2016-17シーズン、平昌五輪に挑む男子スケーター達のまとめ と現在に至るフィギュアの流れ とその流れを作った名選手達
- kawaikunai_mono
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このまとめで使う略称、及び用語解説
GPS、GPF グランプリシリーズ、グランプリファイナルの略 GPS六大会の上位六人によって争われるシーズン前半最大の大会がGPFですが 実はGPSへの参戦も結構難しく、出場している時点で一角のスケーターです 今季も少なくない実力者が枠を失い、多くのファンが悲しみを背負いました
2017-06-27 02:01:55SP、FS、EX ショートプログラム、フリースケーティング、エキシビジョンの略 競技はSPとFSの合計得点で順位が決まり、 EXは競技後の後夜祭として位置づけられています 時々EXが本番とばかりに全力で弾けるスケーターもいます
2017-06-27 02:02:00技術点(TES) 現在、フィギュアスケートの得点は技術点と構成点の合算で算出されるのですが、 この内ジャンプ、スピン、ステップ(三つまとめて「要素」とも)の難度と出来栄えで算出されるのが技術点です いずれも難度の高い技を、工夫して、高い質で決めれば高得点だと思っておけばOKです
2017-06-27 02:02:11出来栄え点(GOE) 難度による点数は固定ですが その質を様々な観点で数値化するのが出来栄え点です 例えばジャンプでは、高さ、飛距離(幅とも呼ばれます)、入りの難しさ、着氷の美しさ等がGOEの基準となります GOEの幅は様々ですが四回転ジャンプだと-4~+3点と大きなものに
2017-06-27 02:02:22ジャンプに関して T→トゥループ S→サルコウ Lo→ループ F→フリップ Lz→ルッツ A→アクセル 冒頭の数字は回転数です。例えば4Tだと四回転トゥループ 回転数が多くなればなるほど難しく、また点数配分も高いです なお四回転ジャンプは「クワド」とも呼ばれます
2017-06-27 02:02:36ちなみに三回転以上のジャンプと二回転アクセルの基礎点を並べると 2A→3.3 3T→4.3 3S→4.4 3Lo→5.1 3F→5.3 3Lz→6.0 3A→8.5 4T→10.3 4S→10.5 4Lo→12.0 4F→12.3 4Lz→13.6 4A→15.0
2017-06-27 02:02:50スピンステップとそのレベル、GOEについて スピンとステップのレベルは定められた基準を満たしたか否かによって、 B(0)、1、2、3、4の五段階が適用されます 一方GOEはガイドラインに基づきはしますが、レベルの基準では判断し難い 長所または短所を評価して算出されます
2017-06-27 02:03:02また現在のルールにはFSに一つコレオシークエンスという要素もあり、 これはレベル固定、GOEだけで評価されるステップです スピンステップの採点、特にGOEは基準がわかりにくいですが それでもGOE+3を取るようなスピンステップは素人目にも際立って目を引くものが多いです
2017-07-01 03:37:46演技構成点(PCS) SS スケートの技術 TR 要素(ジャンプ、スピン、ステップ)間の動きの多彩さ(「つなぎ」とも) PE 動作、身のこなし CH 振り付け、演技構成 IN 曲の解釈 この五要素によって算出される得点です。ファイブコンポーネンツとも
2017-06-27 02:03:24なおPCSの出方は 1、五項目がほぼ均一 トップクラスだと均一に高得点 2、TR以外が高得点 「つなぎ」以外が高評価 3、PE、CH、INが高得点 表現力に定評 4、SSが突出 スケーティングがとても上手い 大体この4パターンに収束します
2017-06-27 02:03:34スケーティング 単に「滑り」とも。実は基礎的な滑りの上手い下手は選手によって大きく違い、 またスケーティングが上手いとされる選手の中にも広い個性があります つるつる滑るスケーティング、略して「ツルスケ」という上手さを指す言葉などもあったり
2017-06-27 02:04:17ザヤックルール FSでの三回転以上のジャンプは二種類を二回まで (例 4T二回、3A二回を飛んだ場合はもう4T3Aは飛べず、また他の四回転三回転は一回づつまで) また二回転ジャンプは二回づつまで 規定を超えた場合はそのジャンプは無効という規定
2017-07-01 02:42:41現在はそのジャンプのみが無効になりますが、 2015-16シーズンまではコンビネーション全てが無効になった為、 例えば3A3Tで三回目の3Tを飛ぶと12.8点が丸々吹き飛ぶという悲劇も起きたりしました (現在は3Tの4.3のみが無効) これで減点される事を俗に「ザヤる」とも
2017-07-01 02:42:49フィギュアスケートの潮流
二人の天才
長野五輪の時点ではFSで一本4Tを決めればメダルにぐっと近づけたのですが ソルトレイク五輪ではSPで一本、FSで二本の四回転 更に他の要素全てを極めなければ表彰台にも登れなくなります この四年の間にフィギュアの技術は爆発的に進歩したのですが
2017-06-27 02:05:11その進歩をもたらしたのが、 アレクセイ・ヤグディンとエフゲニー・プルシェンコです 同じ国に生まれて一時は同じコーチの元で学んだ二人の天才は、 熾烈な争いの中で激しく切磋琢磨していきます
2017-06-27 02:05:23そして他の選手達も、彼らに追いつく為に無謀とも思える挑戦を繰り返し、 時には二人を脅かしうるか、という所まで迫りもしました ティモシー・ゲーブル、本田武史、アレクサンドル・アブト… 他にも数多くのスケーター達が、フィギュアの常識を塗り替えていきました
2017-06-27 02:05:36実質ヤグディンとプルシェンコの対決と言われたソルトレイク五輪では SPでプルシェンコがまさかの転倒で金メダル争いから脱落 一方のヤグディンはSPと4T3T2Loを含むFSをほぼ完璧に揃え、堂々の五輪王者となります そしてGPFと世界選手権の三冠を含むシーズン全勝を達成しました
2017-06-27 02:10:56勿論これで引き下がるプルシェンコではなく 次のシーズンで最高のプログラムを用意してヤグディンにぶつける…つもりだったのですが 何とヤグディンが怪我で引退してしまうのです
2017-06-27 02:11:13孤独な王者となったプルシェンコは その後採点方式の一新にも対応し、トリノ五輪で圧倒的な得点を叩き出して優勝 後進にフィギュアスケートの精髄を見せつけ、一旦の休養に入ります
2017-06-27 02:11:23四回転論争
2006年からプルシェンコが長期休養に入り 男子フィギュアスケート界には絶対王者と言える存在はいなくなりました それ故に…という訳でもないでしょうが、 様々な選手が様々な戦略を模索する時代が到来します
2017-06-27 02:11:44四回転の威力を軸にした戦略 それ以外のジャンプやスピン、ステップのGOEを積み上げる戦略 演技構成点を伸ばしていく戦略、等 選手によって得意な事は違うので これら全てで他を圧倒する、という発想は現実的ではないと見做されていました この時点では
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