爪切りあやさなby夏星

妄想
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夏星 @natsu_hoshi

あやさなで爪きり、なら。「文さん、爪を切ってあげます!」「いりません」「わぁ一瞬の間もない即座の拒絶ですね!?」「ええ、指を切り落とされたくありませんから」「ちょッ」此方を見ようともせずにばっさり却下の文に、早苗はむむっとして、その背中に擦り寄り、薄い背中を指先でくすぐる。

2011-03-08 23:13:50
夏星 @natsu_hoshi

「文さぁん、どうしても駄目ですか?」「おや、色仕掛けなんて覚えたんですね。偉い偉い。じゃあもう少し胸が重くなったら再トライお願いします。落ちてあげますから」「……あ、文さん? 酷いです」「お? 今のは上手い。涙に濡れていて実にひっかかる声です」「…くっ」ぎりりと背中を抓る。

2011-03-08 23:16:59
夏星 @natsu_hoshi

「爪ぐらい切らせて下さいよ!」「嫌ですね」「どうして?!」「指を切り落とされるのもごめんですが、切った爪を持ち帰ってよくない事をしそうなので」「え、え゛?」「最近、素敵なおまじないの本に嵌っていますね」にこやかーな文の笑顔に、演技でなくべそっとして「けちー!」「けちで結構です!」

2011-03-08 23:18:56
夏星 @natsu_hoshi

「だって、ほら! もう爪きりの道具もゴミ箱も用意して準備万端なんですよ!?」「知りませんねぇ」「爪、下さいよぉ!」「というか、爪なんて何するつもりなんですか?」「愛を永遠にもぎとり手放さない伝説の――」「もういいです。聞いた私が馬鹿でした」「ちょ?!」「…はぁ」

2011-03-08 23:21:30
夏星 @natsu_hoshi

「……爪、そんなに欲しいんですか?」「むぅ。……欲しいですけど、でも」「でも?」「……今は、それより文さんの爪を、切りたくなってます」「…相変わらず目的と手段が入れ替わりまくる子ですね」「こ、子供扱いしないで下さい!」ムッとして涙目の早苗さんに、文は苦笑して、そっと手を差し出す。

2011-03-08 23:23:39
夏星 @natsu_hoshi

「へ?」「どうでもいいですけど、爪のお持ち帰りはご遠慮します」「え? あの」急にほっそりとした少女の手を差し出されて、咄嗟に受け取りながら、その感触と温もりにドキリとする。「……い、いんですか?」「いいですよ」「…本当に?」「ええ。…駄目って言ったら騒がしそうですし」「ちょ!?」

2011-03-08 23:26:05
夏星 @natsu_hoshi

文の言い分にむぅっとしながらも、おそるおそる文の手をとり、爪きりをそっとあてる。少し震えながらもぐっと力を入れて――パチン。「…あ」人間のより、固いのかも、と思っていたそれはあっさりと取れて。意外で、そっと上目遣いに見ると、にこやかな文の顔。ボッと何故か赤面してしまう早苗。

2011-03-08 23:27:58
夏星 @natsu_hoshi

パチン、パチン、と音がする。早苗はもう顔があげられなくて、ひたすら俯いて爪だけを見て、パチン、と爪を切っていく(文さんの指、細い、綺麗。妖怪って、こういう所もずるいなぁ)片手の爪を形よく切り、やすりをかけようとした辺りでひょいっと手がいなくなる「あれ?」「はい、お終い」「…え?」

2011-03-08 23:30:17
夏星 @natsu_hoshi

「ど、どうしてですか? まだ、そっちの手も、足も、残ってますよ?」「いいですよ。これで充分です」「で、でも」「……ほら、満足したでしょう?」「…っ」なんだか、適当にあしらわれているみたいで、ムッとして、それ以上に何だか悲しくて、うぅってする早苗に、文は「…はぁ」とため息をつく。

2011-03-08 23:31:53
夏星 @natsu_hoshi

「あのですねぇ」「…っ」ぽんっとその頭を撫でて。爪の切られた手をちらりと見て唇を尖らせる。「……多分、無自覚なんでしょうけど。私たちの関係で、爪を切る、というのはですね。遠まわしなお誘いと受け取られないのです」「……っ ……?」「あぁ、やっぱり自覚無し、ですか」はぁっとまた溜息。

2011-03-08 23:35:01
夏星 @natsu_hoshi

何だか早口な文に、早苗は「え?」と顔を上げると、文はむっすりとして「なのに、貴方は占いだの、切りたいだけだの、私を振り回して」「え? 文さん?」「私だって、怒りますよ」と先程とは違い、文の方がむすりとしていて、早苗は必死に頭を回転させる。回転させて、彼女の言う何かを、遅れて理解。

2011-03-08 23:37:33
夏星 @natsu_hoshi

「えぇええ!?」「ッ、な、何ですか! 悪いですか! こ、恋人に、そういう期待をしたら!?」叫ぶ早苗に、文が苛立った調子で真っ赤になって怒ると、早苗はぶるぶるぶる! と首を振って「あー」とか「うー?!」とか唸りだす。「あ、文さん!?」「な、何です?」「その、あのですね!」

2011-03-08 23:39:13
夏星 @natsu_hoshi

きりっと真っ赤なままだけれど決意した顔で、がしっと文の手を掴む早苗。「そ、その申し出! 東風谷早苗、謹んでお受けします!」「改めて受け取らないで下さいよ!?」「いいえ! 文さん、不束者ですがよろしくお願いします!」「わー!? わー!?」大混乱に陥る文と、決意漲る早苗だった。

2011-03-08 23:41:50
夏星 @natsu_hoshi

……爪きりあやさな。何でこういう感じになるのかとね? ええと、分からない方は分からないままでいい感じのだねこれ! ごめんなさい! とりあえず、あややはそのまま早苗さんの両手両足の爪を丁寧に切られて、準備万端にさせられて赤面しまくりで、がんがん頭を壁にぶつけてそうなの。

2011-03-08 23:43:52