十二夜目

魔人＠異聞連邪 @alflylamp

#おーぷんせさみ 『十二夜　赤、塗り潰されて』 赤と黒の靄が混ざる魔境の中でございます。 迷い込んだ精霊は、誰かに強く手を引かれました。 誰かは精霊を害するでもなく、ただどこかへ運ぼうと致します。 精霊は、遠く遠くにその姿を憶えているように思え 遡り、ああ、と。行き当たります。

魔人＠異聞連邪 @alflylamp

「なれのもんには、なりゃんよ」 引く手を止めるように歩みをやめて、精霊は動かず。 靄のように佇む影もまた、静止しました。 「終ぞ、そうはなりゃんかった。たとえ世界を移ろうと」 精霊は手を振り払います。 靄の手が開けて、そこに、佇んで。 「闇の中は、飽きちょおか」

魔人＠異聞連邪 @alflylamp

苦笑いと共に、精霊は尋ねます。 するり、袖をなぞり、新月刀を携えて。 「……じゃけ、なれも。次にその魂を譲りやれ」 傲慢な、刃を振り上げ ―― 。