子供に対する放射性物質の影響

東京在住で乳児、幼児など子供がいる人のための情報です。 @team_nakagawa の情報が中心です。
1
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

現在の福島市の水を毎日2リットル飲み続けると、720Bq(ベクレル)の内部被ばくを受けることになります。これは、先ほどのカリウムによる日常的な内部被ばく(6,000Bq [ベクレル])の8分の1以下です。

2011-03-19 15:02:59
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

もちろん、取り込まれ方や崩壊の仕方はカリウムとヨウ素で異なるので、正確な比較ではありませんが、今観測されている放射性物質の影響をこのように見積もることができます。

2011-03-19 15:03:19
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

食品についての放射能の測定が始まっており、牛乳などから、わずかな放射能が検出されたと報じられています。しかし、「牛乳問題」は“期間限定”です。そもそも、なぜ、牛乳が問題になるか、順に解説していきます。

2011-03-19 17:09:35
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

史上最大の放射事故であるチェルノブイの原発事故では、白血病など、多くのがんが増えるのではないかと危惧されましたが、実際に増加が報告されたのは、小児の甲状腺がんだけでした。なお、米国のスリーマイル島の事故では、がんの増加は報告されていません。

2011-03-19 17:10:27
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

放射性ヨウ素は、甲状腺に取り込まれます。これは、甲状腺が、甲状腺ホルモンを作るための材料がヨウ素だからです。なお、普通のヨウ素も放射性ヨウ素も、人体にとっては全く区別はつきません。物質の性質は、放射線性であろうとなかろうと同じだからです。

2011-03-19 17:10:58
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ヨウ素は、人体には必要な元素ですが、日本人には欠乏はまず見られません。海藻にたっぷり含まれているからです。逆に、大陸の中央部に住む人では、ヨウ素が足りたいため、「甲状腺機能低下症」など、ヨウ素欠乏症が少なくありません。

2011-03-19 17:11:33
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

チェルノブイリ周囲も、食べ物にヨウ素が少ない土地柄です。こうした環境で、突然、原発事故によって、ヨウ素(ただし、放射性ヨウ素)が出現したので、放射性ヨウ素が、住民の甲状腺に取り込まれることになりました。

2011-03-19 17:12:26
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ヨウ素(I2)は水に溶けやすい分子です。原発事故で大気中に散布されたヨウ素は、雨に溶けて地中にしみ込みます。これを牧草地の草が吸い取り、牛がそれを食べるという食物連鎖で、放射性ヨウ素が濃縮されていったのです。野菜より牛乳が問題なのです。

2011-03-19 17:12:40
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

結果的に、牛乳を飲んだ住民の甲状腺に放射性ヨウ素が集まりました。放射性ヨウ素が出す“ベータ線”は、高速の電子で、X線やガンマ線とちがって、質量があるため、物とぶつかるとすぐ止まってしまいます。

2011-03-19 17:12:51
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

放射性ヨウ素(I-131)の場合、放射されるベータ線は、2ミリくらいで止まってしまいますから、甲状腺が“選択的”に照射されるわけです。放射性ヨウ素(I-131)を飲む「放射性ヨウ素内用療法」は、結果的には“ピンポイント照射”の一種だと言えます。

2011-03-19 17:13:02
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

子供たちは、大人よりミルクを飲みますし、放射線による発がんが起こりやすい傾向があるため、小児の甲状腺がんがチェルノブイリで増えたのでしょう。ただし、I-131の半減期は約8日です。長期間、放射性ヨウ素を含む牛乳のことを心配する必要はありません。

2011-03-19 17:13:16
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

I-131は、ベータ線を出しながら、“キセノン”に変わっていきます。(ベータ崩壊)8日が半減期ですから、I-131の量は8日で半分、1ヶ月で1/16と減っていきます。3ヶ月もすると、ほぼゼロになってしまいますから、「牛乳問題」も“期間限定”です。

2011-03-19 17:13:40
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

毎日新聞の「Dr.中川のがんから死生をみつめる」に今回の原発事故の放射線の影響の解説が掲載されました。onlineで閲覧できます。「放射線被害、(住民にとって)現状は皆無」 http://t.co/QVtc7pZ #housyasen #genpatu

2011-03-20 12:45:41
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

福島第一原発の冷却システムの復旧が視野に入ってきました。いまだ、予断を許しませんが、仮にこのまま、新たな放射性物質の放出が減っていくとすると、これまでに飛散した放射性物質のなかで、“セシウム(Cs)“が問題となるはずです。

2011-03-20 15:16:44
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

飛散した放射性物質のうち、最も多いのが、放射性ヨウ素(I-131)で、次が、放射性セシウムです。ただ、I-131は8日毎に半分になっていきますから、3ヶ月もすれば、ほぼゼロレベルになりますが、放射性セシウムの半減期はもっと長いので問題になります。

2011-03-20 15:23:58
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

福島市の水道水のなかに、2種類の放射性セシウム、Cs-134, Cs-137が検出されています。Cs-134の半減期は約2年、Cs-137では約30年です。とくに、Cs-137は土の中などに長い間存在して、放射線を出し続けるので注意が必要です。ただし、その量は極めて微量です。

2011-03-20 15:43:44
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ちなみに、放射性セシウムの半減期が30年といっても、排尿や代謝によって体外に放出されます。その結果、人体に影響を及ぼす、実効的な半減期は100日程度といっていいのです。#housyasen #sesium

2011-03-20 15:54:24
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

ちなみに、放射性セシウムの半減期が30年といっても、排尿や代謝によって体外に放出されます。その結果、人体に影響を及ぼす、実効的な半減期は100日程度といっていいのです。#housyasen #cesium

2011-03-20 15:57:01
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

では、昨日の続きです。放射性ヨウ素(I)やセシウム(Cs)による内部被ばくによって、具体的にどの程度の健康被害が起きるのでしょうか。内部被ばくについて考える前に、「放射能(Bq:ベクレル)」と「被ばく量(Sv:シーベルト)」の違いについて見てみましょう。

2011-03-21 11:13:07
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

Bq(ベクレル)というのは、一秒間あたりの放射性物質の崩壊数を表します。いわば「放射能」のことです。「崩壊」を理解するには、Cs-137を例に早野先生が作成くださった図を参照ください:@hayano http://bit.ly/gYdQ8s

2011-03-21 11:13:16
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

例えば、放射線物質であるCs-137(セシウム137)は、安定なCs-133に比べて中性子の数が多過ぎ、一個の中性子が陽子に変わります。これをベータ崩壊と言います。 @hayano http://bit.ly/gYdQ8s参照。 Cs-134(セシウム134)も同様です。

2011-03-21 11:13:24
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

崩壊した時に出てくるベータ線やガンマ線(放射線)が、人体にダメージを与えます。そのダメージを「被ばく量(Sv:シーベルト)」で表しています。「放射能(Bq:ベクレル)」と「被ばく量(Sv:シーベルト)」は密接な関係にあります。放射能が増えると被ばく量も当然増えます。

2011-03-21 11:13:31
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

食物に含まれる「放射能(Bq:ベクレル)」が、それを摂取する私たちにどれだけ「被ばく量(Sv:シーベルト)」を与えるかは、放射性物質の種類、取り込み方(吸引か経口か)、私たちの年齢などによって変わります。これらを考慮すれば「放射能(Bq)」から「被ばく量(Sv)」に変換できます。

2011-03-21 11:13:41
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

では、まずCs(セシウム)を見てみましょう。Cs-134(セシウム134)は、3月16日8時に福島市で水道水中に1kgあたり25Bq(ベクレル)観測されました。それ以降は観測されていません。

2011-03-21 11:13:49
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa

被ばく量に変換するためのCs-134(セシウム134)の「変換係数」は、大人で0.019μSv/Bqです。つまり、1Bq(ベクレル)で、0.019μSv(マイクロシーベルト)の被ばく量であると計算できます。この「変換係数」は、私たちの年齢などによって変わります。

2011-03-21 11:13:56