ツイッター小説 お気に入りセレクト 2011/03/08

rime @prhymethyme

#twnovel 水と食べ物を足りなくないように置いておく。部屋の中は暑くも寒くもないように温度調節して。何より大事なこと、逃げちゃうといけないからしっかり戸締まり。じゃ仕事に行ってくる。寂しくないよね。猫だもん。退屈はするのかな。…あれ、猫だっけ？ あなたほんとに猫だったっけ？

たむらはん @tamuuuuuu

「船長、今すぐ地球に引き返しましょう！」「無理だ。」「無理でも帰らなければなりません！」抗議する彼の声は荒く、体は小刻みに震えていた。「どうしたんだ？」「この船には重大な欠陥があることが先ほどわかりました！」「それはなんだ？」「この船にはトイレがないんです！」 #twnovel

愛沢いさむ @tomatoma328

１０年の引きこもり生活に終止符を打つべく、やる気を総動員して就職情報誌と履歴書用紙を買った。なんとかやれそうな仕事が載っていた。警備員だ。履歴書の名前がうまく書けず、何度も書いては丸めて放る。やっと職歴の欄まで進んだ。そして気が付いた。職歴は自宅警備員だけだった。#twnovel

愛沢いさむ @tomatoma328

人類最後の希望であるタイムマシンが完成した。「博士、これであの憎き機械人間の発生前に行けるんですね」「うむ。奴らの誕生は絶対に許してはならん」出し抜けに研究室のドアが蹴破られ、武装した男達がなだれ込む。「我々はあなた方の子孫だ。タイムマシンが完成しては困るんでね」#twnovel

まつ すけ @matsuske

源氏名で名前を隠し、胸には途方も無い夢と合計400ccのシリコンが詰まっている。毎日一時間のメイクで周囲を振り向かせ、髪型はウィッグで自由自在だ。繊細な所作で性別すら偽り、タバコとニンニクの匂いが充満する街で、J子ちゃんは歌うように嘘をつく。 #twnovel

雪月 @setugetufuka

#twnovel ｢どこにでも行けるとしたらどこに行きたい? 宇宙の果て? 過去? 私はね。ちょっとだけ先の未来を見てみたいんだ。例えば20年後に、自分が誰と暮らしてるのか気になるし。｣ 僕は君の中に入って、君が僕をどう思ってるのか知りたいよ。結婚式前日にそんな事を言うなんて。

秋山幽/Ghost Mansion @A_ki_ya_ma_Yu

#twnovel 酷い地震に耐えきって、作家の男は最期の小説を書き上げた。…どうやら、世界が終わるらしい。けど、自分の頭の中にあった世界は全て書き上げられた。もう満足だ。男は家から出た。赤い空、砕ける地面、人々の悲鳴。男の中に、次々と新たな世界が生まれた。駄目だ――まだ死ねない。

(｡･ω･｡) @AWACS004

皆さんあまりご存知ないようですが、僕らは毎日、細長い管の中から皆さんの暮らしを観察しています。夜には体を光らせて、良く見えるように工夫もしています。さて、観察の結果ですが、どうもこの星の人々は飲んだくれと色狂いばかりのようですね。そろそろお暇します。　ネオンより　#twnovel

matsumiyaノヴェル @matsumiyanovel

失業した。食券を先に買うメシ屋ばかり行くようになった。牛丼280円とかだ。そんな感じで吉ぎゅうで並盛を食べ、帰ろうとしたら食い逃げで追いかけられた。ここは食券じゃない。店員が詰め寄り巡査が来た。わめきながらお金を払ったら帰してくれた。さびしい汗が出た。 #twnovel

TAG @bttftag

#twnovel 「未来から来た科学者というのは君かね？」「はい。ある物を持ってきました」「悪いが帰ってくれないか。善し悪しはともあれ、人は自分の未来を知るべきではない。ましてや未来の物を手に入れるなど以ての外だ」「そうですか。花粉症を完治させる薬なんですが」「そいつをよこせ！」

すわぞ @suwazo

#twnovel 「物心ついたときには畑にいたわ。豊かな土壌の広い畑。同じ苗から育った兄弟姉妹と寄り添って眩しい陽光と優しい雨を浴びてた。幸せだった。人間がやってきて嫌がる私や姉妹を収穫するまでは」売春宿の少女は寝台の上でそう語る。その背中には何かを無理にもぎ取ったような傷跡。

夕凪奏恵 @k_you_nagi

#twnovel 読んだことのある本だろうか。やけに記憶と重なる描写、展開、登場人物。偶然が重なっているだけだろうか。それとも身近な誰かが名前を変えて書いた作品なのだろうか。読みすすめていくうちにその疑問は確信へと変わっていく。これは私の物語だ。完結している。そう、終わったんだ。