(仮題)ルーヤの物語~オポオッポとナヤンプトゥラ~

新たな物語をまとめました。
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まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino その日、ナヤントゥプラの中心部は月一の定期市で賑わっていました。ただ、その中にも不安定な情勢、長の圧政、様々な影が見られます。影は文字通り裏路地に、貧困や犯罪といった形でありました。

2017-10-16 22:35:43
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino ただ、大通りにもその不穏は少なからず転がっており、いたるところで長直属の兵士がビラを配っていました。ビラは文字だけ。お尋ね者の名前が連なっています。それらは皆『二つ名』を持つ者ばかりでした。

2017-10-16 22:38:42
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@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 二つ名はナヤントゥプラ特有の誉れであり、はたまた侮蔑でもあり、畏怖の対象であったかもしれません。ともかく、その二つ名のビラの初めの行は女の名前で始まっていました。

2017-10-16 22:41:24
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@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino これをオポオッポの人々が、あるいはヴォルタニヤの人々が見たなら驚いたに違いありません。何故なら、この大陸に来たこともない人の名前と同じなのですから。 それは、『死神ルーヤ』と書かれていました。

2017-10-16 22:45:17
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 大通りを歩いていたフードを深く被った人物もまた、そのビラを受けとりました。それから人目を避けるように細い路地へ。誰もその姿を咎めません。

2017-10-17 23:21:45
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@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino そこでフードの人物は目にします。犯罪のはびこる路地裏で剣をふりかざす男。その先で震える少女。次の瞬間繰り広げられたのは惨劇ではなく、英雄譚のワンシーンでした。

2017-10-17 23:27:00
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@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino しっかりと剣を受け止めるフードの人物の短剣…いや、フードは今や衝撃で外れ、はっきりとそれは女性であると分かりました。こぼれたその美しき顔はそう、私たちが見たならばすぐにその名をたたえる死神ルーヤそのものでした。

2017-10-17 23:33:16
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 時として運命はいたずらを歯車に噛ませます。それがこの時だったのでしょう。ルーヤへの次の攻撃は背後から来ました。先程まで震えていたはずの少女は立ち上がり、その手にはいつの間にか鈍器が握られていました。

2017-10-17 23:35:51
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino ふらつく頭。意識を失う直前のルーヤが聞いたのは「当然の報いだ」などと言う男と少女の声でした。

2017-10-17 23:38:31
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@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 死神はあれでは死にません。それでは一度心優しき行商人の話でもしましょう。行商人はナヤントゥプラの地で昔から商売を営む家系に生まれました。決して裕福とは言えない家計でしたが、彼はとても素敵な男性に育ちました。

2017-10-18 23:45:11
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 彼はある日、傷ついた旅の娘を助け、そのまま恋に落ちました。二人の間には娘が生まれました。幸せな日々は、母となった娘が残念ながら流行りの病で亡くなるまで続いたのです。

2017-10-18 23:48:26
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 長らく、誰も知りませんでした。その娘が人間ではなく、限りなく人間に似て、そして人間に憧れた心優しき魔物であったことを。

2017-10-18 23:52:35
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@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino セナリーダントゥプラが倒れ、人間達に平和が訪れた頃、極寒の地に住む魔物と戦いが起こりました。好戦的なごく少数の魔物が現れ、ナヤントゥプラの町を襲ったのです。

2017-10-19 23:19:57
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino ごく少数とは言え魔物との戦い方を知らないナヤントゥプラの兵は次々倒れ、町は壊滅的な打撃を受けました。しかし悲劇では終わりません。そこに何と一人の女性が立ちはだかり、圧倒的な力で魔物を追い払ってみせます。

2017-10-19 23:21:23
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 女性は数多の伝説にあるように、誰にも咎められることなく勇者として称えられ、そのまま『勇敢なる者』の二つ名を与えられました。女性とは言ってもまだ娘のような顔立ちの勇者は、二つ名に照れながら大切な伴侶…行商人の手を握るのでした。

2017-10-19 23:22:52
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino ナヤントゥプラの兵はかつて第一隊から第三隊までありました。特に第三隊の隊長は人情篤く、誉れ高く、さらに家族を愛す素晴らしい父親でした。

2017-10-20 23:29:37
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino そんな父親の愛を受け、二人の兄妹は育ちました。早くから兵士としての訓練を自らの意思で始めた兄は武芸に長け、すぐに兵士としてナヤントゥプラの守備についたのです。

2017-10-20 23:33:50
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 守備の役割は第一隊。父とは異なる隊への配属でしたが、兄にとっては穿った目で周りから見られることもなく気楽ではありました。

2017-10-20 23:39:33
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 第一隊。そう、あの魔物の襲撃によって数人を残し壊滅した、あの隊に所属していたのです。

2017-10-20 23:44:17
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino そうそう、死神はどうなったでしょうか。死神ルーヤは町外れの小さな教会の奥、小さなベッドの上で目を覚ましました。

2017-10-21 23:21:02
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino そこでルーヤはシスターから聞きます。同じ狂言の手口が頻発しており、多数の強盗被害が出ていることを。ルーヤはもまた自分の持ち物が消えているのに気づきました。

2017-10-21 23:23:39
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino その中には、ルーヤが必ず持って帰らねばならなかった大切な宝玉が含まれていました。

2017-10-21 23:26:44
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino マヤンガンの町のならわしなんて当然私たちは知りませんし、またオポオッポでも知られていません。マヤンガンでは婚姻の際に花嫁から花婿に宝玉を送るならわしがあります。燃えるように赤い、とても綺麗な宝玉です。

2017-10-22 15:06:10
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino 宝玉は大きな草食動物マリナスの体内で精製される石であり、大変貴重なもの。ただ、マリナス自体は気性も穏やかであり、根気があれば誰でも取れるものとされたことから『待つ』女性を象徴するとして古くから伝えられてきました。

2017-10-22 15:09:18
まっくろくろいの @makkurokuroino

@ExTomotti @R_u_0725 @usphyni @zinori @MatudairaSakura @agehanpp @makkurokuroino もちろん今となってはマリナスの宝玉は必ず自らの手で得なければならないものではなく、宝石を取り扱う店で買うことも許されています。

2017-10-22 15:12:06