俺の声

亮ちゃんのお話
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クラゲ @04kurage

【俺の声】②⑥ 作業スペースには手芸用品って言うのか ミシンに針と糸だけでなくて 物凄い数の糸や紐にリボンにボタン もうありとあらゆる物が置いてある棚 生地に皮まで綺麗に入ってる棚 小さく “オーダーメイドで世界に一つの物作ります” の文字 前にはその作品が並んでた

2014-12-10 00:31:53
クラゲ @04kurage

【俺の声】②⑦ 財布を手にとってみる 皮の質感といいサイズも開いた感じもしっくりくる 『お待たせしました』 「ありがとう。飾りも見て良いですか?」 『あ、どうぞ。こちらです』 「へー。これも手作り?」 『えっと…ここから、このまでがそうです』 粘土で作られた物を指す店員さんは

2014-12-10 00:34:39
クラゲ @04kurage

【俺の声】②⑧ カゴを渡してくれて気に入った物を入れていく 「あの、財布とかも作れるんですか?」 『えっと…はい。一応』 「長財布とかも?」 『できますけど…』 「俺も欲しいなって」 『えっと…あの、芸能人の方がもたれる様なものでは…』 「あ、気づいてたん?」

2014-12-10 00:38:37
クラゲ @04kurage

【俺の声】②⑨ 気づいてないんかと思ったけど 『昔好きで…』 昔か… 「あっこに置いてる皮で色もあの黒でええねんけど…」 『えっと…はい…わかりました。ちょっとだけお時間良いですか?』 スケッチブックに簡単にデザインして 修正していく 「この隅にRって黄色でええ?」

2014-12-10 00:41:51
クラゲ @04kurage

【俺の声】③⓪ 結構注文が入ってるみたいで時間はかかるみたいやった ツリーとかのお金を払って 作業状況とかまた要望があればと名刺の様なものを渡された 「あと、あれは飾らへんのですか?」 気になってたし入り口のツリーのことを聞いてみる 『えっと…変ですよね…』

2014-12-10 00:41:59
クラゲ @04kurage

【俺の声】③① “飾れなくて…” そうツリーを悲しそうに見つめながら呟いた彼女 何故かあの時火葬場で見た女性と重なって 昨日のラジオを思い出す 同じなのかもしれない 失礼かもしれないけどそう思った 「俺もです。ツリーがずっと見るのも辛かった…」

2014-12-10 00:42:16
クラゲ @04kurage

【俺の声】③② 『いらっしゃいませ』 って開いた扉から入って来たのは 4年前に見て以来の錦戸亮の姿 店内を見て回ってる事に驚いて 必死に作業してごまかす なんでここに? 昨日結局読まれたメールを思い出す 久しぶりに聴いた彼の好きだった歌

2014-12-11 01:32:17
クラゲ @04kurage

【俺の声】③③ 久しぶりに見た彼の好きだった人 “亮ちゃんってすごいよねー!あぁなりたい!” 『無理だよー』 思い出してしまう記憶 「あのーあれは売り物ですか?」 入り口の何も飾っていないツリーを指した ハロウィンが終わってすぐに置いたのに未だに飾れないツリー

2014-12-11 01:35:15
クラゲ @04kurage

【俺の声】③④ 奥に行って新しい物を持つ 落ち着け私 大丈夫 お客さんだよ 頬っぺたをパチンと叩いてから戻る 私の作った飾りも選んでくれた錦戸さん おまけに財布の注文も受けたけど とても錦戸さんが持つに相応しい物じゃなくて色々と言い訳をしてみる

2014-12-11 01:39:07
クラゲ @04kurage

【俺の声】③⑤ 年内は忙しいしいくらでも待つ って言われたれ受けるしかなくなった 「あれは飾らないんですか?」 って聞かれてしまった… もう12月に入って1週間経つのに どうしても飾れないツリー 何度か飾りを手に取っては置いた 『飾れなくて…』

2014-12-11 01:42:25
クラゲ @04kurage

【俺の声】③⑥ そう呟いたら 「俺もです。ツリーが見るのも辛かった」 なんて言った錦戸さん 「大切な人を亡くして。その子が冬が大好きで…大きなクリスマスツリーを飾るのがしたいことだって…でも結局叶わなかった…」 私が見た錦戸さんとは全く違う表情をしてる

2014-12-11 01:45:33
クラゲ @04kurage

【俺の声】③⑦ 悲しそうな まだ思い出になってない想い 私もそうで話を聞きながら泣いていた 「ありがとう。泣いてくれて。財布楽しみにしてます」 そう言って出て行った錦戸さん そろそろ私も前に進んでいいかな? ツリーの前に進んで触れてみた

2014-12-11 01:47:38
クラゲ @04kurage

【俺の声】③⑧ 俺のしがない話を聞きながら泣いてくれた彼女 『ツリー飾れたら見せてください』 って言われたけれど 結局飾れないまま もうすぐ彼女の命日か… そう思ったら買ったままのツリーから遠ざかる ドラマの撮影に年末の歌番組の準備 再開するツアーの準備

2014-12-12 06:05:26
クラゲ @04kurage

【俺の声】③⑨ そんな事を言い訳にしてた “頼んだ財布の生地が揃いました” って送られて来たメール 一つだけどこかに黄色の糸で“R”って縫って欲しいって追加でのリクエストも “わかりました” って二つ返事で返してくれた

2014-12-12 06:05:32
クラゲ @04kurage

【俺の声】④⓪ 彼女が俺の話で泣いてくれた理由はわからへん 知りたいけど 知ってええのかも でも最近部屋のツリーを見て 最後に必ず思い出すのは あの店の子やねん まだ捨てられへん彼女との写真を見て 想い出になるってこう言うことなんかなって懺悔の気持ちになる

2014-12-12 06:05:38
クラゲ @04kurage

【俺の声】④① でも “亮ちゃんもういいよ” って微笑んでくれてる様にも見えて 「俺、お前の事まだ好きやけど、このまま前に進んでもええ?」 そう言ってその写真を 小さい頃からの宝物を入れてる箱にそっとしまった 「今日帰りに寄って欲しいところあんねん」

2014-12-12 06:05:46
クラゲ @04kurage

【俺の声】④② 錦戸さんが店に来てから ニュースばかりを流してたテレビのチャンネルを変えてみた ちょうど錦戸さんがドラマに出てて みたら少し面白くて笑ってしまった でも二人でよくドラマやバラエティーを見て笑った事を思い出した 最後まで笑ってる人だったな…

2014-12-13 22:53:41
クラゲ @04kurage

【俺の声】④③ 元々は私が関ジャニ∞を好きで 一緒に音楽を聴いたりするようになった “俺もう完全男eighterだよな” なんて言ってコンサートだって張り切ってた その年も一緒にコンサートに行く予定たった それなのに彼が突然病気にかかって…

2014-12-13 22:53:47
クラゲ @04kurage

【俺の声】④④ “コンサート行きたいな” ってずっと言ってた彼 クリスマスに行くはずだったレストランがこの前閉店したんだよ “もう優子のクリスマスプレゼントは決めてあるんだ” って言ってたな 何をくれるのか楽しみにしてたのに… “これを渡すつもりだったのね”

2014-12-13 22:54:00
クラゲ @04kurage

【俺の声】④⑤ 彼のお母さんが見せてくれた遺品の中の指輪 “渡してあげたいけど次に進んで欲しいから” 結局一度も指に通る事なく 彼のお母さんの元にあって 指輪と一緒にくれるはずの言葉は何だったのか 彼しか知らない 4年も経つのにってきっと彼も呆れてるよね

2014-12-13 22:54:11
クラゲ @04kurage

【俺の声】④⑥ これじゃダメってようやく最近思える様になった それはきっと錦戸さんと出会えたから どんなに辛い事があっても お仕事している錦戸さんを見て 私もまだまだ頑張れるかもって思えた 錦戸さんが出てるドラマの主題歌のCDを見つけて買ってみたり

2014-12-13 22:54:21
クラゲ @04kurage

【俺の声】④⑦ 相変わらずな7人に笑って 私もやっぱりまだ好きだなって思った ツリーも遅くなったけど飾れて お店が少しだけ忙しくなった 錦戸さんのお財布は 生地を購入したときに連絡をしたら 刺繍をお願いされて 早く作りたいのに作れずに まだ型紙が仕上がったくらい

2014-12-13 22:54:28
クラゲ @04kurage

【俺の声】④⑧ 夜遅くまでお店に残る日も増えた "コンコン" ブラインドの半分しまった入り口の扉をノックする音 見ると下から覗いている錦戸さんがいた 「ごめん。もう終わってるのに」 『すみません。まだお財布何も出来てないんです…』 「今日はちゃうねん」

2014-12-13 22:54:33
クラゲ @04kurage

【俺の声】④⑨ ただ会いに来たなんて言えなくて 「えっと、もうすぐさドラマがクランクアップで、あのー生徒役の子達に何かできんかなって…あ、俺今ドラマやってるんやけどな」 『見ましたよ。面白かったです』 「ほんまに⁈ありがとう」 めっちゃ嬉しくて浮かれてしまう

2014-12-15 21:27:19
クラゲ @04kurage

【俺の声】⑤⓪ 『どんなのがいいですか?』 一緒に考えてくれて 結局無難なタオルハンカチになったけど 彼女のお店なだけあって手触りとか抜群やった 「このお店は長いん?」 一つずつ包んでくれてる時に聞いてみる 『5年位ですね』 「一人で?」 『えっと…』

2014-12-15 21:27:30