【ロールプレイ】ジュニパーVSアルテン

へなちょこさん:ジュニパー(暗殺者) とらにが:アルテン(騎士)
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ジュニパー @as_Juniper

騎士の魔力に呼応し、光が浮かぶなら、素早く左目を閉じる。 ……明るさに目が慣れたところで光を消されれば、夜目に戻るまで隙ができる。魔法を使った目眩しの常套手段に対しての、無意識的な反射行動だ。

2017-09-07 19:15:31
ジュニパー @as_Juniper

剣を取れと、男は言ったか。 敵が魔法を使う以上、どこまで距離を取ろうとそこは敵の間合いとなる。 敵の間合いで悠々とモノを拾うために首を垂れる選択肢があるはずもなく、暗殺者は、懐より取り出したる黒塗りの鎖を、ゆるりと構えた。 暗殺者の耳に騎士道。

2017-09-07 19:15:38
アルテン @arutenWM

鎖に対し、警戒の様子を見せた。 「君は、武器が多彩だな。よく鍛えている  私は、光魔法と剣技が少しだ」 剣を構えたまま、光魔力を溜める。そして、振り上げた。ええいと声を奮い、光の刃が剣筋に出現する。 光刃は上方に伸びながら、前方暗殺者に直進した。

2017-09-07 21:48:38
アルテン @arutenWM

聞いておくべきと判断した。 「私はアルテン。ナタリシャ族で、民政支部長官の騎士  私もじき死ぬだろう。これはよく練られた『良い毒』だ。だから、私を討った暗殺者、君の名を知りたい」 光刃の向こう、騎士の口は孤を描く。死闘への期待を込めて。 光刃は、暗殺者を切ろうと迫っていた。

2017-09-07 21:51:50
ジュニパー @as_Juniper

「……ジュニパー」 そう、騎士アルテンの望む答えを返し。 ジュイン!!バチィ! 光の刃に、黒塗りの鎖を絡めて、捉えれば、魔力と魔力のぶつかり合う不協和音が夜に響く。 刃は、暗殺者ジュニパーの後方へ受け流され。 鎖は、刃に触れた部分の『黒』が溶けたように、鉄色が露出している。

2017-09-08 12:16:36
ジュニパー @as_Juniper

名を問われ、偽りなく答えたのは、対峙する敵の言葉に、偽りがなかったから。 ──即ち、鮮やかな琥珀蛙と毒蝶華を精製し、復活の奇跡すら拒む呪を施したその毒を受けた人間が、無事に生き長らえることなど、万に1つも不可能。巨象さえ、全身の筋を痙攣させながら数分で息絶える代物なのだ。

2017-09-08 12:16:47
ジュニパー @as_Juniper

「お褒めに預かり光栄だ。この毒は、わたしのオリジナルのレシピさ」 フードの下で、薄い唇を綻ばせ、黒猫は嗤う。 二本の指で、鉄色の露出した鎖をなぞれば、墨のように流動する闇が、鎖を再び黒に染める。 「──シィッ!」 闇を纏う鎖は蛇のようにしなり、騎士の踏み出した足を狙う。

2017-09-08 12:16:53
アルテン @arutenWM

毒蝶華。たぶんそれを精製し、何かと混ぜたものだ。だから、血管の内側から、針山が全身を刺し続ける痛みがある。 「知ったレシピなら、解毒が間に合ったが。これは推察できぬ  これで狩りをすれば、獣は苦しむ間もなかったはず  ナタリシャに生まれれば、大成していたぞ、君は」 迫る、鎖。

2017-09-08 13:25:24
アルテン @arutenWM

迫る鎖。すね当て部分の白銀を弾き飛ばす事で、それを弾き、ざっと暗殺者へ駈け出す。 「私は、命を捨てた。君は何を捨てられる。命か、誇りか。もしや、何も失わずに勝つつもりか?」 駈けざま、回し蹴りを煉瓦の壁に掛けて、鈍器片を飛ばす。 それを、走りながら三回。 三発の、煉瓦弾。

2017-09-08 13:26:25
ジュニパー @as_Juniper

「くっ……!」 無茶苦茶な戦いをするものだ。 否。死闘とは、こういうものだ。 左へ跳躍。すべての瓦礫は避けられない。大きなものはしなる鎖で弾き、小さなものは……そのまま受ける。頬と、それから額に1つずつ、裂傷を負う。瞬きはしない。

2017-09-08 14:00:46
ジュニパー @as_Juniper

「命など、誇りなど、暗殺者としてこの地獄に生きることを選んだその時に」 右目を狙い、鎖を放つ。 「とうに無くした」 鎖の陰に隠れるように、同時に放つ、二本の投げ針。鎖を避けるために首を逸らすであろう、その左右の軌道へと、隠し針は撃ち込まれる。 「わたしは勝って、得るのみ」

2017-09-08 14:01:02
アルテン @arutenWM

「くっ……!」 飛来する、鎖。剣の腹で受ける手は、剣ごと持っていかれる危険もあった。 ならばと、剣技を振るう。 「光の車輪!」 その場で、剣の先端より魔力を放出し、推進力にする。そして、勢い良く回転斬りを敢行。 結果、鎖を弾いて、隠し針を両脇腹に受けた。

2017-09-08 20:49:06
アルテン @arutenWM

引きつったように、笑いかける。 「地獄で息をする、君に……敬意を表そう。強いな、君は」 左手を伸ばす。 その紫の、毒に侵されきった、死に体の手で鎖を掴んだ。 弾いたばかりの、それを。 「闇の苦しみは分からない。ただ、私に戦士としての死に場所をくれて、ありがとう」

2017-09-08 20:55:41
アルテン @arutenWM

ぐっと、鎖を引き寄せる。 その先の暗殺者を、引っ張るように。 「君の、君の?」 意識が朦朧としてきた。 「ああ、、だが」 忘れることはない。 「王に届かせはしない。それが、私の意地……ッ!」 鎖に寄せた先で、傷を与えるために剣柄を脇に抱え、切っ先を突き向けた。

2017-09-08 21:03:28
ジュニパー @as_Juniper

光と闇。激しく交わる。 鎖は剣に弾かれ、闇は閃光の前に溶けて消える。 圧倒的な魔力密度の差。 純粋な力量と素質の差。 しかし、黒猫は勝利を確信する。 愚かなまでに誠実で、嗤えるほどに実直な剣。 引くことも、避けることもしない蛮勇が、二本の針をその身に招き入れた。

2017-09-08 22:00:12
ジュニパー @as_Juniper

これだけ動いたのだ。そろそろ、琥珀蛙の毒が全身を蝕む頃だろう。 琥珀蛙の毒は、血を壊す。流れ出す血は止まることを忘れ、傷を負えば負うだけ、死が近づくのだ。 ──これ以上の交戦は、無意味。 判断し、弾かれた鎖を引き戻そうと手首を返した、その刹那。

2017-09-08 22:00:24
ジュニパー @as_Juniper

ぐんっ! 「──……ッ!!」 細く、しなやかな、黒猫の体躯は、軽々と地面から引き剥がされ。 自分に何が起きたのかを理解した時、彼女は同時に、自分の判断が誤りであったことを理解した。

2017-09-08 22:00:37
ジュニパー @as_Juniper

それはまるで、想い合う男女の抱擁にも似ているだろうか。 娘は、強く引き寄せられたままに、鎧に包まれた男の胸に、縋るように顔を伏していた。 腹から背までを貫くような、熱を感じた。 否、娘を腹から背へと貫いているのは、白銀の刃である。 睦言の代わりに唇から溢れるのは、鮮やかな赫。

2017-09-08 22:00:44
ジュニパー @as_Juniper

「……ッ、は……ゴポッ」 震える指で、口元のフードを下ろす。 赫い唇で、黒猫は嗤う。

2017-09-08 22:05:16
アルテン @arutenWM

うまく刺さった。けれども。 「父上、兄上。すみません  私はここまでのようです」 他界した二人へ謝罪する そして、暗殺者へ 「ジュニ、パー!」 紫の左手で抱き寄せ、首を折りかけたが、力が入らない。 そのため、頭突く。二度、三度と。 当たったかは、定かでない。感覚がないのだ

2017-09-10 09:09:40
アルテン @arutenWM

「なぁ」 左手で空を掴む。 「君に、提案なんだが」 血が、止まらない。血管を裏返す針山の痛みすら、感じなくなった。 「再び生を受けるなら、ナタリシャに生まれればいい。獣を狩って、薬を売って、まあ色々だ  皆で、歓迎するぞ」 微笑みかけて、前掛かりに崩れ落ちた。

2017-09-10 09:20:47
ジュニパー @as_Juniper

首にかけられた手に力は無く、二度三度と繰り出される頭突きに狙いは定まらない。 毒に侵された身体をおしてそのような無意味な真似をしなくても、わたしは十分に致命的な傷を受けているのに、と、霞みゆく頭で、そう思う。 ──獲物を、苦しめないための狩人の所業だろうか。

2017-09-10 10:16:27
ジュニパー @as_Juniper

──ドシャ。 白銀の騎士と、黒衣の暗殺者。 折り重なるように、その場へ崩れる。 ──……パリッ 始めと同じ、『急激に変化する細胞の摩擦』による、小さな雷の筋が光る。 ジュニパーの身体は、若い黒猫へと、その形を戻す。 ズルリ、ヨロリ、男の下から抜け出して、そして、地に伏す。

2017-09-10 10:16:35
ジュニパー @as_Juniper

「…………。」 黒猫は、自らが屠り、自らを屠った男の隣で、赫い眼を閉じる。 ……考えて、おくよ。 人語の話せぬ猫の口で、音に乗せずに呟いて。 黒猫はもう、嗤わない。

2017-09-10 10:16:59