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壺の話

cha_bo @cha_bo39
《多摩川綺談 再録》 多摩川の河川敷にひょうたん池と呼ばれる人工の池があり、ヘラブナ釣りの愛好家で賑わっている。 ぶらぶらと散歩のついでに、その辺りに住み着いている人懐こい野良猫を構っていると、一人の老人に話しかけられた。 続く↓ pic.twitter.com/eTtKVuncAm
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この辺りの猫の世話をしている人なのかな?と思った。餌なんだろうか何か丸い物が入った包みを抱えている。 兄ちゃんは何をしている人だ?と訊かれた。その日は平日だったので、不審人物と思われたんだろう。 今日は休みで、とモゴモゴ答えていると、猫の話や天候の話に変わった。 続く↓
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この爺さんは話し相手が欲しかったのか?ふと、老人の手元が目に入った。包帯を巻いているが、指が短いというか、無い。 老人も俺の視線に気がついたのか、ニヤっと笑うと隣に腰を下ろし、これはなぁ〜と手を前にかざして話始めた。 老人は昔、福岡で屑鉄屋を営んでいたそうだ。 続く↓
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あ、手は何か事故で失ったのか、と思った。機械に巻き込まれたんですか?と言うと、笑いながら違うと言う。機械なんか持ってるわけあるか、と。 屑鉄屋と言っても浮浪者スレスレの、屑鉄を拾い集めお金に換えるバタ屋と呼ばれる商売で、そのバタ屋集団の取りまとめをやっていたそうだ。 続く↓
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屑鉄拾いの胴元をやっていれば、近隣のはぐれ者について詳しくなる。無職の者がいれば金物集めろ銭に変えたる、と声をかけるのだ。そうして人手を集める。 そんな日々を過ごすうち、ある男に気がついた。浮浪者の中に、毎日をひねもすのたり過ごし、安酒場で管を巻いている初老の男がいる。 続く↓
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屑鉄拾いの胴元と言ったって、生活は楽なわけじゃない。貯金なんか無いし、あくせく暮らす毎日。遊んでばかりで何もしていないそいつの事が気になって、仕方が無くなってきた。 あの野郎、小金を貯めこんでやがるな。働いていない奴が楽をしている のはおかしい。 盗んでやれ、と思った。 続く↓
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その男が住んでいたのは、かろうじて雨風が防げる程度のおんぼろのアパートだった。忍び込んで金の在処を探した。けれど何も、金目の物は何も無かった。あるのは薄汚れた生活道具と古びた壺だけ。 ここには隠してないのか、と引き上げようとした矢先、帰ってきた男と鉢合わせになった。 続く↓
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こうなったら居直り強盗だ、脅しつけて金を出させようと身構えた。 しかし、分かった顔の初老の男は、隅にあった壺を抱えあげると、ニヤリと笑い、ここに手を入れて握り拳を作ってみろという。 なんだそりゃと、手を突っ込み虚空を一掴みして腕を引き出すと、手には硬貨が握られていた。 続く↓
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これはとんでもない壺だ!金を産む壺だ!と何度も腕を突っ込んで硬貨を掴みだした。同じ重さの屑鉄の、何倍もの価値の金属。夢中になった。 それを見ていた男は、その壺が欲しければ今出したその金で売ってやる、と言う。 金を産む壺をそこから出てきた金で売る? どう言うことだ?妙だ? 続く↓
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老人はここで話を切った。 僕はとんでもない話の展開に絶句していたが、そもそもの話のきっかけ、指の事を思い出した。 老人はまた俺が手元を見ているのに気がつき、苦笑した後に話を続けた。 続く↓
cha_bo @cha_bo39
そいつには指が、両手とも、ほとんど無かったんだよ。今の俺と同じように。だから小銭しか掴めなくて安酒しか飲めなかったんだ。だから俺が何万円も出したのを見て、金と交換したくなったのさ。 その時は、そう思ったんだ…。 男の姿はそれきり見なくなった。 続く↓
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ひと摑みで100円玉100枚くらい、一万円くらいは掴み出せた。家を買った。車を買った。地べたを見て暮らす屑鉄屋なんか止めて、空を見て歩いた。仕事なんかしなかったよ。毎日飲んで遊んで楽しかったなぁ。 銀行に鞄いっぱいの小銭持って行って札に変えてもらうのだけが面倒やったな。 続く↓
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やがて、ある事に気がついた。掴み出せる硬貨が少なくなっている。理由はすぐにわかった。 指が短くなっていた。関節一つ分くらいの長さが縮んでいた。 この壺は金と引き換えに指を削りとっていくんだ…。 あの初老の男の手の意味が分かった。あいつは壺を使いすぎたんだ。 続く↓
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俺は改心し仕事を探した。でもそんな手じゃな。出来る仕事なんて無い。そして、また壺に手を…。 壺を壊してしまえば良かったんだけどな。出来なかった。 一度甘い汁を吸うことを覚えたら、真面目に仕事なんて出来るもんじゃねぇ。 今度だけ今度だけと思って壺に手を入れちまうんだ。 続く↓
cha_bo @cha_bo39
で、この有様だ、と手の平だけの手を見せて笑った。 もう指で金を出そうにも無いからなぁ保険は駄目だ今は年金だけで暮らしてる、と。 傍に置いていた包みを両手で挟み、俺の前に置いた。 ここにその壺がある、兄ちゃんもやってみるかい? 半信半疑だったが、包みを解く勇気は無かった。 終

野宿した話

cha_bo @cha_bo39
真冬の河川敷、枯草を踏み敷いて安物のテントを拡げ、野宿をした。 風がビュービューとテントを揺らす。生き物の気配はない。はずなのに。テントの周りをカサカサと、秘かに枯草を踏む音。 河童? 僕は恐怖にギュッと目を瞑り、息を詰めて寝袋に包まる。 日の出を祈るように待つ。 続↓ pic.twitter.com/PhnJpN1ZW2
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cha_bo @cha_bo39
翌朝、寝袋から這い出すと、テントの周りには枯草が積まれ、大量に散乱する消えたマッチ。 #多摩川綺談 pic.twitter.com/IlP66stazS
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橋の下

cha_bo @cha_bo39
@kichibuta_ 中学生の頃の話。友達の家で遊んでいて遅くなったんだ。堤防をずっと真っ直ぐ行くのが帰りの最短ルートだったんだけど、途中、鉄橋のところで二又に分かれる。川沿いの鉄橋を潜るルートと少し回り道のトンネルを潜るルート。 pic.twitter.com/at9C69HDHF
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@kichibuta_ 堤防から降りて迂回するのも面倒だから、普段なら鉄橋の下を通るルートを使っていたんだけど、その日は何故かトンネルの方を通って帰った。どちらも不気味な事には変わりがないんだけども。虫の知らせだったのかしら。 週が明けて、鉄橋で首吊りがあった事を知らされた。

人を食った話

cha_bo @cha_bo39
学生の頃の話。奥多摩のキャンプ場でBBQをしていたら見知らぬおじさんが、もう帰るからと言ってビニール袋いっぱいのお肉をくれた。食べきれるかなぁと思いつつ、貧乏学生はありがたく頂戴し、さっそく網に乗せた。 帰ると言ったおじさんは、まだそこに居てこちらを見ている。 続↓ pic.twitter.com/T9Z1fByNMn
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ピートロに似た感じの肉はとても美味しかった。おじさんに「これ美味しいですね!なんのお肉ですか?」と聞いた。 そうしたら「ヒトの肉だよ」と笑いながら言って、立ち去った。 「今のはヒツジって言ったんだよな?な?聞き間違えたんだよな俺ら」貧乏な僕たちはそう言い合って、肉を全部食べた。
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コメント

cha_bo @cha_bo39 2017年7月30日
一人称が混在してる。うかつ。失敗した。
kartis56 @kartis56 2017年7月30日
ログじゃなくて小説ですね
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