【呟き小話、保存箱】

「1日1話(できるだけ)」「1ツイート内完結」縛りのゆるーい目標で書いてます。 小説って書いてたけど、何か違うね?って事で小話に変えました。 先ずは目標1ヶ月「分」。≒30話
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鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小説.1】最近、独りでコーヒーを飲んでいたはずなのに、向かいに人が座っている時がある。その人は何も話さず居なくなるので誰かは分からない。ただ、小さい頃に飲んだ甘いコーヒーを飲むと、よく会う気がする。

2017-09-15 21:53:45
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小説.2】仕事場近くの駅で、いつの間にかホーム下の凹みの中に丸まって寝ていた事がある。夜勤明けだったと思うのだが、いつの間にそこにいたのか記憶があやふやだ。ただ、入口脇にいた見馴れない警備員2人に、凄まじい顔で睨まれていた事は覚えている。

2017-09-16 18:30:44
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小説.3】雨水を天に還す仕事をしているのだが、たまに降った量と還した量の釣り合いが取れない時がある。調べたら鯨が氷山に溜め込んでいて「100年程置いてからかき氷として食べると美味しい」というのが理由らしい。確かに美味かった。

2017-09-17 15:42:48
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小説.4】夜通し雨が降り続いた次の日の朝、いつの頃からか透明な魚の群れを庭で見かける。魚達は何か追っているらしく、きらきらと鱗を朝日に反射させながら忙しなく泳ぎ回っていた。朝もやが消える頃が巣に帰る頃合いらしい。いつも見えなくなっていた。

2017-09-18 22:14:14
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小説.5】湯船に浸かっている時に、ふと小さい頃にやっていた一人遊びを思い出し、笑ってしまった。昔の事なので鮮明には覚えていないが、それは湯船の中でするにらめっこの一種で、そのインパクトのある変顔に僕は一回も勝てなかったのだ。

2017-09-21 01:37:47
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小説.6】天に向かって伸びていく螺旋階段を見つけ、ちょっと天辺が気になったので、止せばいいのに登り始めた。ぐるぐるぐるぐるぐるぐる登る。ぐるぐるぐるぐる景色が変わり、そして、ようやく登り切ったそこは、地上と変わらないけれど少し違う風景が広がっていた。

2017-09-21 23:29:25
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小話.7】今日、久し振りに友人と会った。と言っても実は彼の顔を覚えてはいない。昔と変わらないその言動が私に彼を思い出させたのだ。「良いだろう」私を前にしても恐怖を感じていない彼に頷き、噛み砕こうとしていた彼の指を離した。

2017-09-24 12:22:33
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小話.8】カウンターに常に油揚げをひと切れ置いているお弁当屋さんが近所にある。ある時、そこで弁当を選んでいる時にサッと天気雨が通り過ぎ、そちらに気を取られていたら、いつの間にか油揚げが消えていて驚いていた事がある。店員のお姉さん曰く、お得意様らしい。

2017-09-26 20:09:23
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小話.9】面白半分で買ってみたものの、使う事もなく物入れに入っている毒を抜く器具。針の無い注射器の様な形をしたそれは、思いの外色んな毒を抜いてくれた。けど、満タンになったシリンダーを見て気付いた。中に溜まった毒を棄てる場所がない事に

2017-09-30 00:52:19
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小話.10】仕事先の一つに靴音が多めにするってトコがあってさ、この間そこに配属になったんだけど、確かに何か足音が多いの。で、試しにパン、パンパンって拍手してみたら、ちょっと間を置いてパパンって拍手が返ってきたんだよ。そう、ただの反響ってオチだったんだよ。

2017-09-30 20:24:16
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小話.11】空を飛ぶ夢を見た。気ままに風を切りながら町の上空を散歩する夢。ひとしきり散歩して、自分の部屋に戻ろうとしたら、窓には驚いた顔の自分がいた。なら自分は…

2017-10-02 17:38:38
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小話.12】歩いていたらぺちょんと何かが頭に落ちた気がした。触ってみたが何にも付いてなかったのでそのまま忘れていたのだが、後日、夕立に降られた後に、帽子を突き破って虹が生えてきた。シャワーだと生えなかったのに。

2017-10-04 14:27:57
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小話.13】息子の乳歯を屋根に投げた後、暫く息子がそこに向かって手を振っていた。見ると、幼い影がこちらに手を振っている。抜けた歯は甘えん坊な気持ち持っていってくれるのだと祖母が言っていたなと思い出しながら手を振り返すと、影は満足そうにふわりと消えていった。

2017-10-07 10:36:27
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小話.14】夜道を一人で歩いていると、対向車のライトが私を照らした。眩しくて顔を背けると、自分以外の影が1つ。隣を見ると、いつの間にか頭の上辺りに子供をあやす様な手付きで顔を隠す大きな影が。不意にその手が開いた時、悲鳴が2つ上がった。

2017-10-13 07:26:53
鹿目久憲(しか) @0sika0

【呟き小話.15】コンビニで買ったインスタントコーヒー。コップの裏に、当たりという字と一緒に住所が書かれた紙が入っていた。面白半分で向かってみると、少し寂れた喫茶店があり、そこで、コーヒー会社の創業者だと嘯く若いマスターが私を出迎えてくれた。

2017-10-15 07:04:33