- eightmaruter
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*夏の恋人*安 ジー… 『ん…』 生暖かい空気に起こされて、隣を見ると、章大が少し汗ばみながら寝息を立てていた。 カーテンを開けると、快晴でも無くどんよりと雲がかかっている。 寝ぼけ眼で章大を見つめながら思う。 こんな関係いつまで続く?
2017-03-12 22:13:492 「…おはよ。」 彼が目を擦りながら起き上がる。 『おはよ。』 そして私を抱き寄せ、キスをする。 何度も唇を重ねる。 だんだんと荒くなる息。 こんなにカラダは求め合っているのに、 彼が私にキスをする度、私は悲しい気持ちになるの。
2017-03-12 22:14:073 --- 「….っはぁ…。」 『…っっ、』 お互いに果てて、ドサッとベッドに倒れる。 私が章大の方を向くと、章大は目を瞑ったまままた眠りに落ちた。 『あのね…、章大。』 てを握りながら呟く。 私、もう… 前に進もうと思うんだ。
2017-03-12 22:14:244 じめじめする道を、2人ぼーっとゆっくり歩きながら、 公園ではしゃぐ子どもたちを眺める。 私もあんなに無邪気だったら、本当の気持ちが言えるのかな。 「どうしたん?」 『…んーん、何もない。』 章大が興味なさそうに、ふーんと言って、シャーベットを口にした。
2017-03-12 22:15:025 薄暗い部屋に戻ると、また2人ベッドに座って、何の中身もないテレビを付けた。 画面の中では、わざとらしく寄り添う恋人たちのドラマが流れる。 しばらくの間、テレビの音と、蝉が鳴く音だけが鳴り響いていた。 「…帰る?」 『あ、うん…』 「何や、それとも もっかいする?」
2017-03-12 22:16:016 何にも考えていないような顔で言う章大。 『ん…いいや。』 「そっか。気を付けて帰り。」 『うん。』 自分でも分かってる。 このままの2人じゃいけないってこと。 きっと章大も分かってるんでしょう? もう、さよならの時間だって。
2017-03-12 22:16:137 キャップを被って、玄関でサンダルを履く。 「またな。」 いつもの挨拶を交わして、 ドアノブに手を掛けた所で立ち止まった。 このままじゃ… 『ねぇ、章大…』 「ん?」 『あのね…私…』 きっと泣くのは私の方だけど。 さよならするよ、夏の恋人に。 END pic.twitter.com/BWtQnSV9Tr
2017-03-12 22:16:41