執事×丸山

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まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

執事×丸山 「お嬢様、そろそろですよ」 『…』 なかなか言葉が出てこない。 だって、あなたの気持ちがわからないの。 いつだって私の隣にいてくれた。 それはあなたが、私の執事だから? ただそれだけのことなのかな…。 ----

2017-03-18 01:02:29
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

2 うちには、代々守られてきたルールがある。 それは… 20歳までに婚約者を探す事。 そして、最悪なことにその日は明日やってくる。 婚約者が見つからなければ… 強制的にお見合いをさせられる。 母[お相手はもう見つけてあるからね。どの方がいいかしら。]

2017-03-18 01:03:02
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

3 父[中村財閥の息子さんか、栄斗病院の息子か…みんな容姿端麗で言う事なしだぞ?] 母と父は簡単に言うけれど、 そんなこと言わないで。 私にはもうずっと想い続けてる人がいる。 「お嬢様…どうかなさいましたか?」 『…丸山。』 丸山はどんな時でも優しく笑ってる。

2017-03-18 01:03:55
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

4 『丸山、明日は何の日か知ってる?』 「…はい。 ん〜…肉の特売日でしょうか!」 丸山がわざとふざけて見せた。 『アホ!私の誕生日よ…』 「そうですね…。 分かってます。」 そして心なしか彼の笑顔が少し曇った。 でも、すぐにいつもの笑顔に戻って答える。 pic.twitter.com/x6r2ipFXMw

2017-03-18 01:04:24
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5 「お嬢様。」 『…?』 俯く私の肩に触れる。 「喜ばしい事じゃないですか! お嬢様はこれから幸せになるんです。 前を向いて…ね?」 その言葉に顔を上げる。 …ねぇ、丸山。 私には前を向いてとか言って励ましてるくせに、 なんでそんなに悲しい瞳をしているの?

2017-03-18 01:05:28
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

6 その夜、部屋で一人頭を抱える。 …明日になれば、両親の見つけてきた人とお見合いしなきゃいけない。 代々受け継がれるルールは絶対、だ。 丸山はそれでいいの? 窓にもたれていると、ドアをノックする音がした。 コンコンッ 『…誰?』 「…私です。」

2017-03-18 01:06:36
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

7 『…』 「ご気分は…いかがですか?」 『…最悪。 入りなさい。』 すると、ドアが静かに開く音がして丸山の姿が見えた。 「まだ落ち込んでおられるのですか?」 彼が心配そうに私の顔を覗く。 『…なによ。 私の心配なんかしないでよ。』 奪ってもくれないくせに。 pic.twitter.com/BiYkfymiqB

2017-03-18 01:07:57
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8 『本当に、 …丸山はいいの?』 「え?」 『私が誰かと婚約しても…』 お願い、嫌だと言って。 すると、しばらく丸山は何も言わずに目を瞑っていた。 そして、ゆっくり口を開いた。 「…私は… 私は、貴女の執事です。 お嬢様を止める権利はありません。」

2017-03-18 01:09:38
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

9 その言葉に、胸の奥底から、熱いものと落胆の思いが込み上げた。 私は震える手を握りながら答えた。 『…そう。 ならいいの。 明日はとびきりのドレスを用意しておいて。 お見合いには気合い入れて行かなくちゃ、気に入って貰えないもの。』 「…かしこまりました。」

2017-03-18 01:09:55
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

10 そして、そう言ったまま彼は部屋から出て行く。 私は溢れ出してくる涙を何度も拭って、眠れない夜を過ごした。 想っていたのは、私だけだったのね。 悲しくて悲しくて、丸山を忘れようとしても、彼の優しい笑顔だけが思い浮かぶ。 どんな時も私の傍にいてくれた彼の姿が。 pic.twitter.com/pWIulz0Cb9

2017-03-18 01:11:04
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まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

11 落ち込んだ時には私を笑わせてくれた。 楽しい時には一緒に笑ってくれた。 悲しい時は、自分のことのように悲しんでくれて、 優しく撫でてくれたその手も、 笑う度に揺れるその柔らかな髪も、 目尻が下がるその瞳も、 全部全部大好きなのに。

2017-03-19 22:13:52
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

12 --- 「お嬢様、そろそろですよ。」 『…』 黙る私を横目に、丸山はそっと後ろに回り、キレイに整えた髪の飾りを直す。 「お嬢様、 とてもお綺麗です。」 私が言ってほしいのはそんな言葉じゃない。 『…っがう。』 「え?」 『違う! 私が知りたいのはっ…』

2017-03-19 22:14:01
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

13 本当のあなたの気持ちなのにっ… 『…っっ』 溢れてくる涙を止めることが出来ずに、私は両手で顔を隠した。 「…お嬢様…。」 震える私の背中を丸山がそっと撫でた。 丸山は今、どんな顔をしているんだろう。 私は唇を噛み締めて、意を決して涙を振り払い答えた。

2017-03-19 22:14:11
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

14 『さぁ時間よ。行きましょう。』 「…」 私はすっくと立ち上がり、丸山の顔も見ずに、扉に向かって歩き出した。 するとその瞬間、 「…っ待って!」 彼が私の腕を掴み、ぐっと引き寄せて、 気が付いたら私は、丸山の温かな胸の中に包まれていた。 「行かんといて…」

2017-03-19 22:14:44
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

15 「私は… 女々しくて、あなたを引き止める勇気もない。 でも、やっぱり… あなたが誰かのものになるなんて嫌なんです。 今は、執事としてでは無く、一人の男として言わせてください。 … 好きや。 俺の傍におって…」 そして、抱きしめる手を強くした。 pic.twitter.com/lk5cLnG2pN

2017-03-19 22:16:37
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まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

16 私は、彼の胸の中で、一筋の涙を流した。 それは、幸せの涙。 そして、ゆっくり顔を上げて呟く。 『丸山… さらって。』 すると、彼は目に涙を浮かべ、優しく微笑んで言った。 「かしこまりました。 僕のお姫様。」 彼は私の手を握って走り出した。

2017-03-19 22:16:46
まるこ@エイト妄想 @eightmaruter

17 このままずっと、私の手を離さないで。 どこか、2人だけの世界に連れて行って。 --- 『ねぇ、丸山?』 「なんでしょう。」 『いつから私を好きだったの?』 「…それは… 秘密ですよ。」 彼はそっと目尻を下げて、世界で一番優しいキスをくれた。 END pic.twitter.com/mZJC5qKzf8

2017-03-19 22:17:14
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