【アイドル・ポリス26】#6

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ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

……「これでシホ=サンが仕掛けた爆弾が作動すると同時に、街中で緊急警報が流れてマッポ・ネットを撹乱できる。もちろんハイデッカーのネットワークもハッキング済み」「爆発による被害は?」「建物はほとんど土地転がしだから無人。爆発も最小限だし…」「そう、アリガト」「これが特別通信機ね」

2017-08-04 20:10:08
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

シホとアンナは計画の最終確認をしていた。今夜、シホはハイデッカー長官を暗殺する。その為の障害を排除することがアンナのせめてもの助力だった。「いい?計画を実行したらすぐに潜るのよ。あいつらを甘く見てはダメ。ツテはあるの?」「ダイジョブ。マッポにも頼れる人はいるから。でも…」

2017-08-04 20:15:03
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

アンナは不安そうにシホを見た。日に日に冷たいアトモスフィアに満ちる友人を。マッポの自分ですら嗅ぎ慣れぬそれは二人を隔てる壁を否応にも意識させた。「でも…シホ=サンはどうするの…?」シホは言いよどんだ。「私は…」「帰って…きてくれるよね…?」「…ええ。ユウジョウ」「…ユウジョウ」

2017-08-04 20:20:17
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

シホとアンナは固く手を握り合った。そしてシホは毅然と踵を返し闇へ消えて行った。アンナは見送り、やがてデスクに着いて鍵の掛かった引出しを開ける。中にはハッキングツールと『国家機密』のメンバー達と撮った写真。「…ミズキ=サン、始めるよ」『ヨロコンデー。MKBシステム、起動。ごー』

2017-08-04 20:25:06
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

……クレシェンドブルーはシホが経験した僅かなイクサの中で、その何よりも速かった。それは銃弾を躱し、否、銃口が向くよりも早く避け、まるでこちらの思考を覗いているが如く駆け抜けた。「チィーッ…」シホは射撃を諦め、カラテで迎え討つべく構え直した。まずは鋭い警棒突きをワン・インチで躱す。

2017-08-04 20:30:17
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「イヤーッ!」「イヤーッ!」返す手で振り抜かれた一撃をブリッジ回避!ストンピングを更にバック転で回避!即座に間合いを詰めたクレシェンドブルーの横薙ぎの打撃を拳銃でガード!「イヤーッ!」BLAM!BLAM!至近距離から連続射撃!「イヤーッ!」シズカはブリッジ回避!タタミ三枚の距離!

2017-08-04 20:35:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

(((見える…!あの恐るべきワザマエが…)))ルーントリガーはシズカの警棒を避け射撃の反動で繰り出した回し蹴りをガードされながら、そのことに気が付いた。かつて為す術なく致命傷を負わせれたシズカのカラテに、シホのアイドルソウルが順応し始めた。そう、今は彼女もアイドルなのだ。

2017-08-04 20:40:10
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!二つの銃口が火を噴く!クレシェンドブルーは警棒を閃かせ全ての弾丸を叩き落とした!ワザマエ!ルーントリガーが引き金を引く間に流星の如く駆ける!ハヤイ!だがシホの射撃は空振りではない。射撃反動でシホの体が回転し、ジゴクめいた蹴りが襲い掛かる!

2017-08-04 20:45:12
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「イヤーッ!」勢いの乗った反動カラテを叩き込む!「ンアーッ!」クレシェンドブルーの腹部に蹴りが刺さる!「この…イヤーッ!」カウンターめいた警棒が抱え込まれたルーントリガーの膝に痛打を打ち込む!ZZZT!「ンアーッ!…イヤーッ!」BLAM!BLAM!シズカは超至近距離銃弾を回避!

2017-08-04 20:50:10
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

ルーントリガーは辛くも反動カラテでホールドを脱する!足のダメージは重くはない。だが電撃がコンマ2秒体の自由を奪う!「イヤーッ!」「ンアーッ!」クレシェンドブルーの回し蹴りを受け、ルーントリガーはワイヤーアクションめいて吹き飛び壁に激突!即座に銃を構えるが照準がブレる!

2017-08-04 20:55:03
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

BLAM!弾は走るクレシェンドブルーのこめかみを逸れ向かいの壁の『未来飛行』のショドーを破壊!ルーントリガーはもう一度引き金を絞り歯噛みした。ナムサン、弾切れである。シズカが迫る。シホの主観時間が停滞する。アイドルアドレナリンの過剰作用だ。諦めるには早すぎる。シホは銃を手放した。

2017-08-04 21:00:13
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

ZZZT!握り締められたスタン警棒の電流がシホの左手を灼く!「ヌウウウーッ!」そして右手はスカートから銃を抜き放ち唖然とするシズカに突き付けた!BLAM!BLAM!BLAM!無慈悲なゼロ距離連射!「ンアーッ!」シズカは胸から煙を上げて吹き飛ぶ!ゴウランガ!何たる捨て身の一撃か!

2017-08-04 21:05:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「ハァーッ…ハァーッ…」傷んだ手に走る激痛に歯を食いしばって耐え、シホは荒く息を吐いた。壁に背を預け床に倒れたシズカを見た。目を閉じ口から血を流している。「……ハァーッ…」シホは震える手で銃を構えた。照準を倒れた怨敵に。復讐は果たされた。最後の銃弾は、彼女と己の為に。…BLAM!

2017-08-04 21:10:07
ニンジャヘッズの北沢志保bot @heads_shihobot

「……アバッ」シホは己の胸に穿たれた穴を見た。じわりと白いアイドル装束に赤い染みが広がり、血を吐いた。膝から力が失せ倒れ込むシホの視界の端でシズカが起き上がる。シズカはコートの袖から現れた拳銃と自室の壁に咲いた鮮血の華を見遣り、冷たく呟いた。「…だから銃は嫌いなのよ」

2017-08-04 21:15:03