少年は一見どこにでも居る平凡な高校生、しかし実は世界最強の魔法使いだ

彼の術とはそう、スプーンを曲げることだ
44
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「ヴナアアアアアア」 三毛に変わった猫が不機嫌なうなりをさせる。 「ずるいじゃないですか。本部…ほ」 次の瞬間、美少女の首が落ちる

2017-06-10 00:01:18
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「まじ…かよ…」 「ヴウウウウウ…」 「お前…わざと僕を巻き込んだな…」 「ナウ」 「あの人が僕に気を取られてるすきに殺すつもりだったんだろ。やーい先に撃たれて…オェエエエエッ」 急に血の匂いを意識して吐気。

2017-06-10 00:03:28
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「…最強の魔法使いとかやってられるか…猫にも利用されるとか…」 「ヴナアアア」 「なんだよ」 スプーンを運んできてまた落とす猫。 「この状況でスプーン曲げ?

2017-06-10 00:05:12
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 少年は螺旋のかたちになったスプーンをさらに曲げる。と、それはいっそう奇天烈なかたちになり、奇妙な歪みを空間に与えるように見える。 「…」 「ナウウ」 猫が美少女の死体に向かって尻尾を振る 「嫌な予感がするな」

2017-06-10 00:07:49
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 放り投げると、ねじくれたスプーンは音を立てて骨と肉を折りたたみ、吸いこんで、血をすべて拭い去る。自動拳銃も制服も靴も通学鞄もすべて

2017-06-10 00:08:44
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「オエエエエエエエッ…」 「ナウウウ」 「…こんなこと…」

2017-06-10 00:10:28
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acidスプーンを曲げ続けるとなんだかよく分からない力を発揮するなんて…お前が三毛になると人の首を刎ねるなんてのも考えてみれば…まてよトメさんの絶対に当たりをさける術ってのもじゃあ…」

2017-06-10 00:12:06
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「そりゃあ財団もつかまえようとする訳だこれ。魔法使いなんか皆とんでもないやつばっかりじゃないか…いずれにしても人ひとり消えたんだ…明日にはきっと財団が…っておい、いくの?」 すたすたと立ち去る斑猫。唖然とする少年。

2017-06-10 00:13:36
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 翌日何事もなかったふりをして学校にゆくと、皆は美少女がいたことすら覚えていない。転校などなかったかのよう。 というより実際なかった。 「偉いこっちゃ…因果操作ってやつじゃないか…偉いこっちゃ…」 ぶるぶる震える少年。

2017-06-10 00:14:36
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「ね、ねえ父さん。そういえばうちってなんで母さんがいないんだっけ」 「は?うちはもともと俺とお前だけだろうか」 「いやでも普通人間て良心がいて生まれて」 「意味分かんねーこと言ってんな(ボカッ」

2017-06-10 00:15:28
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 少年はじっくり思い出そうとしてみる。多分母親はいたはずだ。というか、スプーンを曲げる術なんて幼い子供が使えたら、両親にばれないはずはない「…僕が…消したのか…はずみで…」

2017-06-10 00:16:43
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「参ったな…こりゃ参った」 少年は手の中でスプーンを折り曲げる。以前とは違う形に変わっていく。 今度は魚と鳥の相の子のようなかたち。 「ンナアアア」 猫が餌をたかりにくる。 「…ほら」 スプーンをしまってセロハンをやぶき、餌をやる。

2017-06-10 00:18:33
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「お前ひょっとして、つまり…僕を戦わせるつもりか。財団と」 「ヴナヴナ」 「スプーン曲げ斑から三毛に変わる力で?」 「ヴナア!」 「え、僕だけでやれ?最悪だなお前…」 「ヴナ」 「やれやれ。よく分からないな」

2017-06-10 00:20:32
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 最近読んだ小説風のつぶやきをしてから、折れ曲がったスプーンを投げる。それは宙を泳ぎ出し、何度か明滅してからまるで別の世界に滑り込むように消えた。 数分後、地鳴りが襲ってきて、少年は凍りつけた。 「…うへえ…また何かしたみたいだ」

2017-06-10 00:22:24
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 少年は一見どこにでもいる平凡な高校生。しかし実は世界最強の魔法使いで、トラブルを避けるために力を隠しているのだった 彼の術とはそう、スプーンを曲げること。

2017-06-10 00:23:03
帽子男 @alkali_acid

「解放してくれ!!私はただ…ただミミズを躍らせる術が使えるだけなんだ…」 「逆になんで収容されたの」 「ミミズを踊らせないって約束でだ…」 「まミミズを踊らせるぐらいでそんな拘束衣はひどいよな…あ、ミミズを踊らせると疫病がはやるとかはないよね?」 「ミミズはただ踊るだけだが…?」

2017-06-10 00:39:57
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「じゃあほら…待ってな。えーと五回、いや六回折り曲げだったかな…やりすぎるとおたくごとどこか別の世界に飛ばしちゃうから…」 「何をしてる?」 「スプーンを曲げてる。僕の術だ」 「何てこった世界最強の魔法使い我等の解放者がスプーン曲げ「うるさい」

2017-06-10 00:41:32
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 爆発音、壁に叩きつけらえた拘束衣の魔法使い。申し訳なさそうな少年。 「ごめんごめん。曲げ方によってはもっとおとなしい爆発にできるはずなんだけど。まだなかなかね」 最近読んだ小説風の言葉使いで詫びる。 「げほ、ごほ…まあいい…」

2017-06-10 00:42:42
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「さあ、私は自由だ!!ミミズをいくらでも踊らせててもらおう!!」 「うんうん。そのくらいはいいんじゃない…」 収容施設全体が揺れ始める。 「なに!?なに!?」 「ミミズさ!!奴等はドールの子等とか呼んでるがな」 「あ…、くそっ」

2017-06-10 00:45:01
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「地底に、どんなミミズがいるのかまでは考えなかったぞ」 「さ、解放者よ!!私とともに行こう」 「まった。地下にはほかにも魔法使いが」 「みんなろくでもない狂人ばかりだ!ドールの子等に食わせた方がいい!!!きたまえ」 「(うわっちゃー…またとんでも)」

2017-06-10 00:46:16
帽子男 @alkali_acid

@alkali_acid 「解放者よ。外の空気はやはりうまいなあ」 「財団てのはやっぱり世界平和のために戦ってる立派な組織だたんだな…」 「どうした浮かない顔をして!!次は無限に鼻くそをほじれる術師を解放しよう!財団に対する抵抗の指揮官だった」 「いや…もうちょっと考えさせて」

2017-06-10 00:47:42