なぜ「けものフレンズ」は童心に返って児童アニメ的作品を楽しみたいファン達の期待に反しハードSF的な考察ものと化したのか?

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生命情報保存研究所 @rodan670

もちろん深夜アニメのフィールドであっても、「これはいわゆる事物の美少女化アニメであり、彼女たちはもともとそういう存在であり、その背景について言及するつもりは一切ない」というスタンスに終始することも当然可能であり、この姿勢が守られたならば、

2017-03-25 18:11:11
生命情報保存研究所 @rodan670

「けものフレンズ」は童心に返って児童アニメ的作品に向き合いたい層が真に欲した、過度な考察も緊張も不要な癒しのアニメとして完成していたものと思われる。ではなぜ、そのスタンスはとられなかったのか?

2017-03-25 18:15:05
生命情報保存研究所 @rodan670

その要因として、この作品においては、美少女化のモチーフが、世界各地に生存する「様々な種類の動物達」だったことが少なからず影響しているものと思われる。哺乳類、鳥類、爬虫類等あらゆる生物たちが人間の美少女に変化している。だが忘れてはならない事として「人間」もまた一種の動物なのである。

2017-03-25 18:20:46
生命情報保存研究所 @rodan670

「ならば『けものフレンズ』の世界において当の人間たちは一体どうなってしまっているのか?」という疑問は当然のごとく出てくる。

2017-03-25 18:24:50
生命情報保存研究所 @rodan670

何らかの企てをもって動物達を自分たちの姿に変形させ、監視している上位的存在であるのか?それとも何らかの事情により自身の姿を動物達に明け渡し、自分達は存在を許されなくなったダブー的な種であるのか、妄想していけば際限なく、「けものフレンズ」の世界線における人間の在り処については

2017-03-25 18:29:42
生命情報保存研究所 @rodan670

「けものフレンズ考察班」における重大なテーマともなったが、このような考察に対する誘惑、というより引力は、製作者側にものしかかるものであり、製作者側がこれを無視しきれず、何らかの合理的な解答を用意してしまおうものなら、

2017-03-25 18:37:32
生命情報保存研究所 @rodan670

作品は「動物さんたちのほんわかとした日常」を描写した児童向け的アニメからハードSFへと瞬間的に変貌することとなる。しかしそれはただ一途に童心に返りたいだけであった層が真に求めた展開であったのか?

2017-03-25 18:44:19
生命情報保存研究所 @rodan670

「けものフレンズ」が、多くのファンの期待に反し、純然たる児童アニメ的作品に留まりきらなかった原因たる、夕方アニメと深夜アニメの間に横たわるもう一つの差異は、その放映期間である。

2017-03-25 18:48:55
生命情報保存研究所 @rodan670

夕方帯の児童向けアニメは1年、2年という年単位を基準に放映されることが多いが、対する深夜アニメは長くても2クール、ほとんどのものは1クールで終了することが常識となっている。製作者側がどれだけ作品世界を温め、キャラクター像を掘り下げていても、

2017-03-25 18:54:02
生命情報保存研究所 @rodan670

視聴者の目にとまるのはこの1クールが中心で、放映終了後には新たに枠を与えられた数十のアニメ群に押されて、よほどコアなファン以外の脳内からはところてん式に押し出され、作品の存在は忘れられる。

2017-03-25 18:57:55
生命情報保存研究所 @rodan670

この作品の大量生産大量忘却のうねりの中では、製作者側はなんとしても用意された1クールの枠の中で作品世界のすべてを語りつくし、なおかつできる限り視聴者たちの記憶にとどめおきたいという欲求に駆られる。作品自体が生き急ぐこととなる。

2017-03-25 18:58:27
生命情報保存研究所 @rodan670

「宇宙はなぜできたのか」「自分はなぜ生まれたのか」「何のために生きているのか」等については有史以来人間にとっては普遍のテーマであり、どのような人間であろうと一生に一度は頭をひねらせ、またもし解答が得られればひどく喜ばしい問題であろうが、「解を見つけた」と声高に叫ぶものは少ない。

2017-03-25 19:04:52
生命情報保存研究所 @rodan670

それはそのようなものの絶対的な解答が容易に得られるはずもないことを多くの者は悟っているからであり、またあえて捜し求めるにしても一生をかけてじっくり理解できていけばよく、何も今この瞬間はじき出さなければならないものでもないためである。

2017-03-25 19:09:09
生命情報保存研究所 @rodan670

これに対し、基本的に1クールの枠しか与えられない深夜アニメでは、せっかく用意した作品内世界を描写しきる余裕は限られているが、反面、製作者側は作品内世界の創造主である以上、その世界にまつわるあらゆる絶対的解答を最初から有することができている。

2017-03-25 19:13:47
生命情報保存研究所 @rodan670

作品内世界を根底から押し動かすからくり、システムを解き明かす作業は、その世界が一体どういうものであるのかを最も効率よく説明するための手段となるので、製作者はその内容について言及していく誘惑に駆られる。

2017-03-25 19:23:49
生命情報保存研究所 @rodan670

「けものフレンズ」においてそれは「動物が美少女化(フレンズ化)した背景」「作品内世界における『人類』の所在」「ジャパリパークの歴史」「かばんちゃん及び『敵』(セルリアン)の正体」等々についての解説ということになるが、

2017-03-25 19:26:48
生命情報保存研究所 @rodan670

このフルセットをこなしていかねばならぬならこれはやはりもう児童向け的アニメではありえず、考察に重心を置いたSF、ミステリ、ひいてはホラーの方向へ傾いた作品ということになっていってしまう。

2017-03-25 19:30:18
生命情報保存研究所 @rodan670

奇妙にも思えるが、児童アニメ的側面を持つ作品と、SF、ミステリ、ホラーとは、そのギャップが要因となり印象、記憶面における親和性がひどく高い。一見ありがちな魔法少女ものに思わせつつ、その実過度に残虐な内容を含んでいた「まどかマギカ」が大変なブームとなったり、

2017-03-25 19:49:04
生命情報保存研究所 @rodan670

「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」等、平和な子供向けアニメには、悉く不穏な都市伝説の類がついてまわることからもそれは分かる。「温かみのあるあのアニメに、そのような裏設定があったなんて」という衝撃は、強固な記憶となって脳に残りやすい。

2017-03-25 19:49:22
生命情報保存研究所 @rodan670

製作者側が、自身の手がけた作品が忘却されることを回避しようと試みるならば、一見平穏な作品にこそ、考察要素を与えることは有効である。これに対し、基本的に年単位での枠を与えられている夕方アニメならば、ここまでいき急ぐ必要はない。一年の放映期間でも50近い話数を与えられるため

2017-03-25 19:50:29
生命情報保存研究所 @rodan670

「世界のからくり」などという壮大なテーマに逐一言及することなく、日常的なストーリーを漫然と続けているだけでも、作品内世界がどのようなものであるかは自ずと描きつくされていき、場合によってはもはや描くものがなくなって満足のうちに終了、ということもあり得る。

2017-03-25 19:53:39
生命情報保存研究所 @rodan670

この点において、夕方帯の純然たる児童アニメは、「世界や自らの生についての答えなど、人生をかけてぼんやり理解できていく程度でも構わないとする」我々の思考と相通づる余裕を持てていることとなり、考察色に身を染める必要性へ迫られることはない。

2017-03-25 20:25:17
生命情報保存研究所 @rodan670

大局的な傾向でいうと、近年のアニメファンには重厚な設定と緻密な複線とを張り巡らせたSF大作よりも、視聴する上でさしたる思考も緊張も求められることなく、ただフィーリングで楽しめる日常系の作品のほうが好まれてきている。

2017-03-25 20:31:08
生命情報保存研究所 @rodan670

未知なる難問をテレビの前で解き明かしていく体験の新鮮さこそが、考察型アニメを視聴する上での主なる喜びであろうが、ケーブルテレビや動画サイトを通じ、過去から無数に作成され続けてきた同様の考察型アニメ群に常時触れられることのできるようになった現代においては

2017-03-25 20:40:18
生命情報保存研究所 @rodan670

その体験はもはやその気になればいつでもできるという点で新鮮さを失いつつあり、同時に最新の作品であっても、考察していく過程において、もし過去の作品で見られたものと類似した方向に展開が流れ、答えが予測できてしまえば一挙に興ざめ、ということにもなりうる。

2017-03-25 20:48:49