2016-17シーズン、平昌五輪に挑む男子スケーター達のまとめ と現在に至るフィギュアの流れ とその流れを作った名選手達
- kawaikunai_mono
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しかし2008-09シーズンに「回転不足」というルールが厳格化される事によって 多くの選手が方向転換を余儀なくされます
2017-06-27 02:12:05この時点では、ジャンプが回転不足と見做されれば 基礎点は問答無用で一回転分減る、という過酷なものでした 例えば当時の基礎点9.8の4Tが回転不足になると基礎点は3Tの4.0、 これで転倒するとGOE-3、かつ転倒の-1で得点は殆どゼロになります
2017-06-27 02:12:17結果、リスクの大きすぎる四回転は存在意義をほぼ失い、 元々飛んでいた選手にも使われなくなります そして2008年にジェフリー・バトルが 2009年にエヴァン・ライサチェクが四回転抜きで世界選手権を制覇するに至り、 「フィギュアスケートには四回転は不要だ」という論争が発生します
2017-06-27 02:12:32そこに異を唱えた選手もいました ルール変更後も四回転を武器に世界選手権で表彰台に立ち続けたブライアン・ジュベール、 四回転健在のまま2009年から競技に復帰したプルシェンコ この二人が特に有名です
2017-06-27 02:12:42また四回転封印で更なる好成績を狙い得たにも関わらず 敢えて四回転を飛び続けた選手もいました 例えばジェレミー・アボット、トマシュ・ベルネル、高橋大輔といったような
2017-06-27 02:13:02「四回転無しの五輪王者などあり得ない!」と断言してバンクーバー五輪に挑み、 本番で完璧な四回転を決めたプルシェンコは… 四回転を抜いた代わりに全てを完璧に決めたライサチェクに破れ、僅差の二位に終わります
2017-06-27 02:13:14しかしこの大会の直後にルールが変わります 回転不足がアンダーローテーション(基礎点三割引)とダウングレード(一回転下の基礎点)に分割され、 四回転のリスクが大幅に低減されたのです
2017-06-27 02:13:24このルールで開催された同年の世界選手権では ダウングレードながら4F(?!)を着氷した高橋大輔が一位 四回転無しのパトリック・チャンが二位 いつものように切れ味鋭い4Tを決めたジュベールが三位に収まりました
2017-06-27 02:13:36結果的に今に至るルールに落ち着き、 複数の四回転を飛んでジャンプの基礎点で、 四回転一つと他の要素の総合で、 四回転を抜く代わりに他を限界まで鍛え上げて、 といった様々な戦略が発生します
2017-06-27 02:13:46例えばケヴィン・レイノルズがSP2クワドを戦略とする一方、 アダム・リッポン等が四回転抜きでの勝負を選択、 高橋やベルネル、アボットらはあくまで四回転を飛びつつ他の要素にも力を注ぐ…
2017-06-27 02:14:00ここで男子フィギュアにもたらされた多様性は 後に様々な選手の内に、様々な形で花開くことになります そして絶対的な選手がいない中、誰がいかなる存在として中心になるのか、 しばらくは分からない…と思われていたのですが
2017-06-27 02:14:09オールインワンの時代
ところが論争の頃には四回転は不要と息巻き、 またその為にも四回転以外の要素を現役屈指のレベルに引き上げていたある選手が 唐突に4Tと4T3Tを、しかも最高の質で投入 全てを揃えて他の選手を一気に引き離し、頂上を独走するに至ります
2017-06-27 02:23:11この男こそが、今も現役最高峰を走るパトリック・チャン 彼が四回転と他の要素を両立し、世界選手権を三連覇する事で そして他の選手達も四回転を含むオールインワンに挑み始めました
2017-06-27 02:23:23ハビエル・フェルナンデス、デニス・テン、少し後の宇野昌磨といった選手は この流れから成長し、飛躍した選手です 一方で高橋大輔や小塚崇彦といったバンクーバー時代の選手も、 進化を続けて頂上争いに食らいついていました
2017-06-27 02:23:32ここで2010-11シーズンのシニアデビューから四回転を含む全てを突き詰め、 パトリックに追いすがらんとする一人の若武者が登場します
2017-06-27 02:23:45その名は羽生結弦 2012年世界選手権で銅メダルを獲得すると 次のシーズンには4Tと(当時は)不安定ながらも4Sの両立に成功 遂には2013GPFでパトリックに勝つ所まで漕ぎ着けます
2017-06-27 02:23:54そしてソチ五輪 金メダルに近いのはパトリック・チャンと羽生結弦で、 どちらかと言えばパトリック有利かとされていた大会でしたが 結果としては両者がFSで実力を出しきれずも、辛うじて羽生が金メダルを手にしました
2017-06-27 02:24:07しかし本人にとっては不甲斐ない演技となった事で 羽生の飽くなき挑戦は更に加速していきます また最高峰の4T4Sを備えるフェルナンデス、高い水準で独自の世界を打ち立てた町田樹、 4Tと世界有数のスピンステップを併せ持つテン等、 やはり全てを極めた選手が彼に立ちはだかります
2017-06-27 02:24:17これから先はパトリックも含め 一種、ないし二種の四回転を含む全ての要素を極めた者が勝つ、と多くの人々は思っていました しかし佐野稔は予言していたのです 「四回転一種で世界選手権の表彰台に立てるのは2015年が最後」と…
2017-06-27 02:24:284Lzの衝撃、究極の先の先へと
さて同じ四回転でも、4T4Sと4Lo4F4Lz、4Aには大分難度の差があります 4Tが一発勝負で右打席の本塁打、4Sが同じく左打席の本塁打とすれば、 4Loは片手だけ、4Fはゴムのバットで右打席、4Lzもゴムのバットで左打席… それ位の難度で、実戦投入は困難だと思われていました
2017-06-27 02:24:38しかし2015-16シーズン シニアデビューを果たしたばかりのある選手が4Lzを+3Tのコンボ付きで実戦投入 高難度故の高得点を武器に、男子フィギュアに殴り込みをかけてきました
2017-06-27 02:25:02ボーヤン・ジン。 張民以来、四回転に定評のあった中国の少年は 4Lzだけでなく4T4Sも備えて、技術点の暴力で一気に頂点へと駆け上っていきます
2017-06-27 02:25:30