病み長谷部くんまとめ

恋仲の一振り目が折れて、新しく来た二振り目を一振り目だと思い込む病んだ長谷部くんの話(ハピエン)
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きっかけは「病んだ長谷部くん」への軽率な興味だった

天城🔞 @amagi_skhs

恋仲だった一振り目燭台切が折れて病んだ長谷部くんが、新しく顕現した二振り目を恋仲の燭台切だと思い込んで接する話…?

2017-05-21 20:49:55
天城🔞 @amagi_skhs

「光忠…!光忠、帰ってきてくれたんだな!良かった。信じてた。おまえは、おまえだけは俺のことを置いていったりしないと…!」「長谷部、くん…?」みたいな…

2017-05-21 20:52:43

そして始まるいつもの妄想

天城🔞 @amagi_skhs

長谷部くんは可哀想なひとだ。恋仲だった一振り目が折れた時に、彼の硝子のように繊細な心も一緒に壊れてしまったのだろう。二振り目の僕のことを一振り目だと思い込んで、僕や周りがいくら言い聞かせようと耳を貸さない。 「光忠。ふふ、幸せだなぁ」そう言って長谷部くんは僕の肩に頭を預ける。

2017-05-21 21:00:07
天城🔞 @amagi_skhs

「…そうだね」今では僕も諦めて、一振り目のふりをすることに徹するようにしている。「光忠…」袖を引かれ、長谷部くんが目を瞑って小さく唇を差し出してくる。僕は黙ってその唇に吸い付く。「ん、みつただ…」その声も、瞳も、体も、心でさえも。何一つ僕に向けられたものではないのに。

2017-05-21 21:05:17
天城🔞 @amagi_skhs

「…すきだよ、長谷部くん」「…うん、俺も」そう言って長谷部くんは頬を染め、花が開くようにふわりと笑う。 長谷部くんは可哀想なひとだ。そして、僕も。

2017-05-21 21:06:39

しかしここでハピエン至上主義者の血が騒ぎ出す

天城🔞 @amagi_skhs

「…いい加減やめてくれ、長谷部くん!君の光忠は折れたんだ!」「…どうして、そんなことを言うんだ?」長谷部の腕が光忠の首に周り、媚びるように頭を胸元に擦りつけてくる。「俺が日本号と話してるのを見て拗ねたのか?おまえは嫉妬深いからな。大丈夫、俺が好きなのはお前だけ、」「長谷部くん!」

2017-05-21 21:17:31
天城🔞 @amagi_skhs

乱れた着物の合わせから光忠の胸元を長谷部の白い指がつうっと撫でる。「それとも昨夜の俺との情事が不満だったか?この助平。なあ、なんなら今からヤるか?何でもさせてやる」「…長谷部くん、」「…だから、そんな訳のわからない事は、言うな。おまえが折れただなんて、そんな、そんなこと、」

2017-05-21 21:23:04
天城🔞 @amagi_skhs

カタカタと長谷部の肩が震えだす。「いやだ、置いていくな、みつただ、やだ、たすけて、」「…はせべくん」光忠はそっと長谷部の体を抱きしめて、その肩に顔を埋めた。「聞いて、長谷部くん。「僕」は絶対に君を置いていかない。約束する。だから、だからいつか僕のこと、好きになって」

2017-05-21 21:30:16
天城🔞 @amagi_skhs

「…変な光忠」長谷部の腕が光忠の背中に回る。「俺はこんなにおまえのことを愛してるのに」

2017-05-21 21:33:31
天城🔞 @amagi_skhs

その後この光忠が重傷を負って帰還してきて、光忠の体に「嫌だ!また、また俺の事を置いていくのか!」って叫んで縋り付いた長谷部くんが正気に戻ってなんやかんやハッピーエンドです。最終的には二人は改めて付き合いだすようになって、一振り目の墓に一緒にお参りするようになる。

2017-05-21 21:38:13

最後あまりにも雑なので追記

天城🔞 @amagi_skhs

「嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ!また俺を置いていくのか!あんなに約束したのに!」そう言ってから、長谷部ははたと気づく。「また」。またとは、なんだろう。脳裏に過去の光景が蘇る。飛び散る血。刀身に走ったヒビ。ぱきん。呆気ないほど軽い、折れた時の音。 「あ、ぁあああああ!光忠!みつただ、みつ、」

2017-05-21 21:52:50
天城🔞 @amagi_skhs

「は、せべ、くん」血だらけの腕が持ち上げられ、長谷部の頬に添えられる。「だいじょ、ぶ…。約束、したろう?「僕」は、折れない」そう言って、琥珀色の瞳が細められる。「光忠」の瞳は、蜂蜜色をしていた。この男は、誰だろう。半年間、長谷部の側にいてくれた、この、男は。

2017-05-21 21:59:04
天城🔞 @amagi_skhs

「きみをあいしてる」そう言い残して手入れ部屋に運ばれる光忠の姿を見送りながら、長谷部はいつまでもその場に立ち尽くした。

2017-05-21 22:02:11
天城🔞 @amagi_skhs

光忠が目覚めると、隣には長谷部の姿があった。「起きたか」「長谷部くん、君、記憶は…?」「…全部、思い出した。一振り目のことも、おまえのことも」長谷部は深く頭を下げた。「半年間気の触れた俺に付き合ってくれて、ありがとう」「…やめてくれ。僕は君に感謝されるような男じゃない」

2017-05-21 22:08:49
天城🔞 @amagi_skhs

「仮初でも君が向けてくれる愛情が嬉しかった。僕は君が好きなんだ。下心があったんだよ」「それでも、俺を支えてくれたのはおまえだった。どれだけ感謝してもしきれない…っ」ぽつ、ぽつと長谷部の瞳から涙が溢れる。「…俺は、どちらの「光忠」にも、酷いことをしたんだな」「…長谷部くん、」

2017-05-21 22:14:13
天城🔞 @amagi_skhs

「俺は…っ、あいつの死を悼むこともせずに目を逸らし続けるばかりで、おまえにも迷惑をかけて、どうしようもない男だ…!おまえに好かれる資格などない…っ」軋む体を無視して起き上がり、光忠は長谷部の体を抱きしめた。「それでも僕は君が好きだよ」「光忠、」「やっと、僕の名前を呼んでくれたね」

2017-05-21 22:20:26
天城🔞 @amagi_skhs

「ねえ、君が一振り目を忘れられないのはわかってる。でもどうかこれからも僕を側にいさせてくれないか。君の隣にいたいんだ」「…おまえは、優しいな」「まさか。傷心の君に付け込んでる狡い男だよ、僕は」それを聞いた長谷部は少しだけ笑って、光忠の胸を軽く押し返す。「…少し、時間をくれないか」

2017-05-21 22:28:05
天城🔞 @amagi_skhs

「色々、整理する時間が欲しい。一振り目のことも、おまえのことも」そう言って顔を上げた長谷部は、今までにない晴れやかな顔をしていた。「今までのことに全部向き合って、心の整理がついたら、その時、ちゃんと返事をしていいか?」「…勿論。待てと言うならばいつまでも、ってね」

2017-05-21 22:35:07
天城🔞 @amagi_skhs

そうして長谷部は毎朝一振り目の墓参りをするようになり、光忠はそんな長谷部をひっそりと見守るようになる。今まで二人が過ごしたのと同じだけの時間が経った頃、長谷部が「ずっと待っていてくれてありがとう。俺も、おまえのことが好きだ」って告白してハッピーエンドです!!!

2017-05-21 22:43:02

【補足】
 その半年の間、二振り目の好みが一振り目と違うことに気づいたり、一振り目の折れた時の夢を見てうなされて目覚めた長谷部が厨に行くと、いつの間にか二振り目が現れてホットミルクを出してくれたりとか、そういうことが重なって長谷部も二振り目の光忠をきちんと新しい「光忠」として見られるようになっていく。

「なあ、俺は薄情者だろうか」
 一振り目の墓の前で長谷部は呟く。
「おまえを好きだといったことに嘘偽りはない。でも、でも今の俺はーーーー」
 長谷部の心に宿った二振り目への想い。二振り目は今でも自分の返事を待ってくれている。長谷部が応じればすぐにでも二振り目は手を取ってくれるだろう。でも。
「俺は、幸せになっても、いいんだろうか」
 その時ざあっと風が吹いて、長谷部の耳にたしかに一振り目の声が聞こえる。
『幸せになってくれ、長谷部くん』
 そう、そうだった。一振り目は嫉妬深いところもあったけれど、それでも最後には長谷部のことを一番に考えてくれる優しい男だった。
「……ありがとう、光忠」
 長谷部は俯いていた顔を上げて立ち上がると、二振り目の待つ建物内へと戻っていく。
 ずっと長谷部のことを見守ってくれていた二振り目に返事をするために。