攻城大陸二次創作IF「もしアヤノとリクトが本編で絡んだら」

佐賀屋火花 @muku_fire_muku

「あーの愚図小娘……ようやく気付いたんだ」 月が去り、日が昇り始める。群青色に染まりかけた空を見上げ、リンネは苦みの混じった笑みを浮かべた。舌の上に乗せる味は悔恨に似ている。渋く、後に残り、けれど味わうことを止められない。 「最初会ったときから、あんた全然変わってないよ」

佐賀屋火花 @muku_fire_muku

──あんたはさ、愚図な小娘で──。 「──それで、ずっと泣いてて、助けて助けてって叫んでる、バカでアホで救いようがなくて……誰よりも不器用なだけの、ただの人間じゃんか」 ──あたしもさ。 磔刑の聖女。ジオノヘイズの城核に捧げられた娘。 その願いもまた──誰かと繋がることならば。

佐賀屋火花 @muku_fire_muku

「あたし達は──今からでも、戦える！　殺すんじゃない──あたしは！　お前と！」 「私は……リンネ、あなたと！」 ──リクトを。 ──白竜ラティを。 ──堅城グラン・ソラスを！ 円卓外戦力の竜騎兵と、廃棄された巨神が。 「「──やっつけに行く、戦いを！」」

佐賀屋火花 @muku_fire_muku

神と竜が交わり、そして新たに再臨するのは真なる姿。 怨恨の衣を脱ぎ去り、慟哭の代わりに賛歌を奏で、奉祝の内にそれは地平線を埋め尽くす。無数の触腕が地表を舐め、城門にはかつて屍と呼ばれた竜が組み込まれていた。 虹色の輝きを放つ機体。白銀の光で虚空を染め上げる息吹。

佐賀屋火花 @muku_fire_muku

「──行きますね、リクト君」 ──私と、リンネと、このルッカスで──。 「屍竜。かつて竜に裏切られ神に虐げられ、全てを憎むことしかできなかった竜騎兵。今は──けれど、こんなにも喜んでます！　こんなにも歌っています！　私達は捨てられてなかった……私達は、償うために戦える！」

佐賀屋火花 @muku_fire_muku

地平を薙ぎ、空を裂き、星空まで穿つほどの超大な突撃槍。 茨によって支えられたその突端を、白竜に──リクトに向けて。 アヤノは、清爽に微笑む。 星霜の下、ただ強く、ただ悲しく、ただ美しく。 微笑み、そして、殺意ではなく戦いの意志を振るう。 「三輪綾乃。ベルネス・リンネ。そして──」

佐賀屋火花 @muku_fire_muku

──屍竜ではなくて。 「八仙転生之竜──ルッカスが、あなたを、やっつけます！」 「……ああ──俺も！　俺も、ラティも、グラン・ソラスも！　お前を……やっつけるさ！」 ──戦うんだ！ 倒すため。 生きるため。 生き抜いていくため──約束のため。 ──滝の如き光が、衝突する。

佐賀屋火花 @muku_fire_muku

何か追加した。