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りえぷぅ @riem124blue

1 結局は人のモン…。 最初からわかっとったこと。 そんでもなんか離れられへんかった。 女には不自由してへんし、カラダだけの関係でもえぇって女もいっぱいおるけど…なんでコイツやったんやろ…？ まー、でも、ホンマにもう潮時やな…。 知ってんねん…終わりにしたいて思っとること…。

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2 俺はえぇねん…おまえが言う前に、俺から別れたんねん…。 「はあっ…、ん…、すばる…もっと…、」 俺ので啼くんも、コレが最後やで…。 せやから、もっと…もっと俺ので感じて…、 そのカラダが俺を忘れられへんようになったらえぇねん…………………。

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3 わたしが彼と出会ったのは、３月だというのに雪の降る寒い夜だった。 友達に連れてこられたのは、店長がカッコイイとこの辺では有名なBAR。 そんなに広くはないがオシャレなお店。 小さなステージには楽器が置いてあって、好きに弾いていいらしい。

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4 その日は平日の夜で、お客さんはわたしたちの他に１組だけ。 男性３人と女性が１人。 そのうち男性２人がギターを弾いていた。 他の男性と女性はカウンターで、お話しながら時々ギター弾く２人を気にしていた。 わたしたちはカウンターの２人と反対側の端に座って飲むことにした。

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5 噂通りのカッコイイ店長が笑顔で迎えてくれた。 大倉「いらっしゃいませ～、初めて見る顔やなぁ♡何飲みますかぁ？」 適当に頼んで、店長の笑顔に夢中な友達を放っておいて、ふとギターの音がする方を見る。 心地いい音がしばらくして止む。 錦戸「すばるくん！弾いて！歌って！」

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6 ギターを置いてカウンターの２人に近付く彼は、なかなか酔ってるらしかった。 渋谷「ついて来たっただけで勘弁せぇよー。」 安田「俺も聴きたい！」 〇〇「部長、せっかく来たんだから、いいじゃないですか！」 錦戸「聴きたい聴きたい聴きたい！！」 渋谷「ぅっさいのぉ～…。」

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7 会社の上司と部下…って感じかな？ 部長さん…かなり若いようだけど。 結局３人に説得された部長さんが、渋々小さなステージでギターを持った。 そして、ギターを鳴らして歌い出した…。 その瞬間に、彼に全てを奪われた…。 乱暴なようで優しく扱うギターの音色。 何より、その歌声…。

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8 わたしはその瞬間に恋に落ちた…、んだと思う。 とにかく目が離せなくて、ずっと彼を見ていた。 錦戸「すばるくん！かっこえぇ！！」 彼らの拍手で一気に現実に戻された感じだった。 それくらい彼の世界に入り込んでたんだと思う。 錦戸「すばるくん！もう１曲！」

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9 渋谷「もー、勘弁せぇってぇ。ほら、もー、帰んで！」 錦戸「いややぁ！すばるくーん！」 渋谷「おまえ、もー、ベロっベロやないか！帰って寝ろ！」 錦戸「俺酔ってへんよ！」 渋谷「酔っとるわ！」 安田「部長のこと名前で呼んどるもんな？」 〇〇「あはは！酔ってる目安！」

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10 錦戸「え？すばるくんって呼んだらあかんの？」 渋谷「いや…それは別にえぇけど…。そのウルウルした目やめぇ。」 錦戸「俺、も１曲聴きたい！すばるくんの歌聴きたい！」 渋谷「いやいや、もー帰んで！！」 あー、わたしも聴きたかったなぁ…。 部長さん…お会計しちゃってる。

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11 大倉「ありがとうございましたー♡」 渋谷「ども…おい、帰るでぇ？」 錦戸「いややぁ、すばるくん…！」 安田「もー、亮、今日は帰ろ？部長、ごちそうさまです！」 〇〇「ごちそうさまでした！」 渋谷「おー…、あー…もぉ、先行くで？」 安田「はい、行って下さい！」

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12 部長さんが先にお店の出入口へ向かう。 その途中…「お騒がせしました…」小さな声で、わたしの横を通り過ぎた…。 ドキッとして、すぐ振り返ったけど、彼はもう入口の扉から出て行くところで…。 錦戸「俺まだ飲むよぉ！」 安田「もー、やめときってぇ。…今日何があってん？」

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13 錦戸「…なんもないよ…。」 〇〇「今日はさ、もー帰ろ？わたし、送ってくから。」 錦戸「えーよ…おまえ、家反対方向やんけ…。」 大倉「亮ちゃん、お水飲み？はい。」 なんか、仲がいいんだなー…。 羨ましい…。 安田「俺が送るやん、な？立って！」

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14 その後酔った彼は、女性と男性の肩に手を回してお店を出て行った。 お店にはわたしたちだけ残された。 大倉「ごめんなさいねー？うるさかったでしょ？」 友達がすぐに「いいえ！全然！」って答えた。 わたしは…部長さんにまた会いたいなぁ…なんて、それしか考えてなかった。

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15 それから、どうしても彼に会いたくて、あのお店に１人で行ったりした。 でも、全然会えなくて…。 部長さんを除いたあの３人には２度ほど遭遇できて、会社はこの近くなのかなって勝手に思ってた。 大倉「今日は声かけてみようかな？」 □□「えっ？」

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16 大倉「あんま話しかけてほしくなさそうやったから、遠慮しててん。」 □□「…あ、…すみません…///」 大倉「もしかして、あの人待ってはるんかなぁって思ってんねんけど…あの人あんまりここには来ぃひんから…それよりあの人らのお店に行った方が会える思うで？」

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17 □□「お店…、」 大倉「この近くの楽器屋さん…知ってる？」 □□「…あー…知ってる…かもです。」 大倉「今度行ってみたら？」 そう言って、大倉さんは優しく笑った。 なんか意外…思ってたより気遣いのできる人だったんだな…。 大倉「これ、良かったら飲んでみて？」

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18 □□「え？」 大倉「俺のオリジナルカクテル。いつも来てもらってるお礼♪」 □□「あ…ありがとうございます…。」 大倉さんは軽くウィンクして、他のお客さんのところへ…。 早速次の休日に思い当たる楽器屋さんを探す…確かこの辺…あ、あった！ 横村楽器店…。

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19 緊張しながら中へ入る…。 女性から「いらっしゃいませ」って笑顔を向けられる。 けど…彼はいない…。 ホントにここかなぁ…お店の女性も、あのお店で見かけた女性じゃないし…。 商品を見てるふうで店内をうろついてみる。 と、お店の奥の扉が開いた。 安田「いってきまーす！」

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20 あ！ 彼と一緒だった人…！！ 心臓が一気に跳ね上がった。 ドキドキがお店に響くんじゃないかってくらい。 そんな中、立て続けに扉が開く。 錦戸「部長、あれ今日までにできます？」 あ！！ 渋谷「おん、できるやろ。」 錦戸「良かった、頼みますわ。じゃ俺いってきますね！」

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21 渋谷「おー、がんばりやー。」 ぶ、部長さん…！！ ふと、目が合う。 心臓がまた大きく跳ねた。 渋谷「…いらっしゃいませ…。」 無愛想だけど、わたしに向けられた言葉…。 どうしよう…たったそれだけなのに、嬉しくて泣きそう…。 初めて会った日から３ヵ月が経っていた…。

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22 それから、わたしはちょくちょく楽器屋さんに通うようになった。 弾けもしないギターを見てたら、部長さんに声かけられて、思わずギターを買ってしまった(笑) その時見た部長さんの名札…『渋谷』。 『しぶたに』？『しぶや』？ 名札見て考えてたら、「しぶたに、です。」って。

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23 名札じっと見てたの、バレちゃった…/// 渋谷「最近、よー来てくれてますやろ？」 そして、少し目線を外して…少しだけ笑った。 初めて見た笑顔…また胸がキュッとなった。 渋谷「また…来て下さい。ありがとうございました。」 ギターを受け取り、ドキドキを隠して帰った。

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24 それからギターも練習してるけど、あまりうまく弾けない。 でも何か話題になるような、共通点みたいなものがほしくて、自己流だけど、練習だけは欠かさなかった。 お店に通い続けたら、色んな渋谷さんに会えた。 ギターや管楽器を修理する真剣な顔。 同僚と話す時に見せる笑顔。

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25 初めてのお客さんなのか、渋い表情で接客する彼。 お昼過ぎに行った時には、気持ちよさそうに居眠りしてたっけ…すごくかわいかった…♡ どの彼を見ても、わたしはとにかくドキドキしてしまって…どんどん好きって気持ちが大きくなっていった。