オトカドール「妖精フィクル」についてのあれこれ

フィクルさんについて、少し調べたことや語りたいことなどを言いたい放題しました。
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としょディア @Acedia_TDOTL

シシリーの花の妖精は1923年ですが、実はその前にも、蝶の翅を持つ妖精が大きく話題になったことがありました。舞台はやはりイギリス、ブラッドフォード近くのコティングリー村です。ご存知の方もいらっしゃるでしょう、かの有名な「コティングリー妖精事件」です

2017-05-24 20:21:33
としょディア @Acedia_TDOTL

こちらは1916年から1920年の間の騒動です。この事件の詳細は省きますが、フランシス・グリフィスとエルシー・ライトという2人の少女は、絵本の挿絵の妖精を元にして妖精を作りだしましたが、挿絵の妖精にはない蝶の翅を付け加えています。当時から妖精らしさの記号として機能したようです

2017-05-24 20:32:19
としょディア @Acedia_TDOTL

コティングリーの少女たちが参照した絵本『Princess Mary's Gift Book』には、蝶の翅を持つ妖精も描かれています。「A Spell for a Fairy」のカラー絵がそうです。アゲハチョウ〈swallowtail〉の名の由来となった、後翅の尾状突起が見えますね pic.twitter.com/IQrK1u24Xf

2017-05-24 20:44:45
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上の2ツイート、わかりにくいのですが、「少女たちが模写したページの妖精には蝶の翅はなく、模写していない別のページの妖精には蝶の翅があるものがある」と言うことです

としょディア @Acedia_TDOTL

Princess Mary's gift book .. : Mary, princess of Great Britain, 1897- : Free Download & Streaming : Internet Archive archive.org/details/prince…

2017-05-24 20:45:25
としょディア @Acedia_TDOTL

「蝶の翅を持つ妖精」のイメージがどこまで遡れるのかは、わたしの調査不足もあってわからないのですが、シェイクスピアの『夏の夜の夢』を描いた絵画には、1840年代から蝶の羽が生えた妖精の女王ティターニアの姿があります

2017-05-24 20:53:31
としょディア @Acedia_TDOTL

さて、今回はこのくらいにしておきましょうか。燕の尾よりもかなり長い尾話になってしまいました。次回は、オトカドールの世界観ともすこし絡めてお話をしていきたいなあと思います

2017-05-24 21:00:24
としょディア @Acedia_TDOTL

あ、「尾話」というのは『不思議の国のアリス』のネタです! 『ALICE'S ADVENTURES IN WONDERLAND』の第3章に、「a long tale〈長い話〉」と「a long tail〈長い尾〉」が同発音であることを利用した言葉遊びがあるのです

2017-05-24 21:06:59
としょディア @Acedia_TDOTL

この第3章、わたしが持っている矢川澄子訳の『不思議の国のアリス』では「堂々めぐりと長い尾話」という章題で訳されていまして、それを元ネタとして使いました

2017-05-24 21:08:48
としょディア @Acedia_TDOTL

フィクルさんの新コーデの話題も盛り上がってまいりましたね。6月ですし、リリカさんが着ていたジューンブライドな服がフィクルさんの新コーデなのでしょうか……。さて、フィクルさんの話の続きをしましょう。ひとまず語り終えたら、モーメント? にでもまとめてみるつもりでいます

2017-06-03 21:59:24
としょディア @Acedia_TDOTL

フィクルさんは1stドリームphase3からの登場です。ここで同時にアイディさんも登場するのですが……。わたしは、フィクルさんとアイディさんが同時に登場したことには何か意味がある気がするのです。今日は主にそのことについて話していきます

2017-06-03 22:08:23
としょディア @Acedia_TDOTL

そう思う大きな理由は、金星のバトンの作成方法です。金星のバトンは多段合成で完成する強力なもちもので、ボスであるルシ子さんのものと対になる特別なもちものです。これがフローレスさんの場合はグレイシアソードで、これも多段合成で完成させる武器です

2017-06-03 22:18:04
としょディア @Acedia_TDOTL

グレイシアソードを手に入れるためには“クリスマスの魔法使いの弟子アシディア”と“氷の女王フローレス”さんの2人から手に入れる素材が必要です。両者は明らかに関係がありそうなキャラクターなので、この素材入手元には納得がいきます。翻って、金星のバトンはどうでしょうか

2017-06-03 22:20:39
としょディア @Acedia_TDOTL

金星のバトンの作成には“アケボシのかけら”と“ヨイボシのかけら”を魔王ルシ子さんから、“ホワイトメタル”をアイディさんから、そして“ブラックメタル”をフィクルさんから入手しなければいけません。ルシ子さんとアイディさんに関係があるのはわかります。ですが、なぜフィクルさんが?

2017-06-03 22:22:49
としょディア @Acedia_TDOTL

そう思って考えてみると、アイディさんとフィクルさんは、方向性は違えど似ている部分があるということに気づきました。お二人とも、「自分が無い」んです。フィクルさんは優柔不断ゆえに一貫性のある「自分」を持たず、アイディさんは他人に流されるがゆえに「自分」がない

2017-06-03 22:25:35
としょディア @Acedia_TDOTL

アイディさんはラテン語のイド(id)、フロイトの言う「無意識」に相当する言葉が名前の由来になっているようです。idはドイツ語ではエス(es)で、こちらはエスさんの名前になっていますね。ルールや理想、禁止を説くミカ子さんは「超自我」っぽく、そうするとルシ子さんは「自我」に見えます

2017-06-03 22:32:49
としょディア @Acedia_TDOTL

ルシ子さんを取り巻く心理学的要素についての詳しい説明は、また今度機会があれば行います。とりあえず、ルシ子さんとアイディさんは心理学的モチーフを持っているということを頭に置いておいてください。では、フィクルさんには心理学的モチーフは存在するのか? それを考えてみます

2017-06-03 22:36:22
としょディア @Acedia_TDOTL

ところで、蝶の翅を持つ神話上の登場人物が存在します。名をプシューケーと言い、ギリシア神話に登場する女神です。正確にはもともとは人間で、クピードー(エロース)と結婚する際に女神となるのですが、女神になった後のプシューケーは、蝶の翅を背中に生やした姿で描かれることが多いのです

2017-06-03 22:42:41
としょディア @Acedia_TDOTL

プシューケーの絵画や彫刻は、ルーブル美術館のページでまとまった量を見ることができます。スクショは個人的に好きなジェラールによる絵です。プシューケーは蝶とともに描かれていますね。 →《アモルの接吻で蘇るプシュケ》 | ルーヴル美術館 musee.louvre.fr/oal/psycheJP/p… pic.twitter.com/6gKCz0J8pA

2017-06-09 02:23:03
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としょディア @Acedia_TDOTL

フィクルさんと同じように蝶の翅を持つプシューケー。ギリシア語ではΨυχη、ラテン文字で書けばPsycheです。これは古代ギリシア語で“精神、魂”や“生命”を意味する言葉でもありました。“精神”という意味の“psycho”という英単語がありますが、その語源にもなっています

2017-06-03 22:53:34
としょディア @Acedia_TDOTL

心理学を意味する英語は“psychology”ですし、プシュケーは心理学にも関わります。先ほどルシ子さん・アイディさん・ミカ子さんを自我・無意識・超自我に当てはめましたが、フロイトはこれらの三要素を「Seele(ドイツ語で魂、すなわちPsyche)」の構成要素だと考えていたのです

2017-06-03 22:59:35
としょディア @Acedia_TDOTL

つまり! フロイトの精神分析をモチーフとして持つキャラクター群は、ルシ子さん、アイディさん、ミカ子さん、エスさんだけではなく、実はフィクルさんもそこに含まれているのだと、わたしは思います。だからこそ、アイディさんとフィクルさんは同時に登場し、両者とも金星のバトンの素材を持つ……

2017-06-03 23:03:50
としょディア @Acedia_TDOTL

推理というには証拠に乏しいので、本当にそうだとは言い切れません。オトカドールというコンテンツは、わたしたちの予想や推測を遥かに超えた新要素を出してくるので、わたしの想像もきっと簡単に超えられてしまうのです……

2017-06-03 23:08:34
としょディア @Acedia_TDOTL

さあ、長々と続いたフィクルさんについてのお話も、ここで一旦終わります。また新コーデが出てきたら続きを始めるかもしれません。それでは、お疲れ様でした──

2017-06-03 23:10:26