逆にヴァレンティンについては、無骨で屈強な男の印象。舞台のように繊細で精神的に弱くなる風は少なかった。あと、政治犯として捕まった背景とかは舞台にない部分も描かれてた。逆に仲間からの手紙とかマルタへの手紙とかはほぼなし。とても無骨に見える分、心が動いたところが劇的に見えるのかも。
2017-06-05 15:38:50映画は、劇中劇の映画とか監獄の外とか、過去とか、空間を超えて映像を見せることができるから広がりがある、というかそうしないと映画として成立しないからまた違った作品になる。舞台や小説のように一つの場面で展開するからこそ、見えないからこそ、という演出が個人的には好きだなあと思った。
2017-06-05 15:44:17映画を見たからこそ、君は男を糸で捕まえる蜘蛛女だ(ニュアンス)という蜘蛛女の意味をもっと考えたくなる。映画では蜘蛛女は蜘蛛に囚われた女(獄中の女?)ということだから、むしろ逆になってる。
2017-06-05 15:48:52モリーナが語る映画を一つに絞るにしても、どれを選ぶかって面白いなあ。どちらをとってもモリーナのヒロインへの憧れのようなものを表現するものだけど、密告しようとして愛を選んで撃たれて死ぬレニはまさにモリーナの最期に重なるからなるほどなあと思った。
2017-06-05 15:53:34違うか。この島はヴァレンティンとモリーナの獄中の象徴だからそこからマルタと船で漕ぎ出す=苦痛からの解放ということか。 twitter.com/gr_ntbr/status…
2017-06-05 16:01:04そして、最後にマルタがヴァレンティンを連れていく熱帯の島もこの蜘蛛女の島。女性として愛したのはマルタだけど、大切な人としてモリーナが最期の瞬間までヴァレンティンの中にいたと言うことなのかな。
2017-06-05 15:34:17ヴァレンティンにとっての島について。「つまり、無人島にいるようなものなんだ。多分何年も二人きりでいるいることになる、そんな島さ。だってそうだろう、ブタ箱の外は抑圧者だらけだが、中にはいないじゃないか。ここでは誰かが誰かを抑圧することはないl。(略)」(314)
2017-06-05 20:20:34ヴァレンティンにとってモリーナと一緒の獄中はある種、誰からも虐げられない二人の島になっている。最期に見る島の夢はこの島なんだな…そしてマルタとこの島から永遠の眠りへとでて行く。
2017-06-05 20:23:20…となるとさっき苦痛からの解放って書いたけど、それはそれでまた違うんだな。やっぱりモリーナとの二人の島がヴァレンティンにとって大切な空間だったんだな。
2017-06-05 20:28:23メキシコの男女の映画のラストについて。「つまり、彼女は何もかも失ったにせよ、少なくとも生きてる間に真の関係を持つことができた、たとえもう終わったとしてもだ、それで満足しているということを意味してるからさ」(401)
2017-06-05 21:51:22キスについて。「きっとあんたが黒豹にならないか心配だったからだ」(略)「黒豹女だったらすごく哀れね、誰にもキスしてもらえないんだもの」「あんたは蜘蛛女さ、男を糸で絡め取る」「まあ素敵!それ気に入ったわ」(403-404)
2017-06-05 21:56:01小説のラスト、ヴァレンティンの夢の中でのこと。そこに現れる蜘蛛女は自分自身も糸で縛り付けていた、というところ。男を糸で絡め取るだけじゃなくて、自分自身を抑圧しているマイノリティとしてのモリーナの生きづらさなのかな。
2017-06-05 22:50:35映画は映画で、小説は小説で、舞台は舞台で、共通するところはありながらもそれぞれ良さがあって、いまはその全てひっくるめた大きなコンテンツとして理解を得たっていう感覚。次は舞台を見てどう感じるか、またなにか得られればいいな。
2017-06-05 22:52:56そういえば、映画はモリーナが主役だし(アカデミー主演男優賞取ってる)、原作の登場人物説明もモリーナの名前が先に出てくるけど、ヴァレンティンが主役?という扱いはどの作品からなんだろう?
2017-06-06 20:28:58以前女性として愛したのはマルタ、モリーナは人間として受け入れたにすぎない、と書いたけど思い直し。人間として受け入れただけじゃなくてきちんとモリーナの女性性を認めている。ただ、女性として愛したわけではない。というところだろうか。
2017-06-09 13:07:05小説のラストの蜘蛛女の描写。蜘蛛女が自らを縛り付ける糸は柔らかそうだけど触って見る気にはなれない、と。そこはやはり女性として自ら求める対象ではないということなのだと思う。でもその糸の柔らかさを知っているのはきっとヴァレンティン(と母親?)だけだろうとも。
2017-06-09 13:11:50