![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove アレ?アレレ?アレレレ?アレレレレ?としつこくアレレレレ言う菅原。洋子ってアレレ?丸刈りの事好きなの?なんだよ丸刈りって、とボクは怒りながらも決して否定しない洋子の事がもう見られない。
2010-12-28 20:51:00![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove アタシ帰る、と唐突に立ち上がったよしこ。今度はヘアーリキッドを飲んで こりゃカレー、と一人別世界にいる本多。どしたのよしこ?洋子が首を傾げて出て行くよしこの背中を目で追った。
2010-12-28 20:51:25![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove いつの間にか出てきたケイコが髪の毛をなおしながら洋子の隣に座って言った。バカだねあんた、よしこマコトの事好きなんだよ、知らなかった?知らないよ~‥でもさ、アタシは単にマコトの頭の形がいいって言っただけじゃん、なんで怒るの?
2010-12-28 20:54:00![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenloveだから~よしこってアンタみたいにズケズケ言えないんだよ、そういう子じゃん…。ふ~ん…。ケイコと洋子のやり取りはまるで大人の女性同士のようでボクはビックリした。
2010-12-28 20:54:41![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 母が泣いている。また泣いている。涙にも色々種類がある。母の涙はその時によって様々な意味や言葉になって僕に迫ってくる。
2010-12-29 20:31:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove トンちゃん、これはなーに…?、母が視線をやった食卓の上には僕が自室のベッドの下に隠し持っていた平凡パンチやGOROといった当時人気の男性週刊誌、まぁ平たく言えばエロ本が数冊重ねて置いてあった。
2010-12-29 20:32:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove ここに座って、そう落胆しきった声で言って母は食卓の椅子を引いた。それから一体なんと言われたのかよく覚えていない。
2010-12-29 20:32:29![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 母は聖書を開いてある一節を僕に読ませその意味を説明しつつ、たしか、もうすぐ洗礼を受けようとしている人がこんな物みてるなんて、というような事をまるで思春期の少女が何か不潔なものを見た時のような印象の目をした。
2010-12-29 20:33:11![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 僕はどうしていいのかわからなくなった。僕の中に沸き起こる強い関心は同年代の友達の事でありロックやファッションであり、そして女の子の事だった。ところがその全てが母の嫌がる事だった。
2010-12-30 15:53:45![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 気づくと僕の心はそれらへの強い関心や憧れでがんじがらめだった。だけどがんじがらめにされた心そのものは誰より好きだった母に大切に育てられたものに違いなく、その証拠に心の中では大好きな母の笑顔がいつも輝いていた。
2010-12-30 15:55:28![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 母は花を愛した。大事に世話した庭の花をつんできて記念日とか特に何の理由もないのに、母は僕の前で微笑んでから背中に隠していた一輪の花を、はいトンちゃん、などと言って差し出したりする。
2010-12-30 15:57:00![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 年頃になった僕はそんな事をされるひどく照れくさく、無愛想に、うん、とだけ言って受け取る。でも実は、まだ体の中心でむき出しだった僕の神経が母の贈り物に激しいほど嬉しく反応し、僕はその花の絵を描いて母にお返しをしたりした。
2010-12-30 15:58:30![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 母が死んでしまう夢。猫が死んでしまう夢。部屋が燃えている夢。庭に底の見えない深い穴があいていて暗がりから誰かの泣き声が響く夢。自分の体にひびがはいって崩れていってしまう夢。
2010-12-30 16:02:00![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 僕は一切迷わずに黒い影だけの男に飛びかかる。ところが母が止めるのだ。お母さんは大丈夫だから、と影を殺そうとする僕を止める。そして目覚めてしばらく僕は自分が泣いている事に気づけずただ呆然とする。
2010-12-30 16:04:54![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 数十年経過してあの頃は想像もしなかった事実を僕は知る事になる。それはその後もずっと僕は数日に一度、泣きながら目覚める朝をむかえ続ける、という事だ。
2010-12-30 16:06:41![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenloveキリスト教といっても母が属していた会派は規律が非常に厳しかった。例えばキリスト教では婚前交渉を禁じているが多くのクリスチャンと称する人にとってそれはあくまで建て前だ。
2010-12-31 21:20:30![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 子供が付き合っている相手と外泊したとしても、まぁ真剣に付き合っているなら仕方ないわ、で済まされるだろう。ところが母の教会でもしそんな事が発覚したら牧師に呼ばれ破門を言い渡される。
2010-12-31 21:21:46![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove それを知った時僕は怖くなった。当時密かに読んでいた漫画、空手バカ一代を思い出してしまうほど怖かった。母にとって僕はまだまだ子供という認識があったようでエロ本を発見した母はあまりの衝撃に貧血を起こした、と言っていた。
2010-12-31 21:22:33![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 母は泣きながら雑誌をどうしたのか?自分で買ったのか?この不道徳な雑誌を何故読みたいのか?何故お母さんが悲しいかわかるか?と僕が答えにくい事を幾つもきいた。
2010-12-31 21:25:00![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 罰として母が許すまで僕はお小遣いをもらえない事になった。妹がお小遣いをもらって上機嫌でいてそれを見ている僕に気づくと、トンちゃんが悪いんでしょ、エッチなモノ買ったりしてるから、あ~いやらしぃ~、最低、と言った。
2010-12-31 21:26:35![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 妹にそんな風に言われたら、エロ本くらい何が悪いんだよ、と言うだろう。普通に考えたら笑えるような話しだが、そんな事を言ったらエロ本を肯定する事になってしまい、その考え方そのものが我が家では圧倒的なタブーだった。
2010-12-31 21:27:12![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
#Teenlove 自慰行為も禁じられていた。もちろんそれをしたって破門になるというほどの罪ではなかった。この話をすると誰もが驚くし、人によっては信じないが、僕はエロ本を眺めながらも約一年間自分の固くなったベニスには一切触れなかった。触れられなかった。
2011-01-02 20:09:49