フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 #24「妖の包囲網③」

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「フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 #23 「妖の包囲網②」」をトゥギャりました。 togetter.com/li/1149376

2017-09-10 22:27:18
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フォビドゥンフォレスト5話「選ばれし者、選ぶべき者」 #23 「妖の包囲網③」

2017-09-14 01:32:14
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恵里の報告の直後、東の山小屋はユキイノシシの群れおよそ十数匹を発見していた。昼間、トレイン班が遭遇した妖怪だ。B級妖怪の枠に収まらない程の突進力は凄まじいが、動きは直線的で御しやすい。ただし、動かせない拠点を守る戦いでは一気に危険度が上がる。 1

2017-09-14 01:35:09
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西から迫るのはシダレオオカミ。こちらも十数匹。襤褸切れの束を無数に集めて狼の形にしたような奇妙な姿で、目は虚ろの穴の奥に青い鬼火状のものがある。一匹ごとの総合力こそイノシシに劣るが、知能が高く集団で連携を行う為、群れとしての脅威度は高く、下手なS級妖怪よりも恐ろしい。 2

2017-09-14 01:45:08
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東西の山小屋は迎撃を行ったが、猪二匹と狼一匹を仕留め、他数匹を負傷させるだけに留まった。オトロシ以外への警戒は続けてはいたが、やはり注意の殆どを空へ向けすぎていたのは否めなかった。残る南の山小屋では、妖怪たちの動静を司令室はモニター、二階や窓際では肉眼で注視していた。 3

2017-09-14 01:47:40
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ほぼ同じタイミングで発見された両集団であるが、猪のほうが進みが速い。間もなく除雪された通路に入る。そこから数秒あれば広場の砦に到着する。狼達はそれに二十秒は遅れるだろう。この差は両者の最大速度の差もあるが、狼達のほうが慎重なせいでもある。明らかに加減して走っている。 4

2017-09-14 01:52:36
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恐らく、罠を警戒して猪を斥候代わりにするつもりなのだ。通る道は東と西で違えど、罠があるとしてその量は同程度だろうと考えるのはおかしくはない。そして実際に東西で同程度仕掛けてある。 「なるほどな…なら」 そう言った様子を見て取った雷牙は現場に指示を伝えた。 5

2017-09-14 01:55:47
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除雪された道に侵入したイノシシ達は東の櫓付近へと迫る。 高さ・距離共に道から二十メートル離れた櫓の上には四人。空を警戒する見張り役を除いた三名がライフルを構えているが、まだ撃たない。 6

2017-09-14 01:59:42
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イノシシたちが櫓の前を通過していく。 まだ撃たない。 イノシシたちが櫓の前を走り去った。 まだ撃たない。 7

2017-09-14 02:02:50
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このままではほんの数秒で中央に着いてしまう。若い隊員が焦れるのを年長者が無言で制する。イノシシたちは通路の七割を走破した。広場側の隊員が身構えるのが遠目にも分かった。その時、西側のオオカミたちの走る速度が上がった。西の通路に侵入する。 『よし、今だ!』 雷牙が合図を飛ばす。 8

2017-09-14 02:05:44
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「撃てーっ!」 櫓からの一斉射撃がイノシシ集団の背後を襲う!発砲音と痛みに驚いたイノシシは慌てて前に加速する。そのまま広場に雪崩込むかと思われたのと同時、進む先の雪壁が爆音と共に両側から崩れる。予め通路の壁の数カ所に仕掛けられた発破によるものだ。 9

2017-09-14 02:08:55
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イノシシたちは突進力こそあるが急には止まれない。先頭集団は前と左右からの雪崩に埋もれる。高さ二メートルの雪壁の表面だけが崩れたのではない。発破は通路を通る妖怪に気づかれないよう壁から数メートル奥に仕掛けてあった。その分雪の量も多い。人間なら圧死する程だ。 10

2017-09-14 02:13:27
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当然、イノシシたちの命を脅かすほどではないが、流石に先頭集団の数匹は完全に動きを止めた。彼らだけなら一分もあればこの場を脱して広場へ前進できただろうが、そこへ後続が次々と激突した。衝撃で雪がさらに崩れていく。そこへ櫓からの追撃と崩れた雪を隔てた広場からの攻撃が降り注ぐ。 11

2017-09-14 02:19:26
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阿鼻叫喚の混乱の中、イノシシ達は逃げ惑い互いに激突し同士討ちを始めるものも出てきた。そこへ更に東の山小屋からは新たにイノシシ討伐の為の近~中距離戦部隊が出発していた。これで東は片付くだろうと思われた。 12

2017-09-14 02:21:35
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西側ではオオカミたちが通路に入って十メートル辺りで足を止めた。東の爆破を見たからだ。直後、彼らの背後で通路の発破が爆発する。咄嗟に前へ逃れる彼らを追って次々に爆発が雪壁を崩す。壁を越えるべく大跳躍を試みれば、予備動作の時点で櫓からの銃撃が頭上や足を掠めて妨害する。 13

2017-09-16 01:43:05
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止む無くオオカミたちは前へと走るが、行く手の広場側からも雪が崩れてくる。オオカミ達は長さ三十メートルほどの範囲に閉じ込められた。西の櫓の真正面だ。深い雪の上ではなく走りやすい通路を選んだのが彼らの仇となった。 「斉射!」 敵を捉えた櫓は一斉に発砲する。 14

2017-09-16 01:46:36
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俊敏なオオカミたちは跳び回って避ける。イノシシたちのように直接雪に埋めたいところだったが、彼らの身軽さなら至近で雪壁を崩しても、雪の塊を蹴って通路の上に飛び出す可能性があったからだ。オオカミたちは回避行動を続けながらも、弾幕の間隙を伺い続けていた。 15

2017-09-16 01:51:44
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そんなオオカミの一匹が、空中へ跳んだ仲間の背を蹴って更に高く跳んだ。弾を受けながらも雪壁を脱することに成功した。櫓を睨みつけ、蒸気のような唸り声を上げる。雪上に着地すると一瞬体が雪に沈み込む。同時に首が飛んだ。 16

2017-09-16 01:53:11
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首を斬り落とした桐葉はそのまま封鎖空間へと飛び込む。行き掛けに二匹目の脱出個体の首を落とす。後方には乗り捨てられたバイク型ブルーム。これで雪上から数センチ浮いた空中を走ってきた。半ば横転するように櫓側の雪に沈み込んだ。敵の櫓への直行を僅かながら妨害出来る位置だ。 17

2017-09-16 01:57:42
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「ふっ!」 双剣を順手と逆手で構え、回転しながら硬化する桐葉は不用意に近付いた二匹を瞬殺すると、両腕をゆっくりと開きながら硬い地面に着地した。一瞬の静寂。直後に跳び上がると、なんと弾幕地帯へと広場側から外側へと双剣回転で飛び込んだ! 18

2017-09-16 02:01:03
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オオカミ達を次々に斬り捨てる間は射撃がピタリと止み、桐葉が通り過ぎた瞬間に再開される。内側から外側、外側から内側。敵の半数以上を始末して二往復半したところで、弾幕が止まる。弾切れだ。火力を瞬間に集中するため、見張り以外の全員が撃ち続けていたので装填の間がなかったのだ。 19

2017-09-16 02:03:59
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オオカミの群れが外側にいる桐葉を半円状に包囲する。今なら容易に壁の上へ逃れられるだろうが、この強敵に背を見せるほど彼らは愚かではない。じりじりと包囲を詰めていき…後方の数匹が広場側を振り返った。2台目のブルームが崩れた雪の上から降ってきた! 「お待たせ!」 幸川だ! 20

2017-09-16 02:13:43
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迎撃戦と向かってきた三匹に対し、幸川はブルームを地面にふわりと着地させるや120度左へ回転、顔面を狙って雪の礫を見舞った。シダレオオカミの視力は光の強弱を感じる程度だが、目元を塞がれては流石に怯む。そこをフェンシングめいた連続刺突で瞬時に殲滅する。 21

2017-09-16 02:22:06
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「ィィ---!」 熱した金属を水に投げ込んだような咆哮音を上げて、大型の個体が幸川を襲う。他の個体の体高は幸川の腰の高さほどだが、この大型は胸ほどまではある。戦闘力もA級クラスだろう。意趣返しのつもりなのかどうか、尻尾で雪を叩いて飛ばすが、幸川はすっと二歩下がって避ける。 22

2017-09-16 02:27:09