【取扱い注意】

りえこ @eighter_rieko83

26 『ふぅ～ん…そんなもんかねぇ…。』 そして、仕事を終え帰宅。 今日は電気がついとる！ 「ただいまぁ！」 言いながら急いで彼女のいるキッチンへ。 『あっ、しょーちゃん、おかえりー。』 朝には無かったものが…。 「なに…？そのマスク…体調悪いん？！」

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27 『ううん、違うよ？えと…風邪ひいてる人がいたから…予防？』 「そんな…家ではえぇんちゃうの？」 『あ…そうだね…。今、手が離せないから、後で外すね？』 …なーんか…怪しい…。 『先にお風呂入ってきたら？もうごはんできるから。』 「えぇよ、手伝う、」

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28 『もうできるから、手伝うことないよ。だから、入ってきて？』 「ほんならできるの待つわ。お風呂は一緒に入ろ？」 『しょーちゃん…。』 あー…困った？呆れた？ なんやもー、マスクのせいでよーわからんし…。 「…お風呂入ってくる…。」 諦めてバスルームへ。

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29 あーなんか、あかんなぁ…。 きのうまでの大人な対応はどこ行ってん…。 疲れとるのに…なんだか様子がおかしいのに…。 これもそれも、取説に書いてないよなことするからぁ…。 「いただきまーす！」 こっからは大人な対応に戻そう。 「…………っ？！」

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30 いっつもおいしい彼女のごはん…の味が濃っっっっっ！！ 彼女を見たら、俺と同じようにフリーズしとる。 『…しょーちゃ…ごめん…食べないで…。』 「なっ…なんでぇ…食べるよ…。」 『ダメ！！こんなの食べたら死んじゃう…！』 「やっ！あれや！アテにするから！」

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31 アテにしてもこれはだいっぶ濃い味やけどな…。 「ちょうど！ビール飲みたかってん！」 彼女は今にも泣き出しそう。 「んー！ほらなっ？イイ感じやで！」 そう言うと、ちょっとだけ笑った。 そして、この日もきのうみたいに早寝の彼女を後ろから抱きしめて眠った。

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32 水曜日、きのうみたいに置いてかれんのがイヤでか、彼女が起きるのと同時に目が覚めた。 案の定早よ出よとしてた彼女。 合わせないでいいのにと言う彼女の言葉に知らんぷりして、一緒に電車に乗った。 《あれ？〇〇ちゃん？》 『えっ？』

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33 誰や！ 俺の彼女のこと“ちゃん付け”で呼ぶん！ そう思ってその男を見た。 『あ、大倉さん…。』 うわ、背の高いオトコマエ…！ それだけでムカつくのに、馴れ馴れしく彼女に笑いかけとる…。 「誰？」 思わず低い声で聞いてまう。 『あ、会社の先輩だよ。』

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34 《あ、どぉもー大倉ですー。》 くっ…朝から爽やかな笑顔…。 「どぉもー安田ですー。」 冷静を装って、にこやかに返す。 《この人は？お友達？》 はぁっ？！ 『えっと…、』 「カレシですぅ！」 ドヤ！ おまえとは立場がちゃうねん！ 《…へぇー…？》

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35 なんやニヤッとした…。 あ、コイツ絶対俺のことバカにしよった…。 《カレシさん、カワイイなぁ？》 チビって言いたいんやろ！ 腹立つ！ 『あは…まぁ、見た目はそうかもですけど…わたしは頼りにしてるんです…。』 そう言って真っ赤になる彼女。

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36 かっ、かわいい…！ うれしい！！ どや、見たか、おーくら！ 見たら、面白くなさげな顔。 やっぱり…コイツ彼女に気がある。 思わず睨むと、向こうも睨んできよった。 《そーいえば、きのう大丈夫やったぁ？〇〇ちゃん悪ないのにさぁ、隈部専務のあの言い方さぁ…、》

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37 くっ…俺の分からん話…！ 『だ、大丈夫です…！』 また睨んだら、フフンと勝ち誇った顔。 めっちゃ腹立つ～！ と、電車が揺れて俺にぶつかる彼女。 『あっ、ごめん、しょーちゃん…。』 「大丈夫？俺にしっかりつかまっとき？」 『ん…。』 これぞカレシの特権！

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38 チラッとおーくら見たら、明らかにムスッとした顔。 よし！ 完全勝利！ …と思ったら、彼女が降りる駅。 『じゃ、しょーちゃん行くね。』 当然おーくらも一緒に降りる。 し、しまった！！ 手を振る彼女の隣で同じように手を振るおーくらの…満面の笑み！！ くっそー！！

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39 なんでや…。 俺の彼女やのに、めっちゃ敗北感…。 てか…やっぱり仕事でなんかあってるやん…なんで言わへんの…。 同じ会社やから仕方ないけど、おーくらは知ってんのに、俺は知らん……あー！！気になる！！ てかアイツ…大人しく引き下がるとは思えへんのやけど…。

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40 本日の業務時間終了！ 『しょーちゃん、今日…』 「ごめん、亮！急いでんねん！」 慌てて会社を出た。 向かうは迷わず彼女の会社！ 道路を挟んで、ちょうど会社から出て来る彼女が見えた。 よっしゃ、セーフ！！ …と、あっ？！ 隣におるのはおーくらや！！

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41 マスクをした彼女の表情はちょっとよく見えへんけど…おーくらはにこやかに話しかけとる感じで…あ！！ あーっっっ！！ アイツ、肩に手を置きやがった！！ てか、肩抱いとる！！(怒) あー！ 信号！ 早よ青になってくれよー！ だっ！ ナデナデしやがった！！ よっしゃ、青！！

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42 ダッシュで横断歩道を渡る。 「〇〇！！」 『えっ…しょーちゃん？！』 あ、おーくらのヤツ舌打ちした！ 「はぁ、はぁ、間に合ったぁ…。」 『どーしたの…？』 俺に近付く彼女。 「や…一緒に…ごはん食べ行こ思て…。」 『…………。』 びっくりしとる。

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43 「…あかんかった？」 『ううん、そんなわけないよ。でも…連絡くれれば良かったのに…そんなに走って来て…ふふ。』 「あは…びっくりさせたぁて…へへ。」 向かい合って２人で笑い合う。 『あっ、大倉さん、すみません、そういうことなんで…えと、』 《はいはい、お疲れさま！》

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44 よっしゃ…！！ これぞ完全勝利…！！ 『なに？その…ガッツポーズ…。』 「へっ？！」 しまった、思わず…。 「あ、いや…てか、何話してたん？肩に手置かれたりして…俺ちょっと妬いてんけど…。」 『えっ…？！や…それは…。』 また困った顔…。

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45 「俺には言いたくないこと？」 『そ、そうじゃなくて…、』 「同じ会社やないと聞いても分からんから？」 『ちが…、』 泣きそうな顔に。 「ごめん！責めるつもりやないねん…。」 彼女の手を取って、ギュッと握った。

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46 「せっかく“頼りにしてる”言うてくれたんに、俺…力になれてへんな思て…。俺やなくて、アイツに頼られるんイヤやなって…思てん…ごめんな？」 『アイツって…大倉さんに…？』 「…うん…。」 『頼ってるのは、しょーちゃんだけだよ…大倉さんは…気にかけてくれてるかもだけど…。』

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47 気にされてる自覚はあるんやな…。 『でも、頼りにしてるわけじゃないし…相談とかも…してないよ？』 「ん…ほんなら俺我慢する。」 『我慢？』 「大人になって、黙って見守る。無理に聞いたりせぇへん。でも、話したなったらいつでも言うてな？」 『………ん………。』

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48 この泣きそうな顔…いっそのこと泣いてまえばえーのに…。 「なぁ、何食べたい？」 彼女のマスクをそっと外して、頬を撫でた。 そして、この日は彼女のリクエストのもの食べて、早々に帰宅。 ギュッと抱きしめて眠りに落ちた。

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49 木曜日、忙しさは落ち着いたのか、早起きやめて、いつもの電車に乗る彼女。 もちろん一緒に乗る。 相変わらず仕事の話はせんけど、何やら嬉しいことにちょっぴり甘えモード。 吊革や手すりに捕まらず、俺の腰辺りのシャツを遠慮がちに摘んどる。 いつものように混み合う車内。

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50 誰も気にせぇへんから、もっとくっついてえぇのに…、そう思って、持ってた鞄を手すりを持つ手へ。 手すりと鞄両方を器用に持って、空いた手を彼女の腰に回した。 そして自分の方に寄せたら…少し顔を赤くする彼女。 かわい…。