俺の声

亮ちゃんのお話
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クラゲ @04kurage

【俺の声】① 『♪優しく街を銀色にして 心を躍らせた♪』 病室に飾ったクリスマスツリーを眺めながら歌う彼女 「その曲好きやなー」 『うん。大好き』 「東京ドームのコンサートで歌うし聴いてな?」 『…うん…』 「ほら、そんな顔せんの」 クシャッと頭を撫でると微笑んだ彼女

2014-12-07 08:03:06
クラゲ @04kurage

【俺の声】② トナカイの格好して 彼女が来れてるって信じて俺は彼女の好きな曲を歌った “錦戸さん!病院に!” コンサート終わりでマネージャーに言われて急いで病院に そこにはもう安らかに眠ってる彼女がいて 「なんでなん…」 「今日ほら、あの曲歌ったで?」

2014-12-07 08:03:21
クラゲ @04kurage

【俺の声】③ 「聴いてくれた?♪I with for snow…」 彼女が一緒に歌ってって言っても 「テレビでいっぱい聴けるやん」 って歌わなかった歌 初めて俺から歌ったのに 彼女からの返事もなくて 冷たくなった彼女の手を握っても もう握り返してくる事はない

2014-12-07 08:03:44
クラゲ @04kurage

【俺の声】④ 落ち込む俺の前でいつも通りに装ってくれたメンバー 有難い事に忙しくさせて貰ってた仕事 このまま忘れていける そう思ったけど 12月が来ると思い出すねん 『大きなクリスマスツリーを飾ってね美味しい唐揚げ作ってー』 「なんで唐揚げ?」 『亮ちゃん好きでしょ?』

2014-12-07 08:04:00
クラゲ @04kurage

【俺の声】⑤ 「好きやけど、そこフライドチキンやろ」 『食べれるの?』 「そこまで偏食ちゃうよー」 なんて笑ってた 知らんやろ 彼女と一緒に飾る為に 部屋に大きなツリー買った事 結局一度も飾る事なく捨てたけど 4年経つ今もまだ 街がクリスマスで賑わうと思い出すねん

2014-12-07 08:04:13
クラゲ @04kurage

【俺の声】⑥ 車から降りる 「あ、」 チラチラとまう雪 「亮ー!先行くでー!」 空を見上げると降りてくる雪に目を閉じる ほら雪やで あんなに彼女が待ち望んだ雪やけど 俺にはまだ切ないわ…

2014-12-07 08:06:49
クラゲ @04kurage

【俺の声】⑦ “俺、この歌好きだなー。♪空に願うよー雪をくださいって♪” 『○○音痴だよねー』 “うるさいなー。コンサート行きたいなー。あ、俺が行けなくても言って来て感想教えてよな!” 『え…う、うん…』 “約束な!” 『もしもし?うん。今終わった。え…』

2014-12-08 01:55:29
クラゲ @04kurage

【俺の声】⑧ “ねぇ!○○!ちゃんとコンサート行って来たんだよ?感想教えてって言ったじゃん!” 夢か… 目を開けると流れている涙 何度同じ夢を見る いつもそこで終わる夢 ずっと先にいる彼が 何かつぶやくのにわからない ねぇ…なんて言ったの?

2014-12-08 01:57:58
クラゲ @04kurage

【俺の声】⑨ もう4度目の冬が来た “優子ちゃん。今年もありがとうね” 『いえ…』 “優子ちゃん。そろそろこの子の事は… 『また来月来ますね』 毎月欠かさずお墓参りに向かう 4年前のあの日も寒かったな… 煙と共に空へと旅立つ彼を一人見上げていたら降ってきた雪

2014-12-08 02:01:15
クラゲ @04kurage

【俺の声】①⓪ 気づいたら 同じ様に空を見上げてる人がいて とても悲しそうな顔をして 一筋の涙を流した人 “優子ー?” 呼ばれて向かう途中振り向いたけど まだ空を見てて 無数に落ちる雪に何か話してるみたいだった 『あっ…』

2014-12-08 02:03:51
クラゲ @04kurage

【俺の声】①① 帰りの電車で窓の外を眺めていたら降り出した雪 ♪空に願うよ あの冬をもう一度…♪ 彼の好きだった歌を口ずさんでみる まだダメだよ 1フレーズだけで涙が出ちゃうよ… 私も好きだった歌 聞けなくなった歌 行けなくなったコンサート

2014-12-08 02:10:16
クラゲ @04kurage

【俺の声】①② 彼も好きだったから わかってる これじゃダメだって どうしたら前に進めるの? ねぇ…教えてよ… 『待って!行かないで!』 夢の中のあなたにいくら手を伸ばしても届かないんだ…

2014-12-08 02:13:09
クラゲ @04kurage

【俺の声】①③ “雪に関するエピソードと思い出の曲を教えてください” お店の閉店作業をしながらいつも流すラジオのトークテーマを読み上げるDJ そんな時にも思い出してしまう彼の顔 スマホを取り出して 言われたアドレスを打ち込む “はぁー…” と一息をつく

2014-12-08 23:39:41
クラゲ @04kurage

【俺の声】①④ カタカタと文字を打ち込んでいく 出来上がった文章を読み返して 送信ボタンの前で躊躇する 「あのー…」 突然話しかけられて驚いて押してしまったボタン 『あっ…』 「すみません。もう閉店?」 『あっはい…』 「ほな明日来るわ」 そう言って出て行った男の人

2014-12-08 23:42:46
クラゲ @04kurage

【俺の声】①⑤ どこかで見た事のある様な… でも少し涙で滲んだ視界では 顔がはっきりわからなかった お客さんだったのに… そんな事よりも送ってしまったメールに少し後悔する 読まれないよね そう思う事にして 閉店作業を再開した

2014-12-08 23:44:50
クラゲ @04kurage

【俺の声】①⑥ 仕事帰り 信号で止まった車の外で見つけた雑貨屋 飾られたクリスマスの飾りに惹かれて 「止めてくれん?」 ってマネージャーに告げる もう閉まってるか でも人がいるし スマホを眺めてる女の店員がいて 扉に手をかけると開いた 「あのー…」

2014-12-08 23:49:50
クラゲ @04kurage

【俺の声】①⑦ 声をかけると驚いた表情の彼女 少し涙ぐんでる気がして焦る 閉まってるみたいで諦めて店を出る 明日オフやしこればええわ 入り口のまだ何も飾られてないツリーを確認して外に出る 「ごめん。ありがとう」 再び走り出した車 オーディオから流れるラジオ

2014-12-08 23:52:02
クラゲ @04kurage

【俺の声】①⑧ “雪に関するエピソードと思い出の曲を教えてください” ふと浮かんだ彼女の顔 “RN Yさん。雪が大好きだった彼。降ってくる雪は手に受けると直ぐに溶けてしまうけど、たくさん降ったら溶けずに景色を真っ白にする。でも必ず溶ける。そしてきれいだった景色も忘れる…

2014-12-08 23:58:50
クラゲ @04kurage

【俺の声】①⑨ なんか儚いけど、深いから好きって言った彼。けれど病気になってしまい外に出る事すら出来なかった。でもいつでも明るく振舞ってました。そんな彼が「早く雪降らないかなー」なんて言って歌っていたのが関ジャニ∞の雪をくださいでした。私が好きだったので影響された彼

2014-12-09 00:05:28
クラゲ @04kurage

【俺の声】②⓪ コンサートに行きたいと言って、亡くなる前日にも歌っていた彼。今でも12月が来るとこの曲を歌う彼が目に浮かびます。というエピソードを教えてくれました。聞いていただきます。関ジャニ∞で雪をください” 俺はただただそのエピソードに聞き入った

2014-12-09 00:09:07
クラゲ @04kurage

【俺の声】②① 俺と同じような境遇な人が居るんや… それと同時に思い出したんは彼女が亡くなった日 火葬場で空を見上げてた女の人 顔はよく覚えてないけど 俺も空を見上げたら降って来た雪 「彼女と入れ違いで降らんでもええやんけ…」 そう言ったのを今でも覚えてる

2014-12-09 00:12:06
クラゲ @04kurage

【俺の声】②② 何であの雑貨屋に入ったんか 今でもよくわからへん 売ってるはずのツリーやのに全然飾られてない クリスマスのグッズはたくさんあるのに それだけがすごく目立ってた 俺の部屋に置いたあのツリーと被って見えて あれが飾る事が出来たら 俺も少し前に進める様な気がした

2014-12-09 00:16:21
クラゲ @04kurage

【俺の声】②③ 翌日昨日の店に向かった こじんまりとした店内には 昨日の店員さんが一人で居て 『いらっしゃいませ』 って出迎えてくれた いかにも女の子が好きそうな雑貨が並んでる あ、これ前に彼女が持ってたきがする 少し懐かしい気持ちになった

2014-12-10 00:18:40
クラゲ @04kurage

【俺の声】②④ 店員さんは小さな作業スペースで何かしてて 集中してる様子で 俺の事なんて見てない感じやった 俺はかけてたサングラスを外した あのツリーは昨日と同じ様に店の入り口のすぐ横に 緑のまま置いてあった 「あのー…」 少し離れた所から話しかけるけど気づかへん

2014-12-10 00:23:53
クラゲ @04kurage

【俺の声】②⑤ 作業スペースの前まで行って 「あのー…」 ってもう一度 『あ、すみません。あ、昨日の…』 「あそこのツリーは売り物?」 『え?あ、はい…』 「あれくれますか?」 『えっと…新しいのがあるのでそれを…』 そう言って奥に行った彼女を待つ

2014-12-10 00:27:40
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