Avalon（FGO音楽パロ）

アバヨ @s_cs74_

将来有望なピアニスト、と期待をかけられていたのだけれどあるときからピアノの前に座ると左手が動かなくなってしまって、それ以来演奏家としての道を止めて調律師として生きているマーリンと、彼の学生時代の音源をひょんなことで聴いて興味を惹かれ、その弾き手を探し始める作曲家ギルちゃんとか。

アバヨ @s_cs74_

バイオリンを嗜むのでは疑惑が舞台で出てきたんだけど、なんとなくピアノやってほしいなぁという妄想の果て……。とりあえず上辺の愛想はいいから「友達」はいるにはいるけど、基本的にシビア&ドライで深いところまで人を踏み込ませることはせずに女遊びも適当にやっていて、ある程度親しい人間からは

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まあ「ろくでなし」の称号を授かっていた学生時代なんでしょう。他人の感情にも特に無関心で、女との別れ際とかも心がないってのは罵倒の常套句だったりするんだけど、いざ楽器の前に座ると奏でる曲は多様な表情を見せる、情感の籠った演奏で、というある意味完全に音楽に才能全振したタイプ…。

アバヨ @s_cs74_

普通に卒業して普通にスポンサー見つけて普通に弾いてたんだけど、ある日急に左手が動かなくなってしまうのだ。怪我をしたわけでもないし、神経内科にもかかったけど特段異常は見つからず。日常生活では問題はなく、ただ鍵盤に置くと石のように硬直するので、トラウマだのストレスだの言われるんだけど

アバヨ @s_cs74_

本人にはまったく自覚も心当たりもなくて、すこし休めとか無理させてたなら申し訳ないとか周囲に労われても全然ぴんとこないんだよね。スポンサーからは引き留められるんだけど、どうにも手が動かないものだから、あっさり契約を切ってしまって、細々と調律の仕事を始める。

アバヨ @s_cs74_

このとき、学生の頃まあまあつるんでいた奴らが、商売始めるにあたっての準備やら何やらを手伝ってくれて、ああ人との繋がりって大事にしておくものなんだなぁ、とちょっぴり「友情」みたいなものを理解するような、そのレベルで鈍感なマーリンくんです。

アバヨ @s_cs74_

弾けなくなったことを、不思議と絶望したり悲しんだり、というところはなくて、むしろ周りが物凄く気を遣ってくるのをどう扱えばいいのかなぁって思ってるかんじで、あとそれなりに金をかけて大学に通わせて貰ったのに親には悪いことをしたな、くらいの念はある。

アバヨ @s_cs74_

祖父母が残してくれた古ぼけた一軒家にひとりで住んでいるんだけど、グランドピアノが一台だけ置かれた部屋があって、そこにはどんな客人も立ち入らせない。自分は弾けないから、もう弾かれることのないピアノなんだけど、毎日丁寧に磨かれたぴかぴかのピアノ。

アバヨ @s_cs74_

毎日朝起きて、顔を洗い歯を磨いて、祖母が生前趣味で作っていた温室に繁る季節の花たちに水をやってからコーヒーを飲んでトーストを食べる。仕事のある日は出掛けていくし、ない日は一日家でだらだらしたり、ピアノを磨いたり、ネットゲームをしたり、思いつきでピザを手作りし始めたりするマーリン。

アバヨ @s_cs74_

毎日を淡々と過ごしているある日、いまやプラハの寵児、クラシック界のプリンスと世間を騒がせている大学の同窓・アーサー君から久しぶりに電話が来るのだよな。曰く、「紹介したい人がいるんだけれど」と。 プラハ……。マーリンどこに住んでんだろ。全然考えてないですね。。。

アバヨ @s_cs74_

アーサーくんは何やってんだろうな。指揮者かな。ヴァイオリンも見てみたい気はするけど、やっぱり魂が王だし、なにかを統べる役職のが合ってるかな。いやでも楽器構えてるとこも見たいぞ。だがタクトを振る姿は確実にイケメン。無理です保留。

アバヨ @s_cs74_

そういやアーサーと行った合コンは大体アタリだったなとかしょうもないことを思い返しながら、「美人はいつでも大歓迎だよ」って軽く返したマーリンに、やけに可笑しげに「そりゃきれいなひとだ。そこは保証しよう」ってこたえるアーサー……。

アバヨ @s_cs74_

今度そちらに帰るから、食事でもしよう。そのときに引き合わせるよ。のひとことともに一方的に通話を切られ、相変わらずお忙しい王子様だねぇ、なんて苦笑しながらお花の水遣りを再開させるマーリンなのであった（ここでＣＭ入ります）

アバヨ @s_cs74_

約束の日、指定された店はそれなりに値の張るところで、まあクラシック界の寵児たる若き天才ともなればその辺の居酒屋ダイニングで気楽に、ともいかないのかねぇと、思いながら予約の時間に向かうのね。当然ドレスコードがあって、久々にクローゼットから正装を引っ張り出してきて。

アバヨ @s_cs74_

案内された先は個室で、ますます格式張っているというか、久方ぶりに会う友人と軽く食事、というよりは意中の女性にプロポーズでもするのかこの演出、ってくらい凝った内装の煌びやかなお部屋で、アーサーも随分出世したもんだとぼんやり感心してるマーリンなのだよ。

アバヨ @s_cs74_

お連れ様は到着が遅れるそうです、ってお店の方に言われて、ハア待ちます、って席につくんだけど、「お連れ様より、お待たせするのは申し訳ないとのことで、申し付かっております」って物凄い高級なワイン（知識がないので価値まではわからないけど、取り敢えず絶対にやばい）をグラスに注がれるマー。

アバヨ @s_cs74_

飲みながら待っていろ、ってことらしくて、まあ一方的に店も予約して勝手に遅れてきてってことはここの会計はアーサーがもってくれるんだろう、と的確だけれど楽観的で若干クズめいた思考を巡らせながら、遠慮なくお酒飲み始めるマーリンなのだよ。赤がいいね～赤～～

アバヨ @s_cs74_

う～ん全然価値まではわからないけど、とりあえずめちゃくちゃ美味しいってことだけはわかる……って思いながらワイン飲んでるところに、「宣材は詐欺か。ここまで恍けた顔ではなかったと思ったが……」って低い男のこえが割り込んでくるんだろう。

アバヨ @s_cs74_

かおをあげたマーリンの最初の印象は、「ワイン」なんだよ。持っているグラスに注がれた重厚で品のある赤と、同じ色をした深い瞳が印象に焼き付くんだ。 シャンデリアの炎の灯りに照らされた髪はきらきらと光る金色で、眩いように思えて目を細めると、男は微かにわらってみせる。

アバヨ @s_cs74_

「えっと、……部屋間違えてません？」ってくび傾げるマーリン（座ったまま）と、脱いだジャケットを店員に預けながら「アーサー・ペンドラゴンだろう」ってこたえる金髪の男。「この店の予約をした、貴様の大学の同窓生の名だ」って。

アバヨ @s_cs74_

「アーサーの知り合い？」って眉寄せるマーに、「そんなに警戒するな。『美人は大歓迎』ではなかったのか？ マーリン。我の面貌を不十分などとは言わせぬぞ」ってうすく笑うんでしょう。そんで、そのときになってようやく彼がアーサーの言っていた「紹介したい人」と気付くマー。

アバヨ @s_cs74_

「おっ、……男ぉ！？」って叫んだところでエンディングが始まり、次回予告で「あの人誰ださ！」「誰って、知らないのかマーリン？」みたいなマーとアーサーの会話が挟まって～提供～ってスポンサー企業のロゴがばんばん出て来る。 初回拡大版７５分の第一話は終わる ＃何を言っているんだわたしは

アバヨ @s_cs74_

翌週の冒頭には１話ダイジェストと、マーリンのそれまでを説明するナレーション（たぶんアーサーの声である）（つまり同じこえである）が流れたりするんだろうな、と本格的に脳内でドラマで組まれてきたことをいますごい半笑いしながら壁打ちしています。

アバヨ @s_cs74_

アーサーからは「道が渋滞してて到着遅くなるごめん～（猫の絵文字）」っていうゆるいメールが入ってて、いきなりふたりきりにされるマーリンなのであった……。ギルガメッシュ、と名乗ったその男は特に気にした様子もなく優雅にワインリストを眺めている……。

アバヨ @s_cs74_

どうしたらいいんだ僕は最近は特にコミュ障が加速している引き籠りなんだぞ……って思いながら逃げるように酒を飲むマーリンに「気に入ったようだな」ってさらっと声掛けるギルちゃん。えっ、とかおあげるマーリン。待ってこの酒アーサーが言伝で寄越してくれたわけじゃなくてまさかこのひとが、、、と