier 教師にむいてなかった…?笠木先生の表情が曇る。何か理由があるんだ。 「…むいてなくないですよ…ちゃんと先生だったじゃないですか」
2017-02-26 18:24:52![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@azarashi_hei @kuroco_ori 「そう思ってもらえてたのならよかった。...記憶が戻ったことに関連する理由だ。そう気にしなくてもいい。」鍋に残ってる具をとる。
2017-02-26 18:29:04![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasagi_soldier @azarashi_hei ふう、とおおきく息をついて一度空を仰ぐ。やはり、という思いがある。 「それこそ今話をしたらどうだい、笠木?..無理にとは言わんが」 塚原が作ってくれた縁かもしれない。
2017-02-26 18:39:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kuroco_ori @kasagi_soldier 残った飯をかっこむ。目線を向け、話を待つ。きっと今聞かなきゃ二度と話してくれない。この人は、俺と同じで不器用だから。
2017-02-26 18:44:49![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@azarashi_hei @kuroco_ori 「長くなりますよ?」 2人の様子を見て、一呼吸おいてから 「...明治を思い出すたびに、今がいつだかわからなくなるんです。もちろんすぐに気付くんですけど。今と昔を混同して振る舞ってしまうときがあるんです。」 表情は暗い
2017-02-26 18:55:03![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasagi_soldier @azarashi_hei ランタンの光に浮かび上がった笠木の顔を思い出す。 「聞いてるから、続けてくれ」 コーヒーの準備をする。鍋に水を入れ、鍋をどかしたコンロにかける。
2017-02-26 19:00:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kuroco_ori @kasagi_soldier 先生の記憶が戻ったのは最近なんだろうか、俺の知らない時の話しになるのだろうか。他にも気になることはあるが今は笠木先生の続きを待つ。 コーヒーのいいにおいがする。
2017-02-26 19:10:14![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@azarashi_hei @kuroco_ori 「混同しては気付きを繰り返すたびに、気付くまでにかかる時間が長くなっていきました。そして現状に気付くたびに俺はなぜ軍人ではないのかと絶望する自分もいました。...時代錯誤の人間は人に物を教えるべきではない。それだけです。」
2017-02-26 19:16:23![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasagi_soldier @azarashi_hei 湯がふつふつと煮立つのを見ながら聞いていた。 「いつからその感覚があったんだ?」 実習で共に過ごしたあの数か月にも、その兆しがあったのだろうか。
2017-02-26 19:34:37![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kuroco_ori @kasagi_soldier 自分は混同しなかった…と言ったら嘘になるのかもしれないが、そのことではあまり悩まなかった気がする。 でもそのせいで辞めるなんて、俺は納得がいかない。
2017-02-26 19:39:33![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@azarashi_hei @kuroco_ori 「思い出し始めたころから、実習してた頃から既に。教員になって1年もしたころにはもう、街中で自分のいる場所がわからずパニックになるくらいには...年寄りみたいですね。先生たちは、そういうことはなかったので?」
2017-02-26 19:44:36![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasagi_soldier @azarashi_hei 笠木もその現象に悩んでいたのか。「おれはなあ..いや、もう、なあ片倉。冷静に考えると本当にどうかと思うんだが...。俺の場合はみんなの最期がオーバーラップするんだ。こうなると全身が竦んで動けなくなってしまって。」
2017-02-26 19:53:51![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kuroco_ori @kasagi_soldier 「…俺は」 一番最初に飛び出してって、いなくなった。それより先は知らない。自分の精神は何も変わってない。「パニックになったりはしてないですね…あまり変わらないと、いうか、むぅ…」
2017-02-26 20:04:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@azarashi_hei @kuroco_ori この間の先生の取り乱し様はそれだったかと思う。 「はは、片倉らしいなぁ...まぁそんなわけで山にいるというわけだ。山はいいぞ、誰かに出会って思い出すなんてこともないし今日生きることだけに集中できる。」
2017-02-26 20:09:39![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasagi_soldier @azarashi_hei 「ああ」なるほど笠木が山にいるのはそういうことか。彼は彼の平穏のために山にいる。それ自体に反対する気はない。 しかし.. 片倉を見る。
2017-02-26 21:09:16![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kuroco_ori @kasagi_soldier やっぱり納得できない。眉間にシワがよる。「教師を辞める前に…誰かに相談したりしなかったんですか」
2017-02-26 21:20:40![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@azarashi_hei @kuroco_ori 「相談... 考えたこともなかったな... 」 今言われてはじめて気がついた。 相談してみてなんとかなったかは分からないが、なぜだれかに相談しなかったのだろう
2017-02-26 21:24:28![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasagi_soldier @azarashi_hei へえ、と思う。笠木が片倉の言葉に揺れている。片倉のまっすぐな性格の賜物か。 もうしばらく静観しよう。カップをことさらゆっくり準備する。
2017-02-26 21:32:21![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kuroco_ori @kasagi_soldier 「記憶がある奴なら他にもいたはずです。先生達だけじゃなくて、生徒だった俺だって…」そこまで言ってじわりと視界がにじむ。自分が相談相手になれるわけがない。わかっていたけれども、不甲斐なさに腹が立つ。何故気づけなかったのか。
2017-02-26 21:47:14![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@azarashi_hei @kuroco_ori 「すまない」 それしか言えなかった 片倉の目に涙が浮かんでいくのが分かる。悔しいのだろうか、怒りを感じているのだろうか。泣く理由がわからなくて黙ってしまう。どうしたらいいのだろう
2017-02-26 21:50:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasagi_soldier @azarashi_hei 「ん、できた」コーヒーを二人に渡す。 煮詰まった顔の若者を見る。 とりあえず一口飲むのを見守った後、 「現代に転生した意味をどう考える?」 「転生自体奇跡だろう。記憶を持ち、同時代に。」 「これは偶然か、必然か」
2017-02-26 21:56:00![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kuroco_ori @kasagi_soldier 軍人だった時代と違い、涙腺が緩い。コーヒーを受けとり一口啜る。その熱でまた涙が出る。 黒湖先生の言葉にアイヌの少女が言っていたことを思い出す。 「…天から役目なしに降ろされた物はひとつもない」
2017-02-26 22:02:17![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@azarashi_hei @kuroco_ori コーヒーをすすり気持ちを落ち着ける。 片倉は、必然だと思うのか。 「必然.... か、」 気にしたこともなかったことだ。が、これだけ条件が揃えば必然と思うしかないのだろう。
2017-02-26 22:09:07![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasagi_soldier @azarashi_hei 片倉の言葉が妙に耳に鮮烈に残った。片倉に手ぬぐいを差し出す。 「おれはね..こっちでようやく自分をみつけたんだ」 「笠木、この間は言えなかったな、おれの最期は自殺なんだ。自分も未来も空っぽでどうしようもなかった」(続
2017-02-26 22:22:59![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@kasagi_soldier @azarashi_hei 「こちらでとある人物に出会って初めて自分にも与えられるものがあると知った」 「志半ばで死に別れたがこちらで漸く共生できた奴もいる」 だから 「怖がらなくていい。笠木がパニックになるなら引き戻してやるから」
2017-02-26 22:23:14