北朝鮮のICBM 火星14号 徹底検証 ~能力シミュレーションと考察~

次々と新型弾道ミサイルを開発している北朝鮮がついに「ICBM」火星14号の飛行に成功しました。 ロフテッド軌道で高く打ち上げることが多い北朝鮮のミサイルですが、実際どれくらい飛ぶのか? そして飛距離と機体規模から推定される弾頭質量、衛星打ち上げロケット「銀河」との関係などについて、シミュレーションで考察してみました。
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LH2 @LH2NHI

北朝鮮のICBM 火星14号がついに飛行しました。 相変わらずのロフテッド軌道ですが、まともに飛ばせばいったいどのくらいの射程距離になるのか?そして衛星の打ち上げも可能なのでは…?等が気になったので、 性能をシミュレーションで解き明かしてみました。以下連ツイします。

2017-07-05 23:50:43
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(2)機体の特徴 火星12号、14号の1段はともにノドンのエンジン+バーニア4機を搭載しており、機体直径はノドンの1.25mより太い1.5m程度、上段は1.25m程度です。 b14643.de/Spacerockets/S… pic.twitter.com/7KxSWXJk1n

2017-07-05 23:53:36
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(3)銀河3号との関係 この直径は実は銀河3号の第2段、3段と一致しています。 燃焼時間から銀河の第2段の推力は16tf程度ですが、 ノドンの推力31tfに16tfを足すと47tfでちょうど火星12,14号程度になります。

2017-07-05 23:54:29
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(4)銀河3号との関係 つまり、銀河3号第2段は4機のバーニアのみ、火星12,14号はその中心にメインエンジンを追加したものと考えられます。 つまり銀河3号の性能から各種パラメータを推定できることになります。

2017-07-05 23:55:54
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(5)火星12,14号のパラメータ推定 推進剤は銀河3号第2段は推進剤12t、火星14号19t,火星12号24t Ispは硝酸/ケロシンと仮定し269sとしました。構造質量は1段式の火星12号で性能を満足するよう逆算。構造効率94%となりますが、無理のない推定です。 pic.twitter.com/U40v4Gas3F

2017-07-06 00:02:22
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(6)銀河3号シミュ結果 まずは銀河3号のシミュ結果です。 高度500kmに250kgの衛星を打ち上げる計算ですが、各段落下地点等も現実に合わせこみ可能で無理のない想定と分かります。 この想定で使った第2段、第3段エンジンパラメータで、火星12号を計算します。 pic.twitter.com/ctPppljLNN

2017-07-06 00:06:38
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(7)火星12号ロフテッド軌道計算 さっきのパラメータで火星12号ロフテッド軌道を計算してみると、計算結果は最高高度2185km、飛距離760kmです。 一方北朝鮮発表値は最高高度2111km、飛距離787km ほぼ一致しました! pic.twitter.com/CZRL9AN1Mr

2017-07-06 00:09:35
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(7)中距離弾道ミサイル 火星12号はどこまで飛ぶか? 次に火星12号で最大飛距離になるようピッチ角を変えていきました。 最高飛距離は4430kmで完全にIRBMです。 弾頭は300kg程度?ですが、機体を100kg軽くするとその分弾頭が増やせるので、構造効率次第ですね…。 pic.twitter.com/MNVuPYIjQs

2017-07-06 00:16:55
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(8)北のICBM 火星14号を再現 次に火星14号のロフテッド軌道です。 計算結果は最高高度2815km、飛距離915kmです。 一方北朝鮮発表値は最高高度2802km、飛距離933km これもほぼ一致します。 燃焼終了高度は1段108kmですが映像とも矛盾なさそう。 pic.twitter.com/act6caZaoc

2017-07-06 00:20:46
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(8)北のICBM 火星14号はどこまで飛ぶか? 次に火星14号で最大飛距離になるようピッチ角を変えていきました。 最高飛距離は6248kmで5500kmを超えています!ICBMです。 弾頭も500kgは積めそうですね。火星12号より弾頭も太いのでそのくらいあるのでは…? pic.twitter.com/L0RRnRw3US

2017-07-06 00:24:37
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(9)火星14号で衛星打上? 火星14号、イランのサフィールと同クラスの機体なので、もしや衛星も積めるのでは…と計算してみると…。 100kgの小型衛星を高度250kmの円軌道に投入できそうです。 これでいつでも衛星上げ放題…?? pic.twitter.com/NYmQJYRY6Q

2017-07-06 00:29:45
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(10)まとめ ・銀河3号のパラメータから火星12号、火星14号の機体規模を推定した。 ・軌道計算を行ってみると北朝鮮の飛行試験結果と一致した。 ・最大射程は火星12号は4430kmでIRBM、そして火星14号は6248kmで確かにICBMだった。

2017-07-06 00:33:56
LH2 @LH2NHI

(11)余談 北朝鮮の液体推進系技術変遷に関する考察 性能計算の過程で、北朝鮮のミサイルの改良点を考えていくと、このように整理できそうです。 着実に一つずつ新技術を導入するノドン系、挑戦的なムスダン系、ロケット銀河3号のミサイル技術試験機としての顔などのコンセプトが見えますね。 pic.twitter.com/8doyxQvD3L

2017-07-06 00:42:51
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