仏像とブッダの物語

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中村圭志 神話・無神論・宗教学 @seattlelubbock

【上智グリーフケア】仏像について、レクチャーで取り上げなかった画像も含めて少し紹介します。日本ではガンダーラ仏が有名ですが、インド本土のマトゥラーのものも、いい味を出しています。クシャーナ朝の1世紀後半のこの釈迦は、「ファイトォ いっぱぁつ リポビタン デー!」という感じですね。 pic.twitter.com/DlhpsmFK9S

2017-10-14 12:44:30
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【上智】これはグプタ朝5世紀のサールナートの転法輪印ブッダ。左右に二体の脇侍がおります。こういう形式が発展していって「釈迦三尊」となります(脇侍は梵天・帝釈天、薬王菩薩・薬上菩薩、普賢・文殊、迦葉・阿難など様々あり)。発展の末に出来たのが、仏の左右に観音・金剛手を配する胎蔵曼荼羅 pic.twitter.com/BKL8lFF4C8

2017-10-14 12:45:09
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【上智】これは実は仏像ではありません。よーく見ると衣服を着けていない。これはジャイナ教の尊像です。ジャイナ教と仏教は兄弟宗教で、原初にはよく似た二つの体系でした。ジャイナ教には「ティールタンカラ」と呼ばれる24の祖師がいます。これはグプタ5世紀マトゥラーのティールタンカラ像です。 pic.twitter.com/XWDVQeh39R

2017-10-14 12:45:35
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【上智】ジャイナ教は禁欲のあまり全裸の宗派があります。尊像も全裸。どのくらい全裸かといいますと、このくらい。これは最初の祖師(ティールタンカラ)、リシャバナータと、24番目の事実上のジャイナ教の開祖マハーヴィーラの尊像です(11・12世紀、オリッサ)。 pic.twitter.com/QRzbpJSchs

2017-10-14 12:46:16
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【上智】ガンダーラ地方にはギリシャ系住民がいたので、ギリシャ神話の造形が仏教の伝統に入り込んで独特の仏像が生まれます。これは1~2世紀のものと2~3世紀のもの。お釈迦様ですね。頭もふつうの白人風の巻き毛ですね。インド本土ではもっとアフロっぽいもので、日本の仏像もそうですね。 pic.twitter.com/pukwFvgyIV

2017-10-14 12:46:52
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【上智】ガンダーラの坐像(2~3世紀)。ガンダーラ仏は髭が明治の軍人さんみたいで、なんとも不思議な感じがします。ギリシャ風に描かれますと、袈裟もローマ元老院のトーガのように見えます。というか古代の南方の文明の服装はみな共通していたのでしょう。 pic.twitter.com/5T5kz8S1O9

2017-10-14 12:47:24
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【上智】なお、弥勒菩薩も挙げておきます。左がガンダーラ(2~3世紀)。右がクシャーナ朝の、インド本土(ウッタルプラデーシュ、2世紀)。インド本土のはやっぱり元気そうで、「ファイトォ いっぱぁつ リポビタン デー!」という感じです。 pic.twitter.com/essLvwko0V

2017-10-14 12:47:57
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【上智グリーフケア】釈迦の生涯に関するレリーフ。サータヴァーハナ時代2世紀(アーンドラプラデーシュ州)の作品。釈迦はまだ人物像としては描かれていません。一種の偶像崇拝禁忌ですね。下から菩提樹(悟りを開いた)、法輪(教えを説いた)、塔(入滅した)を表わしているのでしょうか。 pic.twitter.com/lUbzCD3RYb

2017-10-15 11:09:40
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【上智】生まれてすぐ「天上天下唯我独尊」と告げたことになっていますが、これは初期の仏典にはなく、後世に別の伝承が混じったものだとか。宇宙でいちばん自分が偉いというのですから、一種の神宣言であり、仏法の絶対性の宣言です。絶対vs相対の二分法を信者は受け入れなければならないわけです。 pic.twitter.com/n2OpG4SNi6

2017-10-15 11:10:04
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【上智】初期仏典にある話としては、インド北部の少数部族、釈迦族の王家に生まれ、王者となることが期待される。仙人が現れて、はらはらと涙する。この子は将来、尊い教えを説くが、私は老齢なので聞けない、と。ポイントは政治(王家)vs宗教(出家)の対立が示されていることです。 pic.twitter.com/ouy8zPx7tg

2017-10-15 11:10:33
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【上智】釈迦は王家で豪勢なセレブ・リッチ生活を送る。《快楽》を絵に描いた生活。その後この鋭敏な青年は衆生に老病死あることに悩み、出家して《苦行》に入る。《快楽》vs《苦行》の両極を払うと《中道》の真実が見えて来て、それがありのままの現実認識すなわち「悟り」だ、というのが仏教の教え pic.twitter.com/WXOmij3RjO

2017-10-15 11:11:18
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【上智】当時のインドの宗教界では司祭バラモンが権威をもっていた。バラモンの呪術により神々が動かされ、世界が動く。その世界観が揺らぎ始めたころ、さまざまな遊行者が現れました。その一人が釈迦です。彼らは苦行をするのが普通だった。こんな骨と皮になった釈迦像も有名ですね。色々あります。 pic.twitter.com/rPZbU3YcHR

2017-10-15 11:12:08
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【上智】キリストは悪魔の試みを受けますが、その5百年前に釈迦が悪魔の誘惑をはねのけています。各種あってどれも一致しない。釈迦は苦行をやめますが、それが誘惑に負けたせいではなく合理的に考えた結論だということを示すために、「悪魔の快楽の誘惑を拒絶した」という物語が出来たのでしょう。 pic.twitter.com/Uu6Y4T18GB

2017-10-15 11:12:44
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【上智】村娘のスジャータが苦行でやつれた釈迦に乳粥をサービスしたという話は有名ですが、これも最初期の記録にはありません。手塚はこのスジャータをギャグ系の女の子に変えています。(なお写真映像はキアヌ・リーブスがブッダを演じるチベット仏教の一種の宣伝映画である『リトル・ブッダ』より) pic.twitter.com/i8jlki68dP

2017-10-15 11:13:19
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中村圭志 神話・無神論・宗教学 @seattlelubbock

【上智】そして菩提樹の下での成道。釈迦は老病死のみならず「生(しょう)」(生まれること)も含めて、すべて相対の出来事であることを達観し、別次元の「涅槃」に入りました。悟りも「涅槃」、死も「涅槃」と呼ばれるのは、キリスト教の「神の国」が心の問題にも死後の世界にも通ずるのと似ています pic.twitter.com/wLQJ1ywfca

2017-10-15 11:13:55
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【上智】釈迦は、「せっかくの悟りだが人々には通じまい」と説法を諦めかけます。宇宙神ブラフマー(梵天)が「ぜひとも説法してくれ」と頼む。これを梵天勧請と言います。そこで釈迦はかつての苦行仲間に最初の説法をした、と初期仏典に書かれています。(この映像は日本映画『釈迦』より) pic.twitter.com/k1nOQ88SDW

2017-10-15 11:14:17
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中村圭志 神話・無神論・宗教学 @seattlelubbock

【上智】あとは教団の発展史です。いくつかの競合する教団を吸収し、優秀な弟子もそろい釈迦の教団は発展します。そして80歳を過ぎて死を覚悟して釈迦は旅に出る。そして弟子たちの見ている前で入滅。相対の世界を完全に脱却して「大般涅槃」となります。釈迦の北枕はいつもこんな感じに造形されます pic.twitter.com/nd8KXHdbrk

2017-10-15 11:15:03
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