雑考#７：らんま1/2考～あかねはなぜ髪を切られたのか？

たまごまご・オブ・ジ・イヤー @tamagomago

「みんなで「らんま1/2」の話とかしようぜ！」をトゥギャりました。 http://togetter.com/li/111694

テリー・ライス @terry_rice88

@tamagomago らんま1/2と聞いて。いま、まとめを読んでます。今読み返すと、あかねが良牙に髪を切られる前と切られた後で、作品の質が変わったようにも思いますねえ。あのエピソードを境目に東風先生の出番が激減しましたし。

たまごまご・オブ・ジ・イヤー @tamagomago

@terry_rice88 ものすごい転機ですよね＞あかねがショートになる部分。物語の作り方が高橋留美子先生の中でガラっと変わったのかもしれません。

テリー・ライス @terry_rice88

@tamagomago あそこまではどちらかというとらんまが物語の主体じゃなくて、あかねが主体だったのかなあというのが個人的な印象で。だから初恋の相手である東風先生のエピソードが結構差し込まれたんじゃないのかなと。うる星やつらでのあたるとラムの関係が逆位相になってるんですよね。

テリー・ライス @terry_rice88

らんま1/2という作品で「なんで乱馬が女の子に変化するのか？」っていう理由を考えてみると、あかねの存在が大きいんじゃないのかなあという気がする。乱馬もあかねもどちらも武の道で己を鍛錬してるという共通点以上に、らんまとあかねは作品の存在的にはほとんどイコールなんじゃないかなあと。

テリー・ライス @terry_rice88

あ、表記は男の時は乱馬で、女の時はらんまです。

テリー・ライス @terry_rice88

乱馬がらんまになると、あかねもらんまも「武道という極めてストイックな道を脇目を逸らさず、一心不乱に己を鍛える女の子」ということになる。さらにいえばあかねは当初、男嫌いって設定があった。これもらんまの設定に呼応してるように思います。「呪いで女になった男」というらんま1/2作品のキモ

テリー・ライス @terry_rice88

元々男だから、女になったとき寄ってくる男の心理が理解できない、というのがらんま。だから、九能先輩がらんまに告白した回の次の回で確かあかねと乱馬が九能先輩に蹴りとパンチを食らわせているシーンがあったと思うけど、あれは結構重要なシーンだったんだろうなあと。

テリー・ライス @terry_rice88

なぜかっていうと、乱馬もあかねも「気のない、しつこい人間は嫌い」という点で意見が一致しているから。乱馬とあかねのカップリングが不動なのは似たもの同士であるという点に他ならないんだろうなあと。

テリー・ライス @terry_rice88

らんまの存在って、あかねの鏡像であるんだろうなあと思う。反面教師という形ではないけど、世間的にはあなたもらんまも一緒ですよ。というのを照らし出してる存在。ただまあ、らんまは女の子にしてはがさつ過ぎるんだけどもｗ

テリー・ライス @terry_rice88

で、らんまとあかねの最大の違いって言うのは「恋を知ってるかどうか」ってことで、ここで出てくるのが東風先生。あかねの初恋相手として、乱馬の恋のライバルめいた描写もありましたね。あっという間に乱馬の全身打撲を直してしまうとか。あかねの想い人として、乱馬の前に立ちはだかっている。

テリー・ライス @terry_rice88

ただ東風先生は端々の描写を見てても分かるようにあかねの姉であるかすみにゾッコンで、あかねの初恋は叶わぬ恋であるという事が読者側には最初から明示されていて、おそらくはその筋書き通り、あかねは失恋を経験するはずだったんでしょう。

テリー・ライス @terry_rice88

乱馬とらんまは「恋を知らない、したことがない」人間なのであかねの恋路が理解できない。ここら辺は元々男であるらんまが女心を理解できないという限界が出てる気がします。ただあかねも乱馬も恋に奥手であることは連載が進むごとに事実として浮き彫りになっていくことになります。

テリー・ライス @terry_rice88

恋に奥手であるにせよ、女心や恋心のあるなしで東風先生への反応の差を描こうとした高橋先生が凄すぎると思う。しかも少年誌で。らんま1/2の初期は少年漫画としてはかなり異質な描かれ方をしてるんだと思います。

テリー・ライス @terry_rice88

さっきも言ったように個人的な印象ではうる星やつらの反省があってあかねと乱馬が作られたといっても過言ではないんですよね。女に節操にないあたるからストイックで純情で恋に奥手な乱馬で、あたるへ一身に愛情を振りまくラムから東風先生を密かに想う、男嫌いで恋に奥手なあかねで。

テリー・ライス @terry_rice88

乱馬とあかね、あかねとらんま。男と女、女と女。この二人の特殊な関係でドラマが作れちゃうくらいの強力な設定ではあるんですよね。主役とヒロインで、恋愛対象と恋の相談相手が済んでしまう。そのカウンターとしての存在が東風先生だったり、かすみだったりするんですけども。

テリー・ライス @terry_rice88

ここら辺は「めぞん一刻」も通過した影響がらんま1/2に出てるのかもしれません。男女の恋愛関係を少年漫画として落とし込もうとして描かれていたんじゃなかろうかと推測してます。うる星やつらよりラブコメ度が高いのは、そういう面が強かったからなんじゃないのかなあと。

テリー・ライス @terry_rice88

恋愛といった題材では、女の子の機微で繊細な感情が必要不可欠で、だからこそ恋に奥手な武道少女という男性にも受け入れやすいキャラ付けであるあかねがらんま1/2初期において物語の主体だったろうなあという。さらに女の肉体に変わる男の乱馬という予防線まで張っている。

テリー・ライス @terry_rice88

さらにはうる星やつらでは「女好きのあたるが宇宙人の女などなどに振り回される」のがらんまの初期では「男嫌いな武道少女アカネの所に女に変化する男、乱馬がやってきた」という落ちもの系の男女関係が逆バージョンになっている。

テリー・ライス @terry_rice88

つまりは初期らんま1/2の行き着く先は「ダブル主役、ダブルヒロインのラブストーリー」だったんじゃないかなあと。ドラマ的には「めぞん一刻」に近い感じになってたのかもしれません。

テリー・ライス @terry_rice88

ただこの路線は失敗に終わったんだと思います。なにしろ主人公とヒロインが強固過ぎて、ドラマが二人の関係だけで閉じてしまい、狭い世界観の話にならざるを得なかった。だからあかねは髪を切られた。

テリー・ライス @terry_rice88

髪を切られたことで、あかねは物語の主体から降板させられて、メインヒロインの座に収まった。これは同時に「らんま1/2」という物語の主役が天道あかねから早乙女乱馬に移った瞬間でもあったんじゃないんだろうかなあと。あの髪切り自体が主役の交代劇であったんではないかと思います。

テリー・ライス @terry_rice88

事実、髪を切った後、あかねの東風先生の思いはあっさり吹っ切れて以降、東風先生の存在感は急激に薄れ、何事もなかったように単なるサブキャラになった。あかねが物語の主体ではなくなったので、隅に追いやられる結果に。

テリー・ライス @terry_rice88

反面、乱馬が主体になったために「ちょっとふしぎなラブコメディ」が「ラブ要素も含むバトルコメディ」へと作品が変容していった。らんま1/2の設定はどっちにも振れるようにはなっていたけど、結果的にエンターテイメントを重視した作りが好まれたって言う結果なんでしょうねえ。

テリー・ライス @terry_rice88

さて、らんま1/2の話はここまでなんですが、らんま1/2が残した遺産にも少し。連載初期で失敗した要素を取り出すと「少女視点の少年漫画」と言うことになるかと思います。あとらんま1/2の中で成功した点をあげるとなると「男性のヒロイン化」が出てくるはず。