2017年SCP-JP本丸のエイプリルフール

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/* 「どうした鶯丸。何処に行く」 沢山の刀剣が幾度となく通いつめた短期転移ゲートに足を運んでいると、いつものごとく威勢のいい声に呼び止められた。 「遠征だ」 「なに、また遠征か？お前、前も…」 「幾度こなしても飽きの来ない良い任務さ。調査でも戦闘でもない」

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「…まあ、言ってしまえばアレだ。ノルマの回数消化」 聞いて猩々緋の頭の男は眉間に皺を寄せる。理解できん、と言いたげな顔だ。 「実態は伴わずとも、お上に報告するにあたって体裁だけは整える必要があるということさ」

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そんなものでいいのか、全くたるんでる、人間はわからん。等とぶつくさ言いながら大包平は手のひらの箱を弄んでいる。あちらもあちらで遠征帰り、戦利品が有るらしい。 「お前、もっと戦場に出せと文句のひとつでも言わないのか。錆びついてしまったらどうする」

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「はは、お前は出陣に継ぐ出陣、稀に遠征という感じだからなあ。なあに、個刃の性格と練度の差だ。適材適所というものが有る、気にするな」 「…ふん。…待て、それは嫌味のつもりか？」 「さあな。それよりそいつ、どうせ上に届けるんだろう？俺が預かろうか」

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大包平が弄んでいた戦利品を投げてよこす。確かめてみれば薄汚れた金属片のようだ。 「地点Oｰ802の調査だが、結局モノは見つからなかった。唯一拾ってこれたのがそれだ。…ち、悔しいが此方も数合わせだな」 「では帰り際に届けておくとしよう。後は任せろ」 「さぼるなよ」 「はいはい」

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/* さて、そんな会話をして時空転移用のゲートを通り抜けたのが…そうだな、だいたい数分から数時間ほど前になる。誤差が大きい？細かいことは気にするな。 …主観時間は多めに取れようとも基底時間ではたった十分、軽い自由時間を茶でも飲んで謳歌するつもりだったんだが。

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やれやれ、ワーカホリック長谷部のバチでも当たったんだろうか。それともお前のバチか大包平。ああ、やっぱりさぼる気だったかだからそうなるんだなどという幻聴が聞こえる。 それはさておき。 目の前には銃口。そして驚愕の目。 …はて。一体、ここは、どこだ？ */

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/* 偏差20170385 2018年4月1日 包丁藤四郎、どうだ。任務には慣れて来たか？菓子は十分に貰えているだろうか。子供の姿から変わることのないお前のことだ、甘味に飽くということもないだろう。報酬はきっちり請求しておけ。なお菓子には茶だ、点て方を平野から習っておくこと。

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さて、俺の方だが。こちらは大変なことになった。なお、現在進行形で大変なことになり続けている。 なったの方だが、どうやら時空転移門にエラーでも発生したらしい。本来は時間のみの遡行のはずが、気づけば位相のずれた平行世界に移動していたようだ。なぜかは俺にもよくわからん。

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ここは刀剣男士の存在が表沙汰ではなく、危うく人型収容セルに収容されるところだったが…それ以前に世界がそれどころではない状態になってしまった。 で、現在進行系の方だが。 この世界は割と馬鹿馬鹿しい理由でKクラスシナリオの危機に瀕している。

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なんと天から降り注ぐ一億の湯呑みだ。いや実際に一億有るかはわからんが。一つ一つが巨岩という言葉ではとても足りん大きさな上、茶柱まで立っているらしい、いやあ笑えるだろ？笑えないか。

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いや尋問に継ぐ尋問に飽き飽きして、平野の茶でも飲みたいと願いはした。したが、こんなにほしいと思った覚えは…まあいいか。 オペレーション・メテオの遂行は［データ破損］の介入により完遂には至らず、宇宙空間にはめでたく生成物が残された。後は地球への落下を待つのみだ。

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さて、覚えている限りのこいつの情報をこっちの財団に渡したことで俺は一定の価値ありとしてそこそこ尊重されることになったが…生きて帰れるかはちょっとわからない。健闘でも祈っていてくれ。もし帰還できたらお前の茶が飲みたい。 */

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/* 偏差20170916 2025年4月1日 資料映像一面に広がる人の死体を見ていたらお前を思い出した。三日月、元気にしているか。…いや、思い出し方が酷かろうがお前は気にしないだろう。だから正直に書いておく。

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どうやってだか核の冬になった世界から逃げおおせたんだが、これがまた別の世界に迷い込んだらしい。世の中そううまくはいかないな。なお今度は財団サイトのど真ん中に出現せずに済んだ。お陰で数年は足固めと、あとぶらぶらする余裕ができた。そのあたりは僥倖かもしれない。

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足固めついでに改めて探ってみたが、こちらにもやはり刀剣男士はいないようだ。平成年間に例のプロパガンダ部隊が公演を行った記録もない。三日月、俺達の存在は割と希少な物なのかもしれないぞ。

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大包［データ破損］ ［データ破損］

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さて今現在俺の置かれた状況だが、尚余暇を楽しめているかといえばそうではなく…残念ながらNKクラスシナリオの真っ只中と言わざるをえない。 そうだ、例の沼男。 元々薄氷を踏むような収容だったが、あれが別オブジェクトの収容違反の際に冷凍を解かれ、老衰死した。

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その結果がこれだ。汎ゆる物体が、この安らかな死に顔の老人の死体を作成するのに浪費され続けている。 収容が破れて暫くは情報統制も行われていたが、抑えられていたのは僅かな間だ。奴の老衰死と死のサイクルは割と早い。

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世界を埋め尽くした後は地球を食いつぶし、星の質量と同じだけの死体がここに残されることになるのかもしれない。俺もその仲間入りか。いやぞっとしないな。 ［添付データ破損］ やれやれ、その前にどうにかなるといいんだが。 */

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/* 偏差20170881 2055年4月1日 やばいことになったので久しぶりに記録を取る。