「戦後沖縄の生殖をめぐるポリティクス」から考える出生力について

読みながら感想を呟いていくスタイル。末尾に感想付けてフィニッシュです。 他に読んだ本はこちら→ https://togetter.com/li/1144604
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波島想太 @ele_cat_namy

給料の大半がそれらに消えることになるが、それでも「自分の稼ぎを持つ」ことの重要性を痛感していた女性は仕事を手放そうとはしなかった。 1960年代までの沖縄には貧しい北部や離島から中学校を出たばかりの女子が住み込みで子守りとして雇われることがあった。

2017-10-05 10:22:02
波島想太 @ele_cat_namy

製造業が発達しなかった沖縄では女性が働く場所は米軍相手の飲食店やバー、資格を必要とする看護婦や教師がほとんどだった。若い女子が米軍関連の職に就くのは危険なので、資格も持たない女子は口減らしも兼ねて住み込みで働くことが重宝がられていた。雇用先で学校に通わせてもらうこともあった。

2017-10-05 10:26:07
波島想太 @ele_cat_namy

「糸満売り」に見る沖縄における人身売買について - Togetterまとめ togetter.com/li/1145658 ただ沖縄における奉公には人身売買的な側面もあった(沖縄に限らない話ではあるが)。その辺についてはこちらのまとめを参照。

2017-10-05 10:28:33
波島想太 @ele_cat_namy

ともあれ沖縄の夫は「自分の稼ぎは自分が好きに使っていい」と考えているのに、生活費をろくに入れることもなく「家事育児が大変なら仕事をやめろ」と平気で言う。そこにあるのは無関心であり、「みんなそうやってるから」という甘えである。沖縄の出生力転換は男性不在の中でもたらされた。

2017-10-05 10:35:57
波島想太 @ele_cat_namy

女性は家事育児と収入を得るための労働の両方を押し付けられ、それでも両親や姑舅、あるいは社会からの重圧にさらされてやむなく応じていたが、日本復帰やその後の男女同権運動、精神の近代化により子供を産むことへの圧力も動機も薄れた以上、経済的身体的無理をしてまで産む理由はなにもなくなった。

2017-10-05 10:41:31
波島想太 @ele_cat_namy

「子沢山の沖縄」というのは幻想でしかなく、ただ占領下で日本と切り離されていたために「少子化が内地より遅れているだけ」なのである。いまだに長男願望は強く「男が生まれるまで産む」という人もいなくはない、が、その圧力もやがて薄まり、しかしそれに代わる出産需要は出てきそうにない。

2017-10-05 11:06:39
波島想太 @ele_cat_namy

貧困(低賃金&保育補助の不足)による少子化は全国共通であるが、沖縄に特有の事情と言えば家父長制に基づく長男願望と、中絶が長らく非合法であり続けたというあたりが大きいだろうか。

2017-10-05 11:08:47
波島想太 @ele_cat_namy

少子化は国家としての問題であろうが、出産の負担は女性のものであり、家事育児も事実上ほとんどが女性の領分となっている。それを男性中心的な権力構造から産めよ殖やせよしかし家事育児は知らんという理屈はもはや通じないであろう。

2017-10-05 11:20:12
波島想太 @ele_cat_namy

「家事育児は伝統的に女性のものである」「女性は本能的に家事育児をするものである」などというのは詭弁に過ぎない。「男性が二人分稼ぐ専業主婦モデル」も、そんな待遇を出せる企業がまずないし、女性の自己実現的にも自分の稼ぎを持つことは権利として必要であろう。

2017-10-05 11:22:26
波島想太 @ele_cat_namy

出生率に関して、沖縄に「見習うもの」など何もない、という気持ちで、根本的に見直すべきではないかとは思うが、沖縄の過去と現状を真摯に見つめた本書の範疇を越えるのでここでは割愛する。

2017-10-05 11:30:08
波島想太 @ele_cat_namy

ということで本書は以上です。さすが専門書という感じで非常に重い一冊であった。6,500円もするわけで、こうした本を私のような素人でも読める環境というのはやはり図書館あってのものではないかという気はする。 togetter.com/li/1153446

2017-10-05 11:33:38
リンク booklog.jp electriccatさんのレビュー electriccatさんの澤田佳世『戦後沖縄の生殖をめぐるポリティクス: 米軍統治下の出生力転換と女たちの交渉』につい...
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