ルック・ユー、キル・ユー

Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

しかし死神が一枚上手だ！吹雪のチョップも同じく横薙ぎ…チョップが銃身を切り捨てる！SLAAASH！「コシャク！」モノスコープは残った銃身をパージし、剥き出しとなった魚雷発射管を構えた。ZZTTTT！電力急速チャージ！電磁加速魚雷を放つ腹積もりだ！「この距離ならば！」 25

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「沈め！艦娘！」ZZTTTTOOOOM！膨大な雷電が爆発し、蒼く輝ける魚雷が放たれるようとする！ナムアミダブツ！もし放たれれば、その初速は稲妻に匹敵しかねない！回避不能！モノスコープは自身の勝利を確信し、無意識に笑おうとした。その笑顔が像を結ぶことは無かった。「イヤーッ！」 26

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((何を……？))モノスコープには、その行動の意味が分からなかった。再び鈍化した彼の者の視界の中で、籠手に覆われた吹雪の拳が魚雷発射管へと迫っていた。踏み込み足を捻り、軸足を伸ばし、放たれたそれは…ポン・パンチである！ポン・パンチが魚雷の先端と激突し…そして、爆発する！ 27

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KABOOOM！「グワーッ！？」モノスコープは再び爆風に吹き飛ばされた。その右腕は肩まで抉れ、青黒い血を濁流めいて垂れ流す。モノスコープは海面にあおむけに叩き付けられた。「イヤーッ！」死神は爆炎を切り裂いて追撃した。そして容赦なく、心臓にチョップを突き立てた。「グワーッ！」 28

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「グワーッ！」モノスコープは青黒い血を吐いて呻いた。突き立てられた腕から炎が浸食してくる。モノスコープを焼いていく。死神はモノスコープから目を逸らさない。「ハイクを詠むがいい」淡々と告げられる死の宣告。モノスコープは単眼で吹雪を見返した。怒りを忘れぬその目を。 29

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白と黒、そして知らぬ色の世界の中で、モノスコープはその目を見た。そしてただ、こう言った。「下らない…この世界で怒って何になる…砕かれて、均されて、平らになっていくこの世界で…それに何の意味がある」 30

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死神はモノスコープの目を見た。摩耗し、もはやどこにも行けぬ哀れな目を見た。「知った事ではない。私が、そうしたいと、そうするべきだと思っているから、怒りを示しているだけだ」モノスコープの体が緑の炎光に覆われていく。吹雪は決然と言った。「私はカラテで道を拓く。それだけです」 31

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「ハ、ハハ…ハハハハハ…！」モノスコープはただ笑った。「だったらせめて生きるがいいさ…お前はまだ知らない…我らの帝国の恐ろしさ…皇帝陛下の剣…暗黒卿の真の恐怖を！」そしてモノスコープは吐き捨てるかのようにハイクを詠んだ。「白黒の/世界に我ら/居は在らず…サヨナラ！」 32

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モノスコープは爆発四散した。吹雪はその光景を目に焼き付ける。そして立ち上がり、両手を合わせて祈りを捧げた。「ナムアミダブツ」 33

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暫く吹雪は黙祷を捧げ、やがて顔を上げて歩き出した。その体は爆炎で幾らか焦げていたが、彼女はそれに気を払うことは無い。やがて吹雪は防波堤に飛び乗り、眠り続ける少女を抱えて、防波堤の外洋側に停泊させていたモンスターバギー・焔矢に飛び乗った。 34

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焔矢はエンジンに火を灯し、急加速せずにゆっくりと走り出した。小麦色の肌の少女はその光景を遠く外洋から見守り、海へと身を潜める。モノスコープの亡骸の残骸は風化し、潮風が運んでいく。人の居ない漁港は再び寂れた時間を取り戻した。ここに人が戻ることは、まだ無いだろう。 35

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「ルック・ユー、キル・ユー」おわり