素直になれたら③

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76 私はその優しさを踏みにじったんだ 涙が…っ、止まらないよ… 「やだぁ結真、なんで泣くのよう〜」 『ごめんね波美っ…、』 ごめんね、大倉くん… 私ってこんな人なんだよ 大倉くんみたいな素敵な人に 好きって言われるような資格なんてないんだよ #素直になれたら

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77 「わかった、もう何も聞かないから…、結真が話したくなったらでいいから、泣かないで？」 ありがとう 波美、あなたの存在が いつも私を助けてるんだよ とても大切で 無くすわけにはいかないくらい 私には必要なんだよ？ #素直になれたら

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78 その後も 大倉くんにひどい事をしたショックで 授業が頭に入らない 許してもらえなくてもいい こんな気持ちより やっぱりきちんと謝りたい そう思うけど… 何度も話しかけようとするけど 大倉くんのその横顔を見るたびに 勇気が出せなくなる #素直になれたら

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79 結局時間だけが過ぎて 謝ることもできない 近くに 隣にいるのに ずっと気まずいままの1日が終わる 帰る準備をすると 廊下のほうから私の名前を呼んでる人がいる 「川合さん、ちょっといいかな？」 ん…？あの人は さっきぶつかった人だよね #素直になれたら

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80 ひええええ〜！！！ もしかして転んだところが痛むとかって 文句言いにきたの！？ 『あの…、さっきはごめんなさいっ！』 クラスにまで来たことが怖くてすぐに謝る 「違うって、もうそんな事はいいんだよ〜。ちょっと話があって一緒に帰ろうと思ってね」 #素直になれたら

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81 そりゃ、ぶつかったのは悪かったけど 全然知らない人と なんで一緒に帰らなきゃいけないの 『…ごめんなさい。今日は友達と帰るので…』 そんなのは嘘だけど やんわりと断る 「ふぅん…、さっきの体当たりはひどかったよな〜。俺は全然悪くないのにな〜」 #素直になれたら

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82 んな…っ！？ 弱みに付け込むのかこの人は 『…わかりました、じゃあ今日だけ…』 「そうこなくっちゃ！」 なんでこうなるの こんな人の言いなりにならなきゃいけないのよ 「そうそう、俺は3年の渋谷すばる」 えーーーー！？ 先輩じゃないの！？ #素直になれたら

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83 なんで学年違うのに 私の名前を知ってるのよ！？ 「そんな驚いた顔すんなって、…まぁそんな顔も可愛いけどなっ」 私の頭の中がぐちゃぐちゃだよ このイケメン先輩はなにを考えてるの？ とりあえず今日だけ一緒に帰って それで許してもらおう #素直になれたら

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84 疲れ切って席に戻ると 今度は波美に捕まってしまう 「なになに、何なのよう〜！渋谷先輩となに話してたのよ〜」 …しぶたにせんぱい？？ そんなのなんで波美が知ってるのよ 「結真、知らないの〜！？渋谷先輩はイケメンでモテモテって有名じゃないの！」 #素直になれたら

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85 波美ってば さすがイケメン情報には詳しいな 「ねねっ！その渋谷先輩となに話してたのよっ♡」 私の肩を揺すって興奮してる波美 『…うん、それがね…、』 さっき廊下でぶつかってしまったことと なぜか一緒に帰る約束をさせられたことを波美に話す #素直になれたら

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86 「きゃあああ〜♡いいなぁ結真ってば！渋谷先輩と一緒に帰れるなんて夢みたいじゃないの〜」 そ…、そうなのか…？ 私はちょっと苦手だけど… 『じゃあ波美、そろそろ行ってくるね。待たせると悪いから…』 許してもらうのに 遅れるわけにはいかないもんね #素直になれたら

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87 待ち合わせ場所の中庭のベンチに行くと 後ろ姿が見えて声をかける 『お待たせしてすみません。じゃあ…帰りましょうか？』 「まぁええから座れや」 『はぁ…、』 こんなのは早く終わらせたいけど 機嫌をとっておかなければと 素直に言うことを聞く #素直になれたら

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88 「話ってのはな、俺、結真ちゃんに一目惚れしてん…」 『はぁ…、って、…えぇ！？！？』 「…俺本気やで、」 なんなの突然 そんなの困るよ 「俺と付き合うよな？」 『…は！？』 もちろん断ることなんてないだろうという 自信満々の表情をしてる #素直になれたら

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89 『あの…っ、お気持ちは嬉しいんですが…、えっと…ごめなさいっ』 「…何でや！？彼氏居らんやろ？」 『い、いないですが…』 「じゃあなんで断るん？」 どんどん私に距離を縮める渋谷先輩 『あのっ、さっきのこともですが…、ほんとにごめんなさいっ』 #素直になれたら

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90 なんだか怖いよ とりあえずここから立ち去らなきゃ そう思ったら 「捕まえた」 『えっ！？』 ギュッと腕を掴まれる 男の人の力には敵わない 「もう逃さない」 『やだ…っ、離して』 顔が近づいてくる なにするの！？ 誰か…助けて…っ！ #素直になれたら

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91 「ほら、俺を見ろや」 顎を片手で持ち上げる 『嫌です…っ！』 「こんな放課後に誰も居らんやろ、大声出しても誰もこないで」 なんで 私そんなにひどいことしたの 謝ってるのに もう許してよ こんなことなら渋谷先輩の言うことを聞くんじゃなかった #素直になれたら

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92 私のばか 後悔の気持ちだけが大きくなる 「泣いてる顔もええなぁ」 あぁ、もうダメ ぎゅっと目をつむる 嫌だよぉ …助けて、大倉くんっ！ でも大倉くんが来てくれるわけない 当然だよね だってもうこんな私とは 話もしてもらえないんだもん #素直になれたら

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93 ーーーードカッ！！！ …その瞬間 聞きなれない音が響く ゆっくり目を開けると 大倉くんが真剣な顔で 渋谷先輩を睨みつけてる さっきの鈍い音は 大倉くんが思いっきりベンチを殴った音だったみたい 「何やねんお前っ、邪魔すんなや！」 #素直になれたら

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94 「こいつにちょっかい出さんといてくれますか」 「はぁ！？…お前関係ないやろ」 『…俺の女ですから。手ぇ出さんといてください、渋谷先輩』 「ええ加減にせえよ！この子彼氏おらんやろ」 『…っ、大倉くん、助けてっ！』 とっさに大倉くんの背中に隠れる #素直になれたら

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95 大倉くん 来てくれた こんな私の為に 助けに来てくれるなんて 「ふざけんなよ！ええわ、めんどくさいし。帰るわ、」 こちらを睨みながら帰っていく よ…、良かったぁ… 怖かったよう 「結真ちゃん、大丈夫やった？」 私の顔を心配そうに覗き込む #素直になれたら

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96 『大倉くん…っ、私…』 「…遅なってごめんな、」 私を優しく包み込んで 頭を撫ででくれる 『あのね、…ぅ、大倉くん…、た…助けてくれて…っ、ありがとう、』 涙が溢れてきて うまくお礼が言えない 「結真ちゃんが無事なら…、そんなんええねん」 #素直になれたら

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97 大倉くんの胸のドキドキが聞こえて ホッとする そんな私は 安心して気が抜けたせいか 全然足に力が入らなくなる 『あ、あれ…？』 そのまま腰を抜かしてしまう 「おっと、危ない…、」 立てなくなった私の身体を 大倉くんが抱きとめてくれる #素直になれたら

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98 ふわっと優しく抱き上げて ベンチに座らせてくれる 「結真ちゃんっ、怖かったんやね。アイツ…許されへんわ！」 今にも殴り出しそうな表情で 顔が険しくなる大倉くん 『うわ、もう平気だよっ！大倉くんが来てくれたからねっ、うん、もう大丈夫だよ』 #素直になれたら

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99 私のことで騒ぎを大きくしたくなくて 必死で落ち着かせる 大倉くんは強引でチャラ男で 最初は苦手で こんなことなら再会なんてしないほうが良かったのにって思った でも、懐かしくて温かくて 誰か教えて こんなに心から安心するのはなんでなの？ #素直になれたら pic.twitter.com/2FC3qSG1FN

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100 私の身体が元に戻るまで 抱きしめて手を繋いで一緒にいてくれる 大倉くん なんだか不思議だな こんな嫌な気持ちなんてまだ何も知らない 私の知ってる 純粋な私と大倉くんに… 昔に戻ったみたい あの時の誓いのキス もう一度してみたいなぁ… #素直になれたら