【第2話】魔法少女れいるたんリターンズ【ネギはとってもおいしな、って】

タイトルはパクリです(キリリ
16
江田・K【小説書き】 @koudakei

【魔法少女れいるたんリターンズ】第2話はじまります。

2011-03-24 22:00:43
江田・K【小説書き】 @koudakei

夜のしじまを切り裂く轟音が連続する。夢で見たのと同じ、巨大な質量による大破壊。流線形のフォルムの二足歩行のソレは街を蹂躙し続けている。巨人というにはあまりにも「おっぱいだよなあ」と、れいるはうんざりとうめいた。

2011-03-24 22:03:00
江田・K【小説書き】 @koudakei

巨人は全体的にまんべんなく「おっぱい」だった。100人が見れば100人が「ああ、ありゃ、おっぱいの巨人だ」というようなデザインであった。どのようなデザインかは詳細については紙幅の都合で割愛するが。

2011-03-24 22:04:22
江田・K【小説書き】 @koudakei

その巨人に立ち向かう影がひとつ。やはり夢で見たのと同じ、魔法少女。「あの転校生だな」「ですねえ」木根優未という名の少女は、空中を鳥のように蝶のように舞い、両手に構えたネギを投射していた。「でも、なんでネギなんですかねえ」風邪薬の疑問に「俺に聞くな」

2011-03-24 22:07:02
江田・K【小説書き】 @koudakei

投射されたネギは巨人を狙ったものではない。巨人の進行方向の足元に次々と突き刺さり、それらを頂点とした魔法陣を形成する。陣はネギに込められた魔力を受け、強い光を放ち――、巨人の動きを束縛した。まずは右足、続いて左足。「すげえな、アイツ」

2011-03-24 22:10:05
江田・K【小説書き】 @koudakei

だが、動きを止めただけだ。魔力もいつまでも続くまい。と、れいるは優未がこちらに何事か叫んでいることに気がついた。距離が遠いのと巨人の身じろぎする音のせいで聞こえないが「私が抑えている間に、操縦者を叩けって言ってます」「風邪薬?」「読唇術なんて乙女の嗜みですよ」「……そうなのか?」

2011-03-24 22:12:44
江田・K【小説書き】 @koudakei

ともあれれいるは、街を駆けた。「おい、風邪薬。なんかソレっぽい気配とかは感じないか?」「無理ですねー。今、私、空箱ですし」「だよなあ」「あ、でも、変な人なら、ホラ、そこに」「んあ?」風邪薬が“指差した”のは無人の公園。その中ほど、砂場の近くで奇態な踊りを舞っている赤髪の、男。

2011-03-24 22:15:16
江田・K【小説書き】 @koudakei

れいるは戦慄とともに呟く。「敵同士という間柄ですらお近づきになりたくないんだが」「ええ、奇遇ですね。私もです」「…………」「…………」「ええい! 行ったらあ!」勢いつけて駆けより、熱心に踊る赤髪の男の背中に直蹴りを放った。「ごあっ!?」赤髪は砂場に頭から突っ込んだ。

2011-03-24 22:17:13
江田・K【小説書き】 @koudakei

「き、キミはいきなり何をするんだね! 暴力反対! はんたーい!」「やかましい」れいるはぴしゃりと言い放ち、砂まみれの赤髪を見下して「オマエ、ここで何やってたんだ? アレと」と街の真ん中で動きを止めつつある巨人を顎で示し「関係あんのか?」と問うた。

2011-03-24 22:19:28
江田・K【小説書き】 @koudakei

「ふっ」赤髪は颯爽と立ち上がり妙なポーズを決め、「私の名はミスト。御察しの通り、おっぱい教の布教を進める者です」「いや、察してねえよ?」「この地に聖地を築かんがため、教団最強のおっぱいロボ改型を連れてやってきた次第」「……なあ、風邪薬。俺帰っていいか?」「我慢してください!」

2011-03-24 22:21:44
江田・K【小説書き】 @koudakei

「おい」ポーズを決める赤髪――ミスト――にもう一度直蹴りを入れ、「なんでそのおっぱい教の布教をこの街でやろうとするんだよ。迷惑だから余所でやれ余所で」「れいるたん、その地元志向の典型的日本人な発想もどうかと……」「この辺りは魔力が集まりやすい土地柄でしてね」「知るか」

2011-03-24 22:24:32
江田・K【小説書き】 @koudakei

「龍脈とか、レイラインと言えば分かりやすでしょうか」「いや、聞いてねえから」「ともかく!」ミストは力強く言った。「私はこの地をおっぱいの聖地にしたいのです! いえ、聖乳にしたいのです!」「それでうまいこと言ったつもりか――!」直蹴り。3発目。

2011-03-24 22:26:30
江田・K【小説書き】 @koudakei

「とりあえず、ミストとか言ったか。オマエ、ちょっと大人しくやられてくれ」「なんですかアナタ暴力に訴えても私の信仰は曲げられませんよ!」「あんなロボで侵攻してきて偉そうにぬかすな!」「今の、信仰と侵攻をかけたんです?」「かけてねえよ!」

2011-03-24 22:29:08
江田・K【小説書き】 @koudakei

「変身できねーから物理的に殴るしかねえよなあ」物騒なことを言いながられいるは拳を振り上げた。と、その時だった。動きを封じられたおっぱいロボに、ヒップアタックが炸裂した――! 「え?」一体誰が? 答えは簡単だった。ロボ改型に勝るとも劣らない巨大な“尻の”怪物が突如現れたのだった。

2011-03-24 22:33:44
江田・K【小説書き】 @koudakei

「なんだあの尻は!? あれもオマエのか!」れいるがミストの襟首を掴み上げる。「ち、違います。あれは、あれは、お尻教団の守護獣コ・ブ・チャーです!」「なんだそりゃ」「アレが現れたということは……」そこまで言ってミストは目を見開いた。視線は公園のジャングルジムの上を向いている。

2011-03-24 22:35:41
江田・K【小説書き】 @koudakei

「ミスト、君は相変わらずどんくさいな。おかげで僕が間に合ったわけだが」ジャングルジムの上でカッコつけている短髪の青年にれいるは「今度はお尻教団かよ」と嘆息した。うんざり顔のれいるとは対照的に芝居がかった調子のミストは「貴方は千の夜を往く尻の王――! 夙夜!」と青年の名を叫んだ。

2011-03-24 22:38:00
江田・K【小説書き】 @koudakei

「なあ、俺、マジで帰っていいか?」「私だって帰りたいの我慢してるんですからー」「……はあ」「やれやれですね」

2011-03-24 22:38:38
江田・K【小説書き】 @koudakei

【予告】れいるたんの街にやってきたおっぱい教とお尻教団の迷惑な布教活動! おっぱいロボ改型と尻獣コ・ブ・チャーの荒れ狂う街の真ん中で、変身のできないれいるたんに打つ手はあるのか!? 次回、第3話「もう尻も怖くない」にご期待ください。

2011-03-24 22:41:13