たゆさいオリジナル妄想　『テシナプス』　「輪花」　その２

たゆさい @tayusai

前回のエピソードです togetter.com/li/1075380

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ただしテシナプスはサクラダファミリアの如く長い期間開発中であり設定に大きく変更が起きております

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例えばテシナプスの森羅万象司る概念ですが今まで「クウラカ」と言ってましたがなんでもかんでも専門用語作るべきでは無いという判断により現実にもある「エーテル」にしました（四源の考え方はそのまま）

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これに伴いおたまが所属するメイジ育成道場も「クウラカ会」から「エーテル会」へ変更しております。前回エピソードと齟齬が発生しておりますがご了承下さい

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たゆさいオリジナル妄想　『テシナプス』　 「輪花」　その2

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翌日。おたまは道場内にある瞑想スペースで胡坐を組み、己の内なるエーテルを高めるトレーニングを行っていた。エーテルはテシナプスの森羅万象を形作るものであり、メイジはこれを己の精神によって操る。このトレーニングは精神を研ぎ澄ます事でその力をより高めるものなのだ。１

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一方、おたまの師匠である陽来ゼルヴァは隣の茶の間で横になり、煎餅をボリボリとかじりながらテレビに映っているワイドショーを見ている。内容は先日新体制が発足したばかりである「三鴉　八汰」政権についてだ　２

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「これまでの『礎溜菜　照』政権はひどかったですからねぇ。労働時間を減らしたせいで国際競争力が大きく落ちましたし文化振興とか言ってポルノを蔓延させてました。ヒルデンにとって大きな被害ですよこれは！」「その点三鴉さんには期待できますねぇ。ボランティア推進法には期待が持てます」３

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「ええ、企業が無賃労働を強制できるんでしょう。これは素晴らしい。チルカにも対抗できますよ」「それにポルノ規制も強化されますからねぇ。あんなものはヒルデン人の恥ですよ」「全くその通りですよ。ああいうのを好む人間は犯罪者予備軍の集まりですよ」「同感ですな」４

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おたまは耳に入ってくるこれらのコメントを適当に流しながら瞑想を続ける。急にワイドショーの司会者が慌てた声でコメンテーター達の話を遮った時も同様だった。「すみません。話の途中ですがここで速報です！　陽来市内にある市立中学校で爆発が起きたとの速報が入りました！」５

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これには流石におたまも驚いた。「何ィッ！」陽来市立中学といえば輪花が通っている所だ。ここで爆発が起きただと！？ おたまは胡坐姿勢から一瞬で跳躍し、隣の茶の間の襖を勢い良く開いた！「おい師匠！爆発だってか！？」「ああそうだとよ！ 全く物騒だよなぁがはは！」６

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「笑ってる場合じゃねえジジイ！あそこは輪花が通ってんだよ！」「あ？ 誰だそりゃ？」自分の門下生の名前も覚えておらぬ師匠の事は無視しておたまはテレビを凝視する。赤色の瞳とテレビの間はわずか数センチだ。「今はまだ負傷者の数は不明ですが、現地にカメラが入り次第続報をお送り……」７

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「ちょっと行ってくるぞ！」おたまは風のようなスピードで茶の間を飛び出し自分の部屋に入り壁に掛けてあった緑色のロングカーディガンを羽織りロードノルの魔術大学生じみた意匠のつばの大きい帽子を頭に被り腰にベルトを巻きそこに杖「Ｓ２１１レッドバイパー」を差した。外出用の装備だ。８

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「おりやぁッ！」そこからおたま玄関へ瞬間移動じみた速度で走り一瞬で厚底サンダルを履いて外に飛び出した。そして中庭で跳躍！ 道場の塀、そしてその周囲の森をひとっ跳びで跳び越しナルサ湖沿いの道路の歩道に着地！ そこから更にジャンプ！ ナルサ湖水面に着水！ ９

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おたまはメイジならではのエーテル力により水面に沈む事無く浮かぶ。そして一気に走る！速い！猛烈なソニックブームを発しおたまが走った後の水面が爆発する！おたまそのまま一直線に対岸にある陽来市街へ進む！　１０

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「とおうッ！」おたま対岸に近づいたところで一気に跳躍！　遂に陽来市街に入り手近のビルの屋上に着地、そしてまた跳躍！　今度はビル壁に片足をつけそこからジャンプ！そして別のビルへもう片方の足を着け、ジャンプ！反復横跳びの様にビル壁の間をおたまは跳ぶ！　１１

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おたまはビルを跳びながらメイジの視力で目的地である中学校を見る。確かに黒煙が上っているのが見える。一体中学で何があったか？　三鴉政権反対派によるテロか？　おたまは考えを巡らすが途中でやめた。答えは行けば分かる。　１２

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おたまが中学に到着すると、そこには予想以上の惨状が広がっていた。煙を濛々と上がるひしゃげた校舎。あちこちに生徒や教師の物と思われる肉片。腕や脚が千切れ悲鳴を上げる担架の上の生徒。それを搬送する救急車。陽来市警の警察。ＷＭＡから派遣されたと思われるメイジ。１３

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「おい！」おたまは警察官に声を掛ける。「あ、珠・ブランシェさん！どうしてここに？」「あたしん所の門下生の一人がここに通ってんだよ！『輪花・ヴィオレ』って名前だ！知ってるか！？」おたまは心配のあまり声を荒げる。「い、いえ、今は生存者の捜索と身元確認の途中ですので、なんとも」１４

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「あ……ああ……輪花。あいつ……」その時、一人の担架に乗った男子生徒がうわ言を呟く。その顔は半分潰れている。「あいつだ……あいつがやった……突然……キレて……身体から……触手……」「何だって！？てめえ今なんつった！？」おたまはその生徒の胸ぐらを掴む。１５

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「あ、あの、怪我人にそんな乱暴な……ガバラッ！」おたまその警察官に邪魔だといわんばかりに殺気を放つ。警察官泡を吹いて倒れる！「あいつ……いつもより、なんか明るかったから、ちょっと殴ったんだ。そしたら……なんで、なんであんなのに……なんで……ッ！」男子生徒は事切れた。１６

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「輪花が？　そんなバカな！あいつはまだメイジじゃねえ。肉体変化も起きてない。ましてやこんな大破壊が出来る筈がねえ。どうなってんだ？」おたまは真相を確かめるべくエーテル感知を行う。全身から微弱なエーテル波を発し、それが別のエーテルとぶつかる事で起きる反応を捉える技だ。１７

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おたまは校舎周辺から極めて強力なエーテルの残滓を感じた。そしてそこに微かに輪花のイメージの存在を得た。「間違いない。輪花だ。クソッ！」おたまは残滓を追いかける。どうやら輪花は校舎で暴れた後、学校を出て裏手の山中に行ったようだ。おたまはエーテル感知をそこへ向ける。１８

たゆさい @tayusai

……いた。山の中で確かに輪花の反応がある。だがこのエーテルは普段おたまが輪花から感じるものとはまるで違う、歪んだ形になっていた。明らかに本来の普段の輪花よりも遥かに強く、そして邪悪な力におたまの顔は更に険しくなる。おたまは脚にエーテルを込めた。両脚から緋色のオーラが漲る。１９

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おたまは跳んだ。跳躍直後、地面は大きく砕け、周囲に衝撃波が飛び、周りの警察、救急隊、怪我人を怯ませ、悲鳴を上げさせた。おたまは山を覆う針葉樹林の中に入り込む。そして外から見ても分かる程に木々を揺り動かしながら走った。輪花がいる元へ。２０