カロウシ・ノー・リモース #1

ネオサイタマ電脳IRC空間 http://ninjaheads.hatenablog.jp/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
Twitter小説 文学 書籍 ニンジャスレイヤー
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
◆「青い」◆「いつでも連れ出しに参る」「便利なタクシーね」◆「デジ・プラーグ2へようこそ」◆「恨み?……お前に話す事は無い」◆「自信がおありのようだ。サツガイに二度触れた結果ですか」◆「貴方、何人も殺しましたね! 我が同胞を! そうか!」◆
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
◆「苦しみ続けろ! モータルの怒りを知れ!」◆「貴様の力はわかった……それは貴様のものではない!」◆「俺は魅力的だ、弁も立つ。愛する女も助け、万能感に満ちておる」◆「オムラ社のマシンガンですよ!」◆「手綱を握るのは、おれ自身……!」◆「あれは、ニンジャスレイヤーです」◆
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
ネオサイタマ、ニトベ・ステーション付近、地下シャッター商店街。うすら錆びた金属シャッターの表面には、店ごとに思い思い不統一のコマーシャル・アートが描かれていたが、どれも今は色褪せていた。空気はひんやりと冷たく、地上の重金属酸性雨の中よりもなお肌寒い。 1
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
明滅する蛍光ボンボリ・ライトの影から影へ歩き進む黒装束のニンジャは、ときおりつんのめるようにバランスを崩しながら、ひたすらに先を急ぐ。道の端にうずくまる浮浪者から無雑作にボロ布を奪うと、マントのように身を覆う。ニンジャ装束は目立つからだ。 2
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
尤も、目立つからといって、誰も咎める事はあるまい。ニンジャの恐怖を多くの人々が伝聞のうちに深く心に宿し、いたずらにその行いに好奇の心を持てば不幸が待つ事を、なかば本能のように知るからだ。そしてそもそも現在のネオサイタマにおいて、異質な佇まいである事に何程の注意の意味があろうか。3
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
だが今この時、このニンジャは執拗な追跡者から逃れるべく動いていた。この人気無いシャッター街を抜け、ニトベ駅構内に至れば、雑踏に紛れる事は容易だからだ。……彼が奥の闇に消えた数十秒後、新たなニンジャがその場を通過した。赤黒の装束と「忍」「殺」のメンポ。ニンジャスレイヤーである。 4
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
彼は途中、半分シャッターを開いたガレージ・ショップに立ち寄った。出てきたときには装束の上からキャスケット帽とコートでニンジャらしさをやはり隠していた。しかしその足取りと殺気は少しも緩んでいない。彼はあの黒いニンジャを……エッジウォーカーを、必ず追い詰め、殺すつもりだった。 5
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
彼の手を染める血は高温で熱され、蒸発していった。エッジウォーカーの血だ。既に彼はイクサを終えた。一度は。彼はエッジウォーカーの心臓を貫いた。だが敵は生きていた。黒装束が塵と化して崩れ、カロウシ死体が残った。その光景を目撃していた市民は白目を剥いて叫び、黒装束を纏い、逃げ去った。6
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
極めて奇妙な体験だ。「サツガイ」の残り香はカロウシ死体にはもはや無く、逃げ去る背中から発せられていた。エッジウォーカーは複数居るのか?バカな。いまだその正体はわからぬ。だが、まだ取り逃がしてはいない。前方の照明が明るさを増し、やがてニトベ駅の改札が現れた。 7
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
近い。感じる。ニンジャスレイヤーは改札を通過する。構内には通勤サラリマンがごった返している。「名刺を受け取ってください!お願いします!」安物のスーツを着た若いサラリマンが中年サラリマンの行く手を遮り、名刺を差し出そうとして、逆にカバンで殴打され、転倒した。ナムアミダブツ! 8
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
「邪魔だ!」「アイエエエ!」あれは社員研修を行っているニュービー・サラリマンだ。腕時計でモニタされながら、彼は名刺ホルダーいっぱいの名刺を見ず知らずのサラリマンと交換し終えるまで、決して駅構内から出る事を許されない。ニンジャスレイヤーは彼らを一瞥し、なお先を急ぐ。 9
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
駅のホームにはちょうど、十両編成の電車が走り込んできたところだった。ニンジャスレイヤー側が最後尾だ。彼の目が細まった。その赤黒い眼差しは、確かに捉えていた。サツガイ接触者の後ろ姿を。エッジウォーカーは周囲を素早く睨み、ドアが閉まるギリギリのタイミングで車内に滑り込んだ。 10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
「……」ドアが閉じる。混雑率5割の車内、エッジウォーカーはようやく息を吐いた。だがそれもつかの間。ニンジャスレイヤーの視線に気づき、その目を見開く。ニンジャスレイヤーも車内に入り込んでいた。撒けなかったのだ。「久しぶりだな。エッジウォーカー=サン」ニンジャスレイヤーが言った。11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
エッジウォーカーは苦々しく答えた。「そうだな……10分ぶりか」「未練を捨てるには充分過ぎる時間だ」ニンジャスレイヤーは言い放つ。通勤サラリマン達は椅子に座ったり、吊革につかまったまま、手元の新聞や携帯IRC端末をじっと見ている。ニンジャスレイヤーは敵めがけ決断的に接近する! 12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
「イヤーッ!」「イヤーッ!」二者のチョップがかち合い、火花が散った。次の瞬間、ニンジャスレイヤーが繰り出した逆の手はエッジウォーカーの喉笛を抉りぬいていた。「グワーッ!」血飛沫をあげて転がるエッジウォーカー!「アイエエエ!?」そのさまを目撃したサラリマンが悲鳴を上げた! 13
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「ニンジャ?ニンジャナンデ!?」ナムサン!ニンジャの実在がほぼ規定事実となったこの時代においても、ニンジャのイクサを否応なしに見せつけられれば、やはりNRS(ニンジャ・リアリティ・ショック)症状は避けられぬ。「ニンジャナン、アバーッ!」後ずさるサラリマンが突如黒い霧を吐いた!14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
黒い霧はサラリマンの身体を瞬時に覆い、装束を形成する!そして邪悪な悪意を込め、落ち着き払ってニンジャスレイヤーを見返すのだった。「これは!」ニンジャスレイヤーは呻いた。彼の足元にうずくまるエッジウォーカーの装束は崩れ落ち、ただのカロウシ死体になり果てた。先刻と同じだ! 15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは瞬時に飛び掛かり、内臓破裂の中段蹴りを叩き込んだ。「グワーッ!」「アイエエエエ!?」後方で悲鳴!サラリマンが椅子から立ち上がり悲鳴を上げた。エッジウォーカーはサラリマンを見た。「アバーッ!」サラリマンは黒い霧を吐き、装束を纏う! 16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
「イヤーッ!」「グワーッ!」跳び蹴りを叩き込む!そのコンマ5秒後!「イヤーッ!」「グワーッ!」ニンジャスレイヤーは背中にチョップを受けた。真後ろでエッジウォーカーは会心の愉悦に目を細め、ニンジャスレイヤーを見ていた。「イヤーッ!」「グワーッ!」後ろ肘打ち!だが……! 17
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
「イヤーッ!」「グワーッ!」またも死角から「新たな」エッジウォーカーからの攻撃を受け、ニンジャスレイヤーは倒れ込んだ。「アイエエエ!」「アイエエエエ!」今や車内はNRS症状を起こしたサラリマン達が悲鳴を上げ、後ずさり、阿鼻叫喚のありさまとなっていた。このままでは……! 18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
「どうだね、俺を殺せそうか?イヤーッ!」エッジウォーカーがのしかかり、ニンジャスレイヤーを殴りつける!ニンジャスレイヤーのニューロンをニンジャアドレナリンがどよもし、瞬間的なカジバチカラが生まれた。「イヤーッ!」彼はエッジウォーカーの腹を下から蹴り……逆さに投げ飛ばした! 19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
ナムサン!トモエ投げである!咄嗟のあがきが強力なムーブを閃かせたのだ。そして投げ飛ばした方向はニンジャスレイヤーの狙い通りである!KRAAAASH!「グワーッ!」エッジウォーカーはドアを破り、9両目に転がり込んでいた。ニンジャスレイヤーの目が燃えた。勢い凄まじく、走り込む! 20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR
「イヤーッ!」KRAAASH!車両を渡る際、ニンジャスレイヤーは連結器の重要部位を踏み砕いた。たちまち十両目は連結を切り離され、後方へ置き去りとなった。エッジウォーカーは舌打ちし、前へ逃げる。ニンジャスレイヤーは追う。混雑率5割。サラリマン達はみな下を向いている。 21
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