其れは繭玉

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トト@TYA中邪 @glnewto

【パ/戦闘/調査点7】パンドラ幹部らしき黒衣の魔法師が絶大な力でキミを襲う! SP+7、3人以上の支援を得られればHP-9、でなければHP-13。支援した者はHP-7、調査点+7。 #GC茶 appli-maker.jp/analytic_apps/… (……そっちか、って顔)

2017-03-02 00:32:08
トト@TYA中邪 @glnewto

(3/2診断分) 『外皮』 「今日は一人かね」 そう話しかけられる。戦場にあってひどく冴えた声で。 「……傭兵、ですから」 属する軍を仲間とするならば、一人であって一人ではない。 けれどその目的は個人の生死に縛られない。

2017-03-02 03:02:52
トト@TYA中邪 @glnewto

「成程。失敬、こちらの聞き方が悪かった。  今日『も』一人なのかねと聞くべきところだったかな」 胸の内が冷えてゆくのを感じる。 最近こういう手合いばかりで、本当に、嫌になる。 「どこまで遡りましょうか?」 冷めた声で、冷めた目で、首を傾げて見下ろすように尋ね返す。

2017-03-02 03:03:32
トト@TYA中邪 @glnewto

「簡潔に答えられる範囲でお願いしたい。あまり時間もないものでね」 帰ってきた答えを笑う。 「でしたら ―― 遠回りな事こそ、やめにしませんか」 ほう、と呟いて魔法師も薄く笑った。 「遺言ぐらいはゆっくり伺おうと思ったのだが、  お嬢さんが自らそう望むのなら」

2017-03-02 03:04:07
トト@TYA中邪 @glnewto

彼が右掌を返し、火を一つ灯した。 「手短に用件を済ませるとしよう」 こちらが混沌を掴む間も待たず、炎は燃え上がり襲いくる。 身体を後ろに退き、爪先で地を蹴るが遅く。 咄嗟に外套の裾を掴み顔を庇う形で身を翻す。 右腕から背にかけて燃え移る火が外套を、その下の皮膚を焼こうとする。

2017-03-02 03:04:57
トト@TYA中邪 @glnewto

熱に、怯える。 焼ける痛みが背中に走った途端、その記憶が引きずり出される。 「 ―― あ……」 喉の奥で引き攣った声を立てた。 火の移った外套を地面に押し付け、その憶えごと消そうとした。 立ち上がろうと左手をつく。 魔法師の、固い革靴の爪先が、腹部を抉るように蹴り上げた。

2017-03-02 03:06:23
トト@TYA中邪 @glnewto

「っぐ、ぅ……!」 飛ばされ、蹲り痛みを堪える間にも、 残る燻りが背中を焼いているような気がした。 痛みとは別の恐怖がぐるぐると頭に巡り始める。 (怯むな。) 噛みしめて再度手をつき膝を立てる。 再び爪先に力を籠め、右手に槍を取る。 次の手を構えて笑う魔法師目掛けて駆け出す。

2017-03-02 03:07:22
トト@TYA中邪 @glnewto

何も考えずに真正面から仕掛ける。 笑って、魔法師は言った。 「まるで獣だ」 そう言って、再び炎を放つ。 右手の槍で、辺りの混沌を水に変えて薙ぐ。炎を切り裂いて尚も走る。 左手にもう一方の槍を掴み、彼に肉薄して肩に振り下ろす。 「……ええ、その通りよ」 至近距離で薄笑う顔を睨んだ。

2017-03-02 03:08:08
トト@TYA中邪 @glnewto

焦げ落ちた右袖の下に、火傷を刻んだ腕が覗いた。 構わず振り上げる右手には見向きもせず、 彼は、自分の右肩に刺さった槍、その柄を握る私の左手首を 軋むほどの握力で掴み、引いて退けると、 がら空いた脇腹に手刀を撃ち据えて落とす。 仰向けになる身体、先程抉られた腹に靴底が落ちる。

2017-03-02 03:09:10
トト@TYA中邪 @glnewto

血の味が喉を競り上がり、咳と共に吐き出される。 身を起こそうにも、足一本に縫い止められて叶わない。 ギリ、と歯を食いしばる。 彼は腕の火傷に目を細めて言った。 「……先の火で付いた物とは違うね。あの短時間でそうはならない」 目を見開く。 (暴くな、それ以上 ―― )

2017-03-02 03:09:56
トト@TYA中邪 @glnewto

「それに火だけでその傷はつかない」 「黙れ!!」 何もない空の手に混沌を収束。 透明な細い棒切れのような氷柱を魔法師の顔目掛けて放つ。 一瞬浮いた足、その脛を腕で薙ぎ払い、退けて立ち上がる。 既に息が荒いのは、腹部に残る重圧のせいじゃない。 額を薄く切った魔法師が忌々し気に、

2017-03-02 03:11:00
トト@TYA中邪 @glnewto

それでもまだ笑う。 「……あまりに分が悪い。助けを呼んだら如何かね」 「必要ない」 くるり、指で円を描く。そして水の牢を。 薄く張られた水の膜が、蒸気と共に音を立てて失せる。 「自分の首を絞めるだけだと思うのだがね」 炎の蛇が再び襲いくるのを、眼前に厚い水膜を張って防ぐ。

2017-03-02 03:12:36
トト@TYA中邪 @glnewto

豪、と強い音がした。 違和感に気付いても対応が遅れる。 炎も水も横一文字に切り裂いた風の刃が、両腕を胴を深々と斬りつける。 前のめりに、俯せに倒れる。 腕を支えに立とうとして、裂傷が鋭く痛む。 足音がゆっくりと此方へ近付く。

2017-03-02 03:13:52
トト@TYA中邪 @glnewto

「傷が増えるほど、君にとって状況は悪化するのだろう?」 外套を胸元に引き寄せながら、近付く魔法師を睨み上げた。 這いつくばりながら、蔑むような笑いを見上げていると、 蓋をした筈の恐怖がまた頭を掠める。 あまりにも、そっくりな光景に見えた。

2017-03-02 03:14:33