あなたと一緒にいたい。あなたの顔が見たい。あなたの声が聞きたい。充電の切れた携帯の画面を眺めながら俯いていたあたしに、皺だらけの手がキャラメルの包み紙で出来た折り鶴を差し出した。「しっかりしなさい。携帯電話やインターネットがあるだけ、どれだけ幸せだと思ってるの」 #twnovel
2011-03-13 00:39:55ひとり寒くて、心細くて、不安で、寂しかったら。携帯で #twnovel ってひらいてごらん。みんなここにいるよ。体は寄り添えなくても、心は寄り添えるよ。あなたをあっためたいよ。
2011-03-13 00:52:24#twnovel いまはもう地図にない街にわたしはすべてを置いてきた。笑顔も愛も友情もぜんぶ。それなのにあなたはわたしを好きだというの? こんなわたしを抱くの? なぜわたしは泣いているの? わたしと一緒に、あの街を抱いてくれる? わたしが大好きだった、あの街を抱いてくれる?
2011-03-13 00:56:02#twnovel タイムマシンへようこそ。さぁどこへ行こう。未来に行って星の海へと旅立つかい? それとも恐竜の背中にのりたいかい? 二日前に行きたい? ずいぶん控えめなお客さんだ。週末の馬券でも買うのかい? なんだそれ手編みのマフラー? なんであんた泣いてんだ。変な客だぜ、ったく
2011-03-13 01:07:04#twnovel 「博士! ついに発明しました。人類すべてを幸福にする機械です」「素晴らしい。スイッチオンだ」「どうです博士、幸福になりましたか。ふふふ」「いや、ちっとも。へへへ」「笑ってるじゃないですか。ぶわははは」「そういうおまえもな。あははは」「ふははは」「ふぇふぇふぇ」
2011-03-13 01:09:25さて、と。子供たちは寝た。嫁も疲れて寝息を立てている。俺一人。張りつめていた緊張の糸がぶつんと切れて、俺の身体はぐにゃりと弛緩する。朝になったらまた見えない糸が現れる。それまでは重力に逆らわずに。机の前には俺の白黒写真。どっちがリアルなのか、もう誰にも判らない。 #twnovel
2011-03-13 01:18:11#twnovel 大震災の翌週、わたしは望遠鏡を抱えて近くの丘まで上った。神話の英雄たちが明るく輝いて夏の夜空を埋めつくしている中、いちばん新しい神話になったわたしの家族はいまにも見失いそうな六等星になって輝いていた。わたしは夜空に手を振る。星になった妻がかすかに瞬いた気がした。
2011-03-13 01:23:38あたしは売れないミュージシャン。今度の曲が売れなかったらクビ勧告が出ている。今夜もいつもの時間いつもの場所でストリートライブをして、CDを手売りする。瓦礫の山を踏み越えいつものステージへ。今日は持ち歌はやらない。アコギ一本で子守歌をレクイエムを。夜が明けるまで。 #twnovel
2011-03-13 01:26:21その瞳で何を見てきたと云うのか。言葉少なに語るそれは、それでも地上のどんな惨劇ですら色褪せた絵空事に聞こえた。「それでも今、ここに来られただけでも」億兆の螺旋を超えてなお、希望の糸口はあると云う。「だから、行きます……これで、最後にする」動かぬ筈の時計が、回る。 #twnovel
2011-03-13 01:28:30#twnovel 瞬きをしたら、ぼくは小学校五年生に戻っているかも知れない。お婆ちゃんの家にいて、虫取りをして遊び疲れて仏間で横になって、お母さんに毛布をかけられて眠っているのかも知れない。きっとそうだ。肌を刺す寒さも、痛みも、きっと幻だ。瞼をつぶれ。きっとお母さんが呼びに来る。
2011-03-13 01:38:08「その未来を望む代償を、きみは正確に理解しているかい? そう、それは不可避の、必然の滅びなんだ。無理矢理に回避すると云うことは——誰かの未来を横取りしたのと同じことだ。そうしてまで生きたい、叶えたい願いかい? きみが滅ぼす世界に胸を張ってそう答えられるかい?」 #twnovel
2011-03-13 01:38:49今日はお目汚し失礼しました。気が済みましたし、おおむね知人の無事も確認できましたので、明日からまたネットを離れて主戦場に戻ります。ではまた、春頃に。
2011-03-13 01:59:31黒いスーツを着たくなかった。かと言って白いスーツなんて持ってる訳がない。仕方ないので、彼氏にプレゼントして貰ったナース服を着ることにした。本物の看護師さんじゃなくて、ごめんね。何度キスしてもあなたが目を開けてくれないのは、あたしがニセモノだからだよね。ごめんね。 #twnovel
2011-03-13 02:03:47