久しぶりのオフ。だけど外は雪…【錦戸亮】

0
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【1】 雪が降るたびに思い出す景色がある。 色とりどりの光が溢れる街でショーウィンドウを見上げる大切だった人の姿。 いや、俺にとっては、今でも大切な人の姿。 何故、手離してしまったんだろう… 何故、引きとめなかったんだろう… どんなに悔やんでも、ここに彼女はいない…

2013-12-28 21:10:59
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【2】 「雪か…」 仕事もひと段落して、今日は久しぶりのオフ。 少しだけゆっくりとして、朝と言うには遅い時間に目が覚める。 窓の外を見ると、いつから降り出したのか、白い雪が舞っている。 それは、儚いように見えて、少しずつ、少しずつ、世界を白く染めていた。

2013-12-28 21:11:09
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【3】 どうしても出かけなければいけない用事を済ませるために外出する。 その帰りに、何となく街をぶらつく。 正直、雪の日は少しずつ苦手だ。 思い出さなくてもいい事を思い出してしまうから。 人込みの中で、いないはずの人を探してしまうから…

2013-12-28 21:11:13
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【4】 あかん…もう帰ろう… そう思った時に、ふと目を留めたショーウィンドウの前で佇む人。 一瞬、目を疑った。 幻を見たんかと思った。 そこには、思い出の中そのままの彼女が立っていた… あれから、確実に時は過ぎているのに、何も変わっていない姿で… 目が…離せない…

2013-12-28 21:11:21
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【5】 まるで夢から覚めたように、彼女の視線が動き出す。 何かを探すように、ゆっくりと周りを見回して、じっと見つめる俺の視線に気づくと、彼女の表情は驚きに変わる。 しばらく、そのまま見つめ合う俺たち… そして、俺は、まるで誘われるように、彼女へと近づいていった…

2013-12-28 21:11:30
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【6】 「久しぶり…やんな」 「うん…どうしたの?」 「ちょっと用があってん…○○は?」 「友達と会ってて…さっき別れたとこ」 「そうなんや…」 「…じゃ…」 「あ…」 思わず引き止める。 「え?」 引き止めて見たものの、どうしていいか分からずうつむく俺…

2013-12-28 21:11:36
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【7】 「亮…ちゃん?」 あの頃のように、俺を呼ぶ声。 それに後押しされるように、 「時間あるんやったら…少し付き合ってもらっていいかな…あの、時間あったらでええねん…けど…」 「…いいよ」 「ほら、せっかく会うたんやし…って、え?ほんまに?」 「うん…」

2013-12-28 21:11:42
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【8】 「あの…じゃ…えと…何処に行こうか」 自分で誘っておいて、どうしたらいいか分からなくて、頭の中をフル回転させる。 「良かったら…あそこに行きたい」 彼女が指さしたのは、お気に入りだったカフェで… そういえば、この辺りやったな…なんて今さら思い出す。

2013-12-28 21:11:49
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【9】 久しぶりに入った店で、彼女と向き合う。 あの頃と同じ店で、あの頃と同じものを頼んで。 でも、流れる空気は、あの頃と少しだけ違う… こうして向き合ってみても、何を話していいか分からない。 あの頃だって、彼女が話してくれたことに相づちしか打ってなかったから…

2013-12-28 21:11:55
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【10】 「いつも見てるよ。相変わらず頑張ってるんだね」 彼女が話し出す。 「あ…うん。おかげさまで、いろいろ仕事させてもらってる…まだまだ勉強せんないかん事ばかりやけど。そっちは?」 「特に変わったことないよ、あの頃と」 「…付き合ってる人…おんの?」

2013-12-28 21:12:02
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【11】 聞いてしまってから、シマッタって思った。 「あ、ゴメン。立ち入り過ぎやったな。ただ…気になって…俺がいう事じゃないけど…」 「…好きな人は、いるよ…」 「あ…そうなん…」 そうやな…そうやんな… 俺、何を期待してたんやろう… あれから、ずいぶん経ってんのに…

2013-12-28 21:12:08
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【12】 「気になる?」 「え…あ…うん…気になる、かな…やっぱり」 「亮ちゃんは?」 「え?」 「彼女は、いないの?」 「…おらへんよ」 「あ…いてもこんなとこじゃ言えないか、ゴメンね」 「本当におらへん…忘れられん人は、おるけど…」 「そう…」 会話が途切れる…

2013-12-28 21:12:32
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【13】 「あんな、俺…」 「え?」 「俺な…や、やっぱりやめとく」 「何?」 「たぶん、言わん方がええ…」 「どうして?」 「言うたら…」 「言ったら?」 俺はいいけど、彼女が困る。好きな人、おるんやし。 「…やっぱり止めとく。もう、そろそろ出ようか」

2013-12-28 21:12:42
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【14】 店を出ると、まだ雪が降っていた。 しばらく二人で歩いていたけど、 「もう、ここでいいよ。ありがとう」 「…」 「それじゃ…元気でね」 と、彼女が背を向けて歩き出す。 その後ろ姿を見ながら、本当にこのままでいいのかと、思った。 せっかく会えたのに…?

2013-12-28 21:12:49
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【15】 「○○!」 気が付いたら名前を叫んでた。 その声に振り返った彼女の目に浮かぶ涙。 その涙が、頬を滑り落ちていく… それを見た瞬間、俺は、駆け寄って抱きしめていた。 もしかしたら…? もしかすると…? 「俺な…忘れられん人がおる…ずっと、忘れられん人が」

2013-12-28 21:12:56
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【16】 「その人な…今、俺の腕の中におんねん…」 「…」 「今でも、大切な人なんや」 「…」 「でもな、その人、好きな人がおるんやて」 「…うん」 「俺…忘れた方がいいんかな…その人のこと」 「…忘れたいの?」 「忘れたくない…」 「じゃ…忘れなくて、いい…」

2013-12-28 21:13:02
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【17】 「好きな人…おるんやろ?」 「いる」 「それやったら…」 「その好きな人に、今、抱きしめてもらってる…」 「ホンマに?」 「うん…」 「忘れんでいい?」 「忘れないで…亮ちゃん」 「忘れんよ…ずっと忘れられんやったのに…ずっと後悔しとったんに」

2013-12-28 21:13:08
えいと@ぱられるわあるど @BRPOBYG_eighter

(´д`・)【18】 「亮ちゃん…私でいいの?」 「○○がええ。もう、離したくない…もう、あんな思いはしたくない…だから、ずっと隣におって…」 大切な人がこの腕の中に戻った日。 苦手だった雪の日が、最高の思い出となった日…

2013-12-28 21:13:15