「輪廻転生廃止は許さない」に関する文化人類学者goyou氏のツイートまとめ

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佐藤剛裕 @goyou

このニュースを読んで思うところをちょっと書きます。Newsweek 日本語版:中国「輪廻転生廃止は許さない」http://t.co/FyVIBC6

2011-03-08 20:42:58
佐藤剛裕 @goyou

皮肉だとか、ブラックジョークだとかいう反応が見られたのですが、そういうレベルの問題ではなく、もうちょっと危機感を持って読まなくてはならないと思ったからです。

2011-03-08 20:44:14
佐藤剛裕 @goyou

このニュースでは、元中国人民解放軍である共産党幹部が、「われわれはチベット仏教の歴史的慣例と宗教儀式を尊重しなければならない」などと語り出したことを伝えているが、これは、中国側が次期ダライ・ラマの転生者を擁立する準備を着々と進めていることを示しています。

2011-03-08 20:44:34
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佐藤剛裕 @goyou

亡命したダライ・ラマ14世は、ゲールク派一宗派による支配が近代化の立ち後れを招いて国家主権を失ったと考えてきたので、とくに1970年代以降、超宗派運動を支持して、宗派間の融和を推し進め、チベット人全体の統一を図ろうとしてきました。

2011-03-08 20:45:14
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佐藤剛裕 @goyou

それに対抗するために、中国共産党は、旧権残存勢力であるゲールク派保守強硬派政権を復活させてチベット支配の原理に据えようとしていることが、このところの、中国政府はチベットの宗教文化を保護する、次期ダライ・ラマは必ず転生する、というプロパガンダに明確に表れています。

2011-03-08 20:49:26
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佐藤剛裕 @goyou

そのために、中国共産党政府は、チベット自治区内外のゲールク派の保守強硬派勢力に秘密裏に資金援助を行い、ダライ・ラマ14世の、超宗派運動を基盤に据えた民主化政策を妨害しています。ここで言うゲールク派の保守強硬派勢力というのは、ゲールク派内部の少数派ではなく、むしろ大多数です。

2011-03-08 20:50:33
佐藤剛裕 @goyou

つまり、チベット人社会が内側に抱えている差異の部分で起こっている軋轢を激化させるようにしむけながら、20世紀半ばのチベット侵攻以前にチベットを支配していた論理を、チベット自治区の支配原理として都合の良いイデオロギーに仕立て直して賦活させようとしているのです。

2011-03-08 20:52:24
佐藤剛裕 @goyou

中国共産党政府がゲールク派の保守強硬派と一体になってチベットを支配しようとした時に、チベットの文化破壊は完全に終結するといえるでしょう。

2011-03-08 20:52:47
佐藤剛裕 @goyou

チベット人社会が内在的に抱えてしまっている差異というものがなんであるかということを意識しない限りは、それを乗り越えることは出来ないのです。

2011-03-08 20:56:47
佐藤剛裕 @goyou

こういう話をしていると、あの人は、チベット人が触れたくない問題を口に出して、世界中で盛り上がっているチベット支援の流れに水を差そうとしている不愉快な人だという反応をするチベット支援者が多いのですが、もうそうは言っていられない時期にきているでしょう。

2011-03-08 20:58:46
佐藤剛裕 @goyou

チベットを支援しようという者は、ダライ・ラマ14世やカルマパ17世の支持している超宗派運動とその理念に基づく民主政権を支持していることでしょう。その時に、20世紀前半までのゲールク派政権を懐古するような反動的言説には耳を貸してはならないという明確な意思を持つべきだと思います。

2011-03-08 20:59:01
@ayesnays1

うぬ、こういう話がちょっとは理解できるようになっただけでも、先日のコプト談義は意味大有りということだな。破壊したいモノに対し、支援という形をとりつつ実質抹殺していくんだなあ。オソロシヤ

2011-03-08 21:00:54
佐藤剛裕 @goyou

これから3/20に控えているチベットの首席大臣の決選投票は、インドでもネパールでも、中国政府の工作による選挙妨害の危機にさらされています。この選挙が無事に執り行われるように祈るのみです。皆さんも関心を持ってニュースに注目して下さい。 http://t.co/8rc11bo

2011-03-08 21:04:52
佐藤剛裕 @goyou

明後日が3/10でラサのポタラ宮前広場に人民が終結した記念日ですね。亡命政府の首席大臣の決選投票が3/20だから、今月一杯くらいはチベット関係のピリピリしたニュースがいろいろ出てくるでしょう。

2011-03-08 21:11:31
佐藤剛裕 @goyou

二年前からずうっと同じことを言ってきたのですが、ゲールク派保守強硬派層が反ダライ・ラマ化の傾向を強めているという問題に言及できないでいるチベット研究者には説明の出来ない事件がいろいろ起こってくることは本当に危惧しなくてはならないです。

2011-03-08 21:12:27